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先生記録 No.6 常勤講師一年目(4)
「当日の動線が、こうなります」
校内地図に、赤ペンで線が引かれる。
体育館から渡り廊下を通り、一番近い階段を4階まで登り、1〜5組の各教室へ。
そしてそのまま手書きで校門や裏門、グラウンドが地図に書き足される。
「当日は正門と裏門、よく侵入されるフェンスに固定で警備の先生がついていて、巡回も組んでいます。あと、当日は恐らく警察にも協力を依頼してると思います」
……?ん?
「恐らく突破経路はこのあたりなんで、一年としてはこの渡り廊下をどれだけ早く移動できるかが勝負だと思います。移動してしまうと体育館の片付けの先生以外、一階の守りにはついてもらえるんですけど……」
警察に協力?突破経路?守り?
「できれば4階にあがってしまったら、防火扉を閉めてしまいたいんですけど……消防法的にアウトですよね?」
校内への侵入経路を考えるとこのあたりの窓もキチンと塞いでおかないといけないから朝から戸締り確認をetc……。
これは、入学式の話し合い?
それとも軍議?
一体何の話をしているの?
この日の学年会議は自己紹介と主任決め、そして軍議。
その後わかったことだが、私が勤務することになった中学校はいわゆる「指導困難校」。
勤務校のある市のヤンチャ層が集まって作ってチームを作っており、その初代総長が勤務校の3年生。二代目の現総長が勤務校の2年生。
さらに他市でも同じようにチームが出来ており、それらのチームが同盟を組んで県全体のヤンチャチームもできているらしく、その初代と二代目の総長も前述の勤務校生徒。
他県出身の私が知る由もなかったが、勤務することなったその地域は、県の中でも生徒指導の課題が特に大きい地域の一つだったらしい。
入学式の話も、要するに上級生が式に乱入しに来たり、新入生に対して威嚇行為をしようとすることが想像されるため、どう対処をするべきかということだった。
不安が大きく膨れ上がった、勤務2日目だった。