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「要約」。それは勉強だけでなく”技術練習”にも役に立つ学習方法。

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勉強法で使われる「要約」という学習方法が、
スポーツや楽器、身体使う系の新しい技術を覚える意味でも役立ってるよなぁ
と感じました。

そもそもなんで勉強に”要約”がいいの?

「要約」とは、文字通り”情報の要点を短くまとめること”で、「ざっくりいうとこういうことだよ」と短く伝えたいときに使うものです。

「『鬼滅の刃』ってどういう話なの?」
って聞かれたときに、
「鬼になってしまった妹を救うために、お兄ちゃんががんばる話だよ。」
って説明するみたいな感じ。

よく学習法をテーマにしたビジネス書などでは、「長い本は人に教えるつもりで要約するといいよ」と書いてあったりします。

実際、要約しようとすると
・一度には覚えきれない大量の情報から、とくに重要なポイントを見つける
・複雑になってる情報を自分の言葉で整理する
といった作業をはさむことになるので、自然と記憶するための頭を使い、結果的にたくさんの知識をインプットすることができるんだそうな。便利。

まあ、このあたりは誰でも一度は目にしていそうな話ですね。

”要約”はスポーツや楽器、職人技などの”技術スキル”の練習にも役立つ

で、これ、机の上で行う勉強だけじゃなくてスポーツや楽器、職人技などの技術系スキルを練習するときにも使っていけるものだったりします。

どう使うかというと、大きく2つ、
①これからどんな動作をするのか、そのポイントは?みたいな事前情報をまとめる
②動作の結果に対しての情報をまとめる、課題点をまとめる
というものです。

①は、たとえばピアノの練習でいったら、
・曲のスケール、リズム、コード進行はどんな感じか?
・「だいたいこの運指のパターンをくり返せばいいんだな」みたいなこと
をざっくり把握しておくといった感じです。

何にもしない場合は、ただただ譜面を1音1音追いかけてながら弾いていくことになるので、音符の数だけおぼえる情報の”数”は増えるになります。
それに対して、最初に要約した情報を得る場合では、楽譜の情報はパターン単位で覚えればいいことになります。動作としても、1つのパターンで1つのセットとして考えられるようになる。
つまり、覚える情報の”総量”はいっしょでも、情報の”数”としてはかなり減らすことができるということですね。

ちっちゃい頃はあまり楽譜に書いてある情報とか気にせず、ただただ音符追っていても暗譜できちゃうのですが、丸暗記は年齢とともにむずかしくなっていくので、大人になってからの暗譜には要約は大切かな、と。

②は、ピアノで言えば、
何回か弾いてみた段階で、それまでの試行結果から
・「シのフラットを毎回まちがえてるな」
・「このアルペジオの運指を覚えれば、他の小節もスムーズに弾けそうだ」といった自分の傾向をきちんと把握するために用いる要約です。

運動学習では「要約フィードバック」なんてよばれています。

要約フィードバックを受けると、学習者は学習効率が上がるといわれています。

要約フィードバックが練習効果を高める理由は、ざっくり

要約フィードバックしない・・・一つ一つの演奏ミスに関連性が持てず、ただただ”まちがえた!”という意味のない情報として処理されてしまう
要約フィードバックを受ける・・・「その結果になった原因はどこか?」と意識するようになり、演奏ミスを関連付けて意味のある情報として受け取れるようになる。

という差が生まれるから。

要約フィードバックを受けることで、過去のミスから「修正すべき点」を明確にできるわけですね。

すでにかなり支持されている方法なので、とりあえずやっておいて損はない方法だと言えるでしょう。

教える側も要約という考え方が大切

今回は、自分でスキルを学習するときに置き換えて話をしてしまいましたが、もともと「結果を要約する」というのは、学ぶ側ではなくむしろ”教える側”にかなり大切な技術だったりします。
上記の論文も、指導者のフィードバックの仕方について言及したものですしね。

「毎回口出ししないで、ときどき傾向をまとめて伝えたほうがいい」と言われると、なんとも当たり前なことを言われてるような気がしてしまいますが、人間熱くなると無意識のうちに説明過多になってたりしがちなもの(少なくとも僕は)。指導者の方は一度振り返っておくとよいかも。

そのほか、「人に教えるように勉強するといいよー」という話もありますので、いま教える立場にない人も、教えるつもりで要約するようにするとよさそう。

ではまた。

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