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隅田川にかかる「言問橋」という橋がある。
言を問う橋…という、
なにやらいわれのありそうな名前・・
で、調べてみたら、在原業平の詠んだ
「名にし負わば,いざ言問わん都鳥」
の古歌に由来しているらしい。

名前と背景

地名には、たまにこういう
「絵の浮かぶ」名前があっておもしろい。
坂なんかにも多いね。暗闇坂とか。

橋とか、坂とか、
どこかからどこかへ行く
分岐点になるような場所は、
きっとドラマが生まれやすいんだろう。

出会ったり別れたり…。
ただ通るだけではなく、
そこで立ち止まって考えたりする。

「言問橋」という名前には
そういう『意味』のおもしろさとは別に、
響きのおもしろさもある。

名前と響き

kototoiの「k」と「t」の
はじけるような響きの連なりと、
「o」がふたつ続いて
「i」で肩すかしをするところ。

そのあとの「bashi」の「a」で、
いったん展開を見せてから、
もういちど最後に「i」にもどる。

よくできている。

偶然といえば偶然なのだが、
こういう名前は記憶に残る。
たぶんいろんな名前が、
生まれては消えていく中で、
響きで残っていく。

ただの文字の羅列に
命を与えているかのようである。

名前と想像力

別に狙って
名前をつけるわけではないんだろうが
最近の「名前」にはコレがない。

渋谷にどんどん新しい施設ができた。
渋谷スクランブルスクエア、
渋谷キャスト、渋谷ストリーム・・
半分横文字にするのもいいけど、
どうしてこういう「音」を考えないんだろう…。

背景に物語があれば
もうちょっと覚えやすいのにな、と思う。

音だけではなく、絵も浮かばない。
やっぱり昔の人の方が、偉かったようである。

墨田河橋場の渡かわら竈:歌川広重
https://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail302.html

在原業平が歌を詠んだのは
本当は白鬚橋のそばの「橋場の渡し」らしい。
言問橋が作られたのは大正で、
もちろんそれ以前には橋はなかったわけで、
まあ少々離れていてもいいんじゃないか。

橋のない川縁でいろいろ想像する。
それだけで価値があるような気がする。

白鬚橋って名前もいいよね。

初詣のついでにたまに行く言問団子

次回は「消しゴム」です。

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