レコードメンテナンスグッズについて語る
年末年始暇つぶし企画の引き続き。
昨年末からレコードをいじるようになって、レコードだけではなく、色々なメンテナンスグッズも集めてきました。絶対に手放せないグッズもあれば、買ったけどうーーん…というのもあり。どっちも含めて、自分の備忘向け&そんな情報を探している人の何かの参考になればという内容でございます。
なお、私のレコード手入れ方法はあくまで我流で、間違ってる可能性もありますから、真似する場合は自己責任でお願いします。
これがないとレコードは使えねぇ!必需グッズ
まずは、レコード再生環境にあって今やこれがないとレコード再生出来ねぇよ!というくらい重要なアイテムご紹介。
Technics SL-1200MK7
レコードメンテナンスグッズの話だろなんでいきなりプレイヤーが出てくるんだ教えはどうなってんだ教えは、と出鼻をくじいているかもしれませんが、メンテナンスグッズとしても活用できるんです。
DJプレイのような苛烈な利用環境に耐えるダイレクトドライブ設計なので、レコード盤面メンテナンスをプレイヤー上でやってます。回転させながら洗浄液をつけて、ブラシで伸ばし、クロスでふき取るという一連の作業です。ベルトドライブのプレイヤーでは怖くてできないですね。しかもMK7からは逆回転もできるので、逆78回転で磨くのです。
今となっては流れ作業が最適化され、この一連の作業が1分程度で終わり、それほど億劫だとは思わない…どころか、これをやらないとレコード再生出来ねぇなくらいに癖になってます。
いくらダイレクトドライブだからと言っても、ごしごしやりすぎると、レコードと土台のゴムマットが空転して傷がつくので、軽く押さえつける程度に。ちょうど、SL-1200だとストロボイルミネーターで回転数が把握できるので、最下段の「-3.3%」が止まって見えるくらいのタッチにするようにしてます。
こんな感じで、毎再生で洗浄液による磨き上げをしているので、中古で買った時にバチバチノイズが酷かった盤もほぼほぼ綺麗な音になりましたよ。
OYAGレコードクリーナー500ml
レコード洗浄液にもいくつか選択肢はありますが、毎日使う分にはOYAGのクリーナーがコスパ良いと思います。洗浄液によって音が良くなる?かはまた宗教戦争です。
OYAGレコードクリーナーには200cc/500cc/1000cc/2000ccのラインナップがあり、使い方にもよりますが、私だと1枚1ccくらい垂らしてブラシで引き延ばしてクロスで磨くという手順で使っているので、200ccなら200枚、1日5毎再生なら約1か月くらい。湿式のクリーニングなんて数か月に1回で十分だよ、という場合ならもうちょっと持つでしょう。
毎日使うから1000ccでも行けるぜ!と一度買ったものの、使い切るのに半年以上かかって、プラシーボ的に最後のほうは「なんか風味(?)が落ちたような…」という気がしたので、今は500ccに戻してます。
1000ccはもちろん、500ccも直接パッケージからレコードに塗布するにはちょっとデカくて大変なので、私は別の容器に移し替えて小分けで使ってます。洗浄液にはアルコールが入っているので、別のプラ容器に移す際はアルコールOKのものを使うようにしましょう(基本は別容器移し替えは推奨されない点も注意)
ナガオカ レコードブラシ WCL222
レコードクリーナーやブラシにもかなりの選択肢があり、この後も競合品を紹介しますが、今使っているのはWCL222。めちゃくちゃきめ細かい毛先で溝をきれいにします。新品の時は、本当に毛先1本1本が見えず見た目には1枚の布のように見えるくらいでした。
今は毎日酷使してるためちょっと毛先がくたびれてますが、性能はまだ問題ないです。新品ほどには戻らないですが定期的に水洗いすると復活します。
他の湿式クリーナーはベルベット布が使われるケースが多いですが、クリーナー液を吸収しちゃって無駄に液を使っちゃうんですよね。あと連続して使うと吸った液でベタベタになることも。かといって完全なプラブラシは目が粗くて、よほどの根性盤でない限りはオーバーキルというか。
その点WCL222は液を吸わずにちゃんと液を伸ばせられるのが、既存クリーナーの中での最大の有利点です。
ナガオカ クリーニングクロス CLV30
クリーニングクロスはOYAGか、こっちかの二択ではないかと思います。私はこっちを使っています。繊維がきめ細かく、ほつれもなく、クリーニング液のふき取りで吸水性十分で特に文句はないです。
根性盤(※汚れがひどいレコード盤のことを私はこう呼んでます)をふき取った後がはっきりわかります(笑)。
簡単な水洗いできれいにはなりますが、半年で交換が良いかと。1パックに2枚入りなので、1回買えば1年使えます。
オーディオテクニカ レコードクリーナー AT6012Xa
オーディオテクニカのエントリー価格レコードクリーナーですが、これはこれでめちゃくちゃ良いもので、今も使ってます。
日常の再生時には上記の湿式クリーナーとクロスを使いますが、中古や新品の着荷直後の初回クリーニングではこちらを使っています。ベルベット布がちゃんとレコードの溝に沿ってる感があり、しっかり埃も取れて、シンプル故にクリーナー自体のメンテナンスも容易です。
レコードのクリーニング面倒くさい!という人も、最低限これを使ってるだけでレコードは十分綺麗な状態で再生できると思いますよ。
オーディオテクニカ レコードクリニカ AT6086
いくつか選択肢があるエアゾール型のレコードクリーナー。私はこっちを使っています。使用頻度や1回あたりの噴出量にもよりますが、私は1本で50枚ぐらいは使えました。
これが活躍するのは、特に新品のレコード。新品レコードは静電気バチバチがひどく、ひどい時には再生後にゴム製のターンテーブルマットがレコードと一緒にくっついてしまうくらい。
初回再生する前にまずこのクリーナーをかけてあげることでちゃんと静電気が収まります。コーティング効果もあるっぽいので、毎回再生時ではなくとも、半年とか1年に1回のペースでかけてあげるのが良さげですね。
ナガオカ グラシン紙インナースリーブ GRS-LP1
レコードの内袋といえば、ビニールのアレで、新品も100枚1000円くらいで買えるんですが、ビニールのアレは静電気が酷いのと、湿気や焼き付きが怖いので、購入したレコードのほとんどは、このナガオカのグラシン紙内袋に入れ替えてます。静電気やビニル焼けの恐怖からはこれで逃れられます。
グラシン紙も十年ぐらいすると酸化するらしく、長期保管は出来ませんが、まあその範囲ならまだ私が生きてると思うので、ちゃんと交換するかなとは思います。その後は知らん。
難点としては、当然ですがビニール内袋と比べたら数十倍高いです。また、紙なので、シワがつきやすく、紙なので破れやすい点にも注意です。
KOJO レコード用静電気減衰ソフトスリーブ KE01
グラシン紙ですらビニール内袋の10倍くらいするのに、こっちは1枚500円と、ビニール内袋の50倍くらい高い(笑)。でも、貴重盤を買った際はさすがにこっちで保管するようにしてます。
グラシン紙と違いこちらはそう簡単に破けることもないので、完全なる永久保存用です。丁寧に裁縫されてます。
180g重量版だと気持ち窮屈に感じることもありますが、それでも取り出しにくいなどは全くないです。絶対に劣化させたくないレコードには超おすすめ。
ナガオカ レコードジャケットカバー JC30LP
一時期Amazonの格安ジャケットカバーを買ったんですが、なんかヨレヨレだし、棚から出そうとするとスポンと中身が抜け、2枚組のジャケットを入れようものならさけるチーズかってくらい簡単に破けてしまい、全然だめでした。
その点、ナガオカのジャケットカバーは少し硬めのビニルを採用してて、見た目にもよく、取り扱いもしやすいので、ジャケットカバーはナガオカ製しか買わないと決心しています(笑)。
2枚組ジャケット・見開きジャケットも入る余裕があります。
1パック30枚も入ってるので、今のペースなら早々買いますことはそんなないとは思いますが…。
オーディオテクニカ 水準器 AT615a
水準器。それ以上もそれ以下もなく。
レコードを再生するうえでは、定期的にチェックしたくなるので持っておいて損はなし。レコード以外にも机や、最近はディスプレイもデカいので、これらも傾いてないかのチェックに使えますよ。
オヤイデでは水準器・EPアダプター・スタビライザーを兼任してるのがありますよね。そっちはそっちで魅力。
スマホアプリにも水準器ありますけど、最近のスマホってカメラレンズが邪魔で水準器にならなくないですか?
ハクバ 静電防止手袋
ここからはレコードの純正用品じゃないけど、日々のレコードの扱いに欠かせないグッズ。まずは手袋。
私はレコードの出し入れで器用にレコードの縁を持つのが苦手なので、静電防止手袋でガッと掴んでプレイヤーに設置し、がッと掴んでジャケットに戻すようにしてます。
静電防止手袋ならいろんなジャンル・メーカーから出てるし、レコードを扱う上では静電防止が主目的ではないので、何でもいいと思います。
「ハクバ」は主にカメラ用品系のメーカーらしいです。つくりは丁寧で、夏場でも蒸れにくいサラサラな生地が使われてます。他の人より明らかに大きめの手でなければ、Mでも大丈夫だと思います。MもLも値段は同じ。私はMサイズを使ってます。
クリップライト(白熱電球)
レコード再生時にレトロなムーディー感を白熱電球で演出……というのではなく、レコード再生前にSL-1200上でクリーニングした際のクリーナーの広がり具合と磨き残しがないかのチェック用に使っており、再生時にはOFFにします。
それならLED電球やデスクライトでもよくない?と言われたらごもっともで、白熱電球にしてるのは、レトロなムーディー感を演出するためです(?)。
ガイアノーツ 精密綿棒 G-04
プラモ業界からも参戦。業務用精密綿棒もありますが、一般で手に入りやすいのはこっちの気がします。安いです。
普通の綿棒だと毛がぼさぼさするので、精密綿棒のほうが細かい汚れを取りやすいです。
片目ルーペ
これもレコード持つなら割と必需品。針先の異常は肉眼で見るのは老眼じゃなくても無理です…。この程度ならホームセンターに1000円くらいで常備していますが、10倍でもちょっと厳しいと思うことはあります。これ以上の倍率になると、通販や専門店に行かないと厳しいかもですね。
ここからは、買ったけど若干及第点だったレコードグッズ
ここからは、買ったし、使う時は使うけど及第点だよなぁ…グッズの紹介。もちろん単に私の使い方がまずってるだけかもしれないので、あくまで話半分で聞いてください。
オーディオテクニカ スタイラスクリーナー AT607a
こっちには書いたものの、実は使用頻度が高いメンテナンスグッズです。濡れた柔らかブラシでレコード針(スタイラス)の汚れを除去します。
私が崇拝し使っているOrtofonが「湿式スタイラスクリーナーを使うな!」と公式に宣言している関係上、あまり大声では言いにくく(?)。カンチレバーの腐食やスタイラスチップの脱落の原因となるとのことで。
とはいえ、スタイラスは使い続けていく中でどうしてもゴミを拾ってしまうので、手入れは必須です。他の選択肢と言えば…
乾式ブラシ→しぶとい汚れが取れないケースあり
粘着ゲルに針をくっつけるタイプ→スタイラスが曲がりそう…
で、ちょっと手を出しにくいです。
使う時には、瓶の縁を5~6回転させて極力液分を落としたうえで、針先にだけあてるようにしてます。付属のブラシは非常に柔らかくて質がいいです。
オーディオテクニカ レコードクリーナー AT6018a
先に出てきたAT6012Xaの上位モデルで、乾式湿式ハイブリッドのクリーナーです。見た目も高級感がありますが…
湿式の使い方がいかんせん謎で、付属したクリーニング液を、本体上側にある口から注ぎ、インジケーターが緑色になることで湿式的クリーニングもできる、という代物ですが……
液をいれてほどなくしてインジケーターは緑色になるんですが、なんか触ってもカラカラに乾いていて、湿式らしい感じにならないんですよね。
もっと入れるか!と、数回注ぎ口にクリーニング液を入れると、今度はべちゃべちゃになって、乾式クリーナー部分まで濡れちゃってオイオイオイ…という感じに。何度か試行錯誤したんですが、結局諦めて、いまも湿式は専用クリーナー、終わったらクロスで磨き上げる方式に変えてます。
なお、この専用液のボトル自体は使い勝手がよくて、OYAGのレコードクリーナーをこれに詰め替えて使用してます。100円ショップの化粧品ボトルなど類似品をいくつか試したんですが、この用途はこの付属ボトルが一番使いやすく、これだけは今もバリバリ使っていると…。
(液の詰め替えは推奨されていないので自己責任にて)
arte クリーニングブラシ RC-B
レコードの掃除には「歯ブラシが最適」という先人の知恵がありますが、これはほぼ歯ブラシの固さを持ったブラシです。
これ自体は全然良いもので、特に中古の根性盤の掃除には最適で、ごしごしと台所で水洗いするには良いです。
一時期中古で根性盤が続いたときに大変重宝しましたが、普段使いだと、ここまでは固いブラシじゃなくてもいいかなぁ…感はあります。
HumminGuru 針圧計+超音波針先クリーナー
Amazonで見かけて買ったグッズ。今はもう使ってないです。
針圧計は、いろんなレコード針をとっかえひっかえする人には役に立つかもですが、私のようにSPU一筋だとほぼ出番はなかったです。デジタル針圧と重りの目盛に誤差がほぼ無かったことも一因。それがわかったことが、この商品を一時使った際の一番の収穫だったかも。
この商品はさらに超音波で針先を洗浄できるという機能も付いていたんですがこれもまたあまり思った通りではなかったです…。
そもそも、針先だけを水面に浸すのが至難の業で、DJ針のように明らかに高さが無ければカンチレバーも水没しますから…。湿式クリーナー禁止してるのに況や水没をや、かと。
面白いグッズは、これからも求め続けるぜ!
レコード蒐集はほぼひと段落して、よほどのことがなければ大幅に増えることはもうないと思います。でも、レコードメンテナンスグッズは、これからも面白いことやってほしいし、見かけたら試してみたいなと思う所存です(ただし値段による)。
50年近くその形を維持して、今の時代でも音を鳴らすことが出来ているレコードが数多くあります。引き続き大切に使い続け、なんなら自分が手放した後の時代にも次の誰かが大切にしてもらえるようにしていきたいものですね…。