中1理科の地学について考える【論文備忘録】
こんばんは、“もっちゃん”です。
記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。
本日も【論文備忘録】です。
論文それ自体に、というよりも、なんとなくハッとさせられたので、取り上げたいと思います。
⓪今回取り上げる研究:佐藤真太郎・藤岡達也(2024). 小・中学校理科教育において火山活動を取扱う今日的な意義と課題―VUCAの時代に「生きる力」を育むSDGs・ESD,STEAM教育からの再構築―. 理科教育学研究. 65巻1号. p.33-44
今回も理科教育学研究からです。
比較的新しい総説論文になります。
①要旨
本論文の抄録をそのまま転載いたします。
火山の学習の発展性と意義について語っています。
②中1理科の地学分野の扱い
これまで10年余り理科を担当してきて、いろいろな理科の先生にお会いしてきました。
中1の地学に重点を置いている先生は、どれほどいらっしゃるのでしょうか。
私はけっこう1年生の地学が好きです。
本論文で挙げられている火山のところなんかでは、
模擬噴火をやってみたり
生クリーム(スライム)で火山作ってみたり
ガッツリ迫力のある映像をみんなで見たり
しながら、楽しくやっている感じがします。
でも、けっこう他の先生の話を聞いていると、
中1の地学の扱いは不遇な気がします。
だいたい中1のカリキュラムの中で、順番的に最後にくるパターンが多いと思います。そうすると何が起きるか。
中1理科は週3時間。
実は内容の割にかなり時間が少なく感じる学年です。
化学や物理で重い内容を扱う分、少し時数的にそちらがオーバーしてしまうことが多いようです。
その皺寄せが最後の地学にやってくる。
その他で超えてしまった分が、地学のところで補填されていることが少なくなさそうな雰囲気です。
③地学、軽んじられてない!?
みんな(教員)地学に対するモチベーションが、そんなに高くない…。
もはや高校の理科の科目選択において、地学が選択できない学校も結構あります。
若干軽んじられている感が、ちょっと悲しいところです。
中2の天気、中3の天体あたりも、若干似た雰囲気を感じます。
やればやるほど面白い分野だと思いますが。
でも、そんなところに一石を投じるのが本研究だと思います!
そんな不遇な地学、特に火山のところにこそ、
今っぽい学習が当てはまるのではないか!?
ということを教員に対して発していることが、この研究の意味のあるところだと勝手に思っています。
④地学の可能性
本研究でもあるように、地学は火山分野だけでなく
“現代的な諸課題に関する教科等を横断的に学べる教育内容”
であるように思います。
地学で学習する内容は、
防災だったり、地域課題だったり、環境問題だったり、
かなり生活に近いところの学習な気がします。
流行りのSDGsだったり、探究的な学習だったり、STEAM教育だったり、
海外の研究も含めて、火山分野の学習はたくさんの事例が上がっていますよね。
以前こんな記事を書きました。
ここでも挙げていますが、一番「自分ごと」として捉えやすいところのような気もしています。
本研究で挙げる「火山」なんかもまさにそう。
たぶん多くの地域が近くに活火山があるだろうし、遠い話題ではないはず。
きっと教員の意識次第で、もっと生かされる分野になるのではないかな、と考える次第です。
そんなことを考えました!
なんとなく、論文の内容というよりは、そこから考えた地学のことばかり書いてしまいました。
今年度、中1の火山分野において、各地でたくさん工夫ある授業が繰り広げられることを期待しています。
自己紹介はこちらから。