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Day243:「人望力」の条件ー「なぜ、人がついていくか」
【本について】
タイトル:人望力の条件
著者:童門冬二 出版社:講談社
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Q. なぜ、人がついてくるのか?
A. 何よりも人を大切にしているから。
【WHY】 なぜ今、「人望力」が必要なのか
■戦国時代と幕末開国時代の危機が同時に日本を襲っている状況で、日本全体が沈滞ムードに覆われている。
■バブル崩壊以降続く不況の中で、それまでの価値観や生き方の規範が、全て破壊されてしまった。
■経済、政治など、日本のさまざまな体制を国際基準にせよという外圧の強まり。
■それまでの日本の成長を支えていた「日本式経営」が役立たないとされ、リーダーシップの再検討を求められている
【WHAT】ー著者の主張ー
■日本式リーダーシップは、今だから役立つ。なぜなら、日本式リーダーシップは「人が決め手」だから。
■リーダーシップを支えるものは、「知」と「情」
・「知」とは、「何をやるのか、何のためにやるのか」
・「情」とは、「誰のためにやるのか」
「あの人のいうことなら」「あの人のためなら」
この「なら」の気持ちを持たせるものは、「人望」
■天下人のリーダーシップ
・信長:古い価値観を破壊する
・秀吉:新しい価値観による日本社会を建設する
・家康:信長、秀吉が出現させた社会を、長期的に維持管理する
「信長は壊し、秀吉はつくり、家康は守った」
■中国「史記」のリーダーシップ
【劉邦】
・若い頃からヤクザ性があり、お酒と女性好きのいい加減な生活
・重臣を信頼していた(重要な仕事を任せていた)
・「組織論」の実践:組織は必ず3つの職層にわかれる
トップ層
ミドル層(中間管理職)
ロウ層(一般職員)
「人は城、人は石垣、人は堀」ー武田信玄
【項羽】*項羽は劉邦に負けてしまう
・真面目で民衆の気持ちをよく理解し、部下への愛に富んだリーダー
・部下や部下の家族のことをよく知っていた
ー人望力の5つの容諦ー
・人間通:人間をよく知っていること
・世間通:今の時代を読み、これからの時代を見る先見力があること
・経済通:人の心を掴むお金の使い方ができること
・影響力:周囲のそれぞれの人間の個性を見抜き、その欠点を矯正し、そのいい面を伸ばすことができること
・人間力:自分を知り、自分を育てている人、器の大きい人
【WHAT IF・HOW】 ー人を動かす
■木下藤吉郎(豊臣秀吉)
「個人のやる気を集めれば、組織としてのやる気が盛り上がる」
【やる気にさせる3つの力】
1、自分の仕事の目的をキチンと把握させること
2、自分のやった仕事が、その目的に対して、どれだけの寄与、貢献があるかを自覚させること
3、部下の成し遂げた仕事に対して正当な評価が行われること
その他、
・部下の自主性を尊重し仕事を任せる
・部下のやったことに対する全面的責任を、勇気を持って追う覚悟
「お前が全て責任を追え」✖️
・現場がうまくいかないのは、現場で働く人間が悪いのではなく、リーダーシップがなっていないから
■黒田如水(人使いの名人)
【怒らず叱る】
・叱る:リーダーが相手に愛情を持って潜んでいる可能性を引き出そうという気持ちをこめ、厳しい態度で臨むこと
・怒る:相手に悪感情を持って、憎しみや怒りの感情を露骨に表して相手に厳しく迫ること(頭ごなし)
■秋元喬知
怒るより許す度量を持つ、欠点は自分で考えさせた人
■加藤清正(人使いの名人)
適材適所:部下の性格を見抜き役を与えた人
■徳川義直:人減らしをしなかった人
・「いざとなった時に助けてくれるのは部下だけ」
・財政難の時に、手持ちの資源は人以外にない。なぜなら、人間は無限の可能性を秘めているからだ。
■吉田松蔭(教育者)
ある研究機関がとったアンケート
「不確実性の時代におけるリーダーに必要な条件」
先見力、情報力、判断力、決断力、行動力、体力
最も大事なのは「情報力」
・物事は全て情報によってスタートする(吉田松陰の教育方法の根本は「情報」にあった)
・机上の空論を唱える学者ではなく、今生きている現実に即して物事を考えるタイプの教育者
■織田信長(情報通)
・「旅人は、単に人間が歩いているのではない。情報が歩いている」
・「天下とは、現在の日本の状況をいう。日本の状況とは、同じ時代に生きる人間、とくに民衆が何を求めているかをしることだ。そして、その民衆のニーズに答えていくことが、政治家の役割だ」と考えていた
■坂本龍馬(脚色の人)
・他人から得たヒントを最大限に活用、増幅した人
・物事の本質を見極める鋭い洞察力
・根気よく結末を作ることに努力した人
・「龍馬は、「宮本武蔵」の著者、吉川英治のように、「自分以外は全て師」と思っていた(他人から学ぶ)
■坂本龍馬(人間愛、人間に対するやさしさ)
・計算抜きの人間愛
・命懸けで人を愛する龍馬に、女性たちは命懸けで愛を捧げた
・人を喜ばせることが好きだった
■徳川家康(分断管理の名人)
・徳川幕府のポストは全て複数制、月番制で1ヶ月交代で仕事させた
・・上から見ても下から見てもそのポストに着いた人たちの比較ができる
・・任命されたものは、お互いに仕事の競争をする
・・自分の持ち味を生かして特性を出そうとする
・政権を担当する大名の給与は低く、政権を担当しない大名の給与は多くする
■織田信長(金銭感覚に秀でていた人)
「これからは、金の世の中になる。商人がいなくては世の中はままわらない」と考えていた
その他、金銭感覚に秀でていた人(豊臣秀吉、石田三成)
■細川重賢
・「財政難の時こそ、教育が大切である」「時習館」設立
・「人づくりは木づくり」子供には木配りを大切に
・・その人間の生命と可能性を伸ばすようにすべき
・能力に応じて教えることを変えた
・「教育費は何があってもケチるな」
■北条早雲(友情の相乗効果を働かせた人)
・友人同士が集まって、互いの能力を相手のために活用し、そこで生まれる新しいパワーによって、自分たちの志を実現していく
【響いたメッセージ】
■「上がいくら理屈をこね、偉そうなことを行っても、現場の人間が動かなければ、絶対に新しい社会はできない」
■「人づくりは木づくり」
■「一人一人の子供を、それぞれ苗木に見立ててください。この子はスギ、この子はヒノキだと・・・・色々な子供の性格や能力によっては違います。それを10把ひとからげで教育することは間違いだと思います。木くばりをすれば、木の種類が違います。そうなると、肥料の与え方や、育てかたもみんな違うはずです。どうか1本1本に応じた育て方をお願いします。」ー細川重賢
■「人間の能力は、足し算や引き算をしているだけではだめだ。かけ算をする必要がある」ー武田信玄
■「人間の能力は、先天的なものよりも、後天的なものの方が大切だ。はじめは能無しでも、努力して身につけた能力ほど尊いものはない」ー織田信長
■「教育というのは、大きな川の前にたった連中を向こう岸に渡してやることだ」ー細川重賢(川を渡る知識と技術を教えること)
■ケチと倹約は違う
■人を育てるということは自分を育てるということ
■人を育てる場合、育てる側自身が常に向上に努力しなければならない
【学び】
・部下からみて、この人のためならという気持ちを起こさせる魅力がないと、リーダーシップは発揮できない
・人望なくして成し遂げられることはない
・リーダーには、人を想う愛情が必要
【アクション】
自分の周りの才能を書き出す