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中1理科の地学について考える【論文備忘録】

こんばんは、“もっちゃん”です。
記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。

本日も【論文備忘録】です。
論文それ自体に、というよりも、なんとなくハッとさせられたので、取り上げたいと思います。

⓪今回取り上げる研究:佐藤真太郎・藤岡達也(2024). 小・中学校理科教育において火山活動を取扱う今日的な意義と課題―VUCAの時代に「生きる力」を育むSDGs・ESD,STEAM教育からの再構築―. 理科教育学研究. 65巻1号. p.33-44

今回も理科教育学研究からです。
比較的新しい総説論文になります。

①要旨

本論文の抄録をそのまま転載いたします。

本論文では,VUCA(ブーカ)の時代に「生きる力」の育成を考え,明治以降,従来の理科教育で,火成岩の種類や性質など,自然の事物・現象面を中心とした取扱いに留められてきた火山に関する学習内容,方法等を今日的な教育現場の現状や動向から検討した。まず,近年突然の噴火による火山災害では,予知の限界を踏まえながらも噴火警戒レベルの意味を認識するなど,防災にも役立つような知識が求められ,そのためには理科を核とし,カリキュラム・マネジメントを意図した教育内容の再構築を行う必要性を示した。火山災害への対応に関する教育の在り方として,噴火予知のための防災システムを理解するためには,技術的,工学的な取り扱いも不可欠である。さらに,火山活動には,宗教・文化的な背景が含まれるなどESDの視点,災害から誰一人取り残さないというSDGsの概念とも関連させた教育活動も期待される。それら教育の場として,地域の独自性を持つジオパーク等と,それと連動したそれぞれの地元の火山博物館等があり,学習指導要領に基づいた「生きる力」を育む学校外での新たな学びを創出できる可能性を指摘した。これらのことから,火山を取扱った教育は,現代的な諸課題に関する教科等を横断的に学べる教育内容として,カリキュラム・マネジメントの視点から取扱う具体的な教育内容となる。同時にSTEAM教育における文理融合的な視点から,教材として火山活動を取扱うことは,VUCAの時代,義務教育段階から「生きる力」の育成に貢献可能である。

上記論文の抄録を転載

火山の学習の発展性と意義について語っています。

②中1理科の地学分野の扱い

これまで10年余り理科を担当してきて、いろいろな理科の先生にお会いしてきました。

中1の地学に重点を置いている先生は、どれほどいらっしゃるのでしょうか。

私はけっこう1年生の地学が好きです。
本論文で挙げられている火山のところなんかでは、
模擬噴火をやってみたり
生クリーム(スライム)で火山作ってみたり
ガッツリ迫力のある映像をみんなで見たり
しながら、楽しくやっている感じがします。

でも、けっこう他の先生の話を聞いていると、

中1の地学の扱いは不遇な気がします

だいたい中1のカリキュラムの中で、順番的に最後にくるパターンが多いと思います。そうすると何が起きるか。

中1理科は週3時間。
実は内容の割にかなり時間が少なく感じる学年です。

化学や物理で重い内容を扱う分、少し時数的にそちらがオーバーしてしまうことが多いようです。

その皺寄せが最後の地学にやってくる。

その他で超えてしまった分が、地学のところで補填されていることが少なくなさそうな雰囲気です。

③地学、軽んじられてない!?

みんな(教員)地学に対するモチベーションが、そんなに高くない…。

もはや高校の理科の科目選択において、地学が選択できない学校も結構あります。
若干軽んじられている感が、ちょっと悲しいところです。

中2の天気、中3の天体あたりも、若干似た雰囲気を感じます。

やればやるほど面白い分野だと思いますが。

でも、そんなところに一石を投じるのが本研究だと思います!

そんな不遇な地学、特に火山のところにこそ、
今っぽい学習が当てはまるのではないか!?

ということを教員に対して発していることが、この研究の意味のあるところだと勝手に思っています。

④地学の可能性

本研究でもあるように、地学は火山分野だけでなく

“現代的な諸課題に関する教科等を横断的に学べる教育内容”

であるように思います。

地学で学習する内容は、
防災だったり、地域課題だったり、環境問題だったり、
かなり生活に近いところの学習な気がします。

流行りのSDGsだったり、探究的な学習だったり、STEAM教育だったり、
海外の研究も含めて、火山分野の学習はたくさんの事例が上がっていますよね。

以前こんな記事を書きました。

ここでも挙げていますが、一番「自分ごと」として捉えやすいところのような気もしています。

本研究で挙げる「火山」なんかもまさにそう。
たぶん多くの地域が近くに活火山があるだろうし、遠い話題ではないはず。

きっと教員の意識次第で、もっと生かされる分野になるのではないかな、と考える次第です。


そんなことを考えました!

なんとなく、論文の内容というよりは、そこから考えた地学のことばかり書いてしまいました。

今年度、中1の火山分野において、各地でたくさん工夫ある授業が繰り広げられることを期待しています。

自己紹介はこちらから。


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