『シャーロック・ホームズの帰還』感想
『シャーロック・ホームズの帰還』読了。
バディ物・探偵物としてだいぶこなれてきたという印象だ。
いつもながら、ホームズの行動力には驚かされる。
短編小説ゆえの制約かもしれないが、たまに解決に向かって性急な展開がある。
「犯人は二人」、「第二の汚点」など、探偵が女性の名誉に配慮しているのが面白い。
どちらも、レストレードや依頼者には真相が知らされることなく終わる。
司直というか、法の裁きにすべてを委ねるのが常に正しいとは限らない。
探偵の正義はべつのところにあるとでも言いたげにホームズはふるまう。
この短篇集ではスタンリー・ホプキンスなる探偵も登場する。主役の二人にくらべて年若く、ホームズが将来に期待を寄せる新人である。
このホプキンスに対しても、ホームズはすべてを明かさないことがある。
そうすると、ホームズのワトスンへの信頼感が別格ものであるのがわかる。
この二人の関係性こそ、シリーズいちばんの魅力なのかもしれない。
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