子どもの進路、どう考えた?選んだのは「この子にしか歩けない道」(後編)
こんにちは。地域を旅する大学 さとのば大学のnote編集部です。
さとのば大学は2019年に創設した新しい学校で、なかでも旅する大学コース(4年制)は2021年にスタートを切ったため卒業生をまだ輩出していません。
レールのない未来への道。覚悟をもって飛び込んできてくれた学生たちの決意を、保護者はどう受け止め、サポートしてくれているのか?
保護者3名の方に、さとのば大学に送り出した経緯や想いを語ってもらいました。
▼前編はこちら
※この記事は2023年8月24日に開催されたさとのば大学 夏のオンラインオープンキャンパスの「保護者座談会」の内容を再構成したものです。
これまでにはなかった一面が引き出されてきている
YOSHさん:それぞれの思いを抱えながら、さとのば大学へと進路を決めてくれたことがすごく嬉しいです。一方で気持ちに応えていかないといけないなと、身が引き締まる思いも感じます。進学してから半年ほどですが、お子さんたちについて変化を感じていることはありますか?
Aさん母:普段、あまり大学生活について事細かく話してはくれないんですが、帰省したときに様子を見ていると、自己肯定感が少しついたのかなって思いますね。
今までは人と比べたり、自分の劣っているところばっかり気になっちゃうところがあったんです。でもそこにちょっとずつ自信がついてきてるのかなって。様々な大人や地域の方たちと接していることで、ものの考え方や見方も成長しているんだなと思います。
これまではゲームして寝てを繰り返してる生活だったので、これまでにはなかった一面が引き出されてきていることが本当に嬉しいですね。
YOSHさん:Aさんの成長からは僕も学ぶことがあって。僕はこれまで地域を旅する学び方は「地域に飛び込んで刺激を受けて、自分の中から沸き起こったことで成長する」って思ってたんです。自分が主体的に変わっていくようなイメージです。
でも彼を見ていると、地域の人にどんどん巻き込まれていって、それを彼自身も面白がって取り組んでいて。そしてそれが結果的に彼の成長に繋がっているんです。
巻き込まれ力がきっかけで、どんどんコミュニケーション力だったり、たくましさだったりが身に付いているんですよね。「そういう成長の仕方もあるのか」って驚きつつ、地域留学の可能性にも気が付かされましたね。
Bさんはどうでしょう?
Bさん父:目に見えてすごく変化したなと思っていますが、一番はAさんのお母様と一緒で自己肯定感がうんと高まったと思っています。
今年の中間発表を見学させてもらって、そのときに自己開示ができていることにとても驚きました。これまでどちらかといえば1人でいる方が好きなタイプで、あんまり自分のことをベラベラ喋るタイプじゃなくて、何か思ったことがあっても内に秘めるタイプだと思ってたんですよね。
それが中間発表で、「こんなこと思ってます」とか話をしたりしていて、親としてはとても驚きました。きっとさとのば大学での密なコミュニケーションやそこでの関係性の中で、自分自身のことを語ったりさらけ出す勇気も培われていったのかなと思いますね。
それでいてどこか自信にみなぎっている印象もあって、原稿なしでアドリブも入れながらプレゼンしたり、成長を感じる発表でした。
YOSHさん:親御さんにも成長や変化が伝わっているのは、すごく嬉しいです。さとのば大学の在校生はそれぞれが留学先にいるので物理的に距離があります。それゆえ講義はオンラインなのですが、対面で会話できないからこそ「発言しても大丈夫」と思えるような『安心できる場づくり』には力を入れています。
一人ひとりの話にきちんと耳を傾けることだったり、それぞれが思っていることを口にして場に参画することだったり。そういった訓練をしながら、有意義な対話の場をみんなで創り上げています。
一方で、地域でのリアルな出会いのなかでは、「何のために地域に来たのか」「何がやりたいと思っているのか」「どんな人間なのか」きっといろんな角度から問われる場面があります。そうしたなかで自分に向き合ったり、自分のことを話したりという瞬間がたくさんあるはずです。
そんな多様な対話を通じたさとのば大学での学びが、学生自身の変化として表れてきていることは、僕たちもとっても嬉しいですね。
YOSHさん:Cさんの入学後の変化はどう感じていますか?
Cさん母:家に帰ってくるとあまりにいつも通りでだらしないところもあって、親としては「本当に1人で暮らしていけてるのかな」と疑ってしまうほど(笑)
でも家で甘えている分、外では頑張る子だし、活動の様子を聞いてポジティブにいろんなことに挑戦したりしているんだなと、私自身も励まされたりしています。
実はこれまでの学校生活では、心の持ち方の癖で本人が苦しんだ時期があって、親としては環境が変わると心配な面はあったんです。でも自分が気持ちを切り替えて、なんとか乗り越えるしかないと今はきっと思ってるし、その辺の付き合い方は、年が上がってきてすごく上手になってきてるなと思います。
無理はしないでもらいたいけれど、おそらく本人は『頑張ってる自分が好き』という部分もあって、だから苦しくなっちゃうこともあると思うんですけど。最終的には幸せになってもらいたいっていうのが1番なんで親としては見守っていこうと思っています。
YOSHさん:おっしゃる通り、外では精いっぱい頑張っているので、実家ではめいいっぱい甘えさせてあげてください(笑)
いろんな子がいて、いろんな学びがあっていい
Aさん母:さとのば大学の話を周りのお母さん友達にすると、「今はそういうのがあるんだね」「すごいね」って結構、共感してくれるので、その子にあった学び方というのも求められているのかなとも感じます。
普通の大学で、大人数で机を並べて講義を聞いてというスタイルでは得られないこともあるなと今は思っています。さとのば大学で濃密な時間を過ごすことで人間性が身につくし、1人1人に寄り添って話を聞いてくださるので、サポートの手厚さも感じています。今、進路で悩んでいる方には、こういう選択肢もあるよということをお伝えしたいです。
Cさん母:やっぱり「普通である」っていうのがすごく日本人の特性というところもありますよね。
でも、いろんな子がいていろんな学びがあっていいんじゃないのかなっていうのは、私も同じように感じています。
大学で一般教養を広く浅く勉強することも、それはそれで大切だとは思うんですけど、実際に社会に出て使わないこともたくさんあるなとも思いますし、自分に合った学びの形はいろんな選択肢があっていいんじゃないかなと感じています。
私も、娘が1番輝いて幸せになれる形を考えたら、このさとのば大学がぴったりだったなと思いますね。
Bさん父:私は高校教員をやっているので、実際に自分も教え子に進路指導して、「じゃあ大学受験どうするの」と言う側の立場なんですけど、今大学進学率って5割を超えて6割に近いぐらいの数字なんですよね。といっても、目の前の子達って、みんなが勉強好きな子たちばかりじゃないんですよ。
Aさんのお母さんがおっしゃったように、大人数で講義を聞くスタイルの大学生活を自分はまさに送っていました。でも、授業に出ては寝てるか内職してるかで4年間を過ごしていて、「自分はバカだったな」と、「もったいない時間の使い方をしたな」と思うんですよね。
それでいうと、さとのば大学はアクティブに学べるわけです。
今、AIの時代になって、インプットじゃなくてアウトプットをしていかなきゃいけない時代だし、今までだったら指示をもらって動く側だったけども、もう生成AIは優秀な秘書だって言われてるように、指示が出せる人間に ならなきゃいけないと思っていて。
一般的な講義型の授業でその力が身につくのかってなったら、それだけでは難しいだろうとも思うんです。
優秀な秘書を2人3人と従えて、パラレルで仕事をする。それぐらいの行動力がこれから求められるので、それはさとのば大学での学びにすごく期待をしてるし、娘にもアクティブ に取り組んで欲しいなと思っています。
さとのば大学のオンライン講義を見学していると、細かなフィードバックがZoom上でたくさん繰り広げられていて、ちょっとした気づきのコメントとか、「〇〇ちゃんらしいね」って言ってくれていて。その場の空気感がすごく温かいんですよね。
それって少人数だからこそできるのかもしれないなと思っていて。今までの教育では効率の良さが重視されてきたと思うので、一人ひとりと時間をかけて対話をするさとのば大学の学び方は、他にはなかった部分かなと思うんです。
濃い人間関係や人とのかかわりがあって、自分の知らない窓を開けてくれるのがさとのば大学だなって思ったので、娘自身も気が付いていない窓をいっぱい開けてほしいなと思います。よろしくお願いします。
YOSHさん:不安を抱えながらも、縁あってさとのば大学に進んでくれた皆さん。今日のお話を聞いて、家族の皆さんのサポートがあって、学生たちも頑張れているんだなと思いました。
僕たちも学生たちと一緒に学びあいながら、そして家族の皆さんと同じように成長を見守っていきたいと思います。
これからもよろしくお願いします。
(おわり)
■3/6(水)の公開 保護者座談会にもぜひお越しください!
さとのば生の保護者の”リアル”な声を聞かせていただく機会として、保護者座談会を実施します。今回は新1年生から新3年生まで、3名以上の保護者の方にご登壇いただく予定です(変更となる場合もあります)。
■暮らしながらプロジェクトを実践する、さとのば大学の学びのフィールドは全国各地
さとのば大学では、4年間1年ずつ多様な地域へ留学し、地域での様々な人との出会いや対話を通して自分自身の関心を探り、マイプロジェクトへと繋げて実践していきます。ぜひあなたらしさが活かせる地域を、見つけに行きませんか。
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