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Day288:「たった12週間で天才脳を養う方法」 人生の舵取りをうまく行うための脳づくり
著者:サンジェイ・グプタ(脳神経外科医)
出版社:文教社
■なぜ、もっと脳について気づかう必要があるのか?
脳の働きは、最大の成熟期を迎える直前の24歳という驚くべき若さから鈍化し始める。
実は、症状が現れる何年も前、何十年も前から認知機能の衰えが始まっていて、30歳の人がその道を歩んできてもそれに気づいていない可能性がある。
そして、多くの人が、その衰えに気づき、対策を始めるのはだいたい50歳を過ぎてから。
■脳に対する誤解
ただ、記憶の障害は、加齢の宿命ではない。
「年をとるにつて、記憶が失われるのは避けられない」というのは、誤った恐れで、予防策はある。
また、たとえ脳に病気の兆候があっても、まだ症状が現れていない人は、発症を遅らせることができる可能性がある。
(脳の変化が起きてから、症状が現れるまでには時間がある)
ちなみに、アルツハイマー病は、症状が現れる約20年前(時に30年前)も前から脳内で変化が始まっている。(ということを知っておくだけでも、残される家族のことを考えるきっかけになる)
■著者はなぜ、私たちに伝えるのか?
・4秒に1人認知症と診断される時代
人間の本質は、「思考と脳」 脳が衰えたら、人として生きることにかなりの制限が生じる。
・人間は、生まれた時に配られた遺伝子のカードによって運命づけられていない。脳は、再構築し、配線を整え、成長させることが可能な器官だけれど、唯一、他の器官との入れ替えが不可能な器官なので、最適な予防が必要。
・世の中の健康法は、特定の分野に偏っているが、著者が紹介する予防策は、テクノロジー、瞑想、マインドフルネス、精神心理分野、医学、生化学など包括で、科学的根拠に基づく方法である。脳神経外科医であり、CNN特派員であり、世界中の権威、専門家に直接インタビューして聞いている。
■寿命を決めるのは、遺伝子ではなくライフスタイル
脳の衰えに対処するには「予防」「早期介入」「最適化」の3つが欠かせない。
最適化:「認知予備能」の高い脳(レジリエンス=回復力)
継続的なトラウマに耐え、これまでとは違った考え方をし、うつ病など神経疾患を回避し、最高のパフォーマンスを発揮するための認知・記憶力を保持することができる、萎縮させるのではなく、向上させることができる能力
■脳に良いライフスタイル
何を食べ、どれだけ運動し、誰と付き合い、どんな困難に直面し、どれだけ良く眠り、ストレス解消や学習のために何かするなど、ライフスタイルの様々な要素は、脳の健康や全般的な健康状態に想像以上に大きな影響を与える。
「運動」「目的意識」「学習」「睡眠」「リラクゼーション」・「栄養」「社会との繋がり」
《今日からすぐできること》
1、1日の中動く時間を増やし、日常生活に運動習慣を取り入れる
2、何かを学んだり、挑戦したりするなど、脳を刺激する新しい方法を見つける
3、夜間、常に安らかな睡眠を取れるよう環境を整えるとともに、ストレスを解消する方法を日々の生活に取り入れる
4、体に栄養を与える新しい方法を取り入れる
5、人との繋がりを大切にし、生き生きとした社会生活を送る
■リスク
・血圧、コレステロール、血糖値、炎症は全て認知機能の低下のリスクを高める。
・うつ病を持つ人は、後年に認知症を発症するリスクが高くなる。様々な種類の認知症では、脳内の感情に関連する回路の障害により、うつ病合併するリスクが高い。
・認知症リスクを高める可能性のある薬剤
抗コリン作用を持つ抗うつ剤、抗コリン作用を持つパーキンソン薬、抗ヒスタミン、抗精神病薬、過活動膀胱治療薬、抗てんかん薬
■最近の研究でわかっていること
・感染症、脳損傷、栄養欠乏症、長期にわたる代謝異常、有害な化学物質への曝露など、脳にダメージを与える免疫反応や炎症反応を引き起こす要因が注目されている。
・認知症の原因は単一ではなく複雑であるということ。
(だからこその、ライフスタイルの見直し)
■補足
アルツハイマー病患者の脳では何が起こっているか?
アミロイドベータと呼ばれる粘性のタンパク質がプラークを形成し、これが脳内に蓄積されることで、脳内神経細胞間のコミュニケーションを担うシナプスが破壊される。(研究は今も続いている)
【脳の衰えチェックリスト】
1、現在、脳に関する病気を患っているか?あるいは軽度の認知障害と診断されたことはあるか?
2、激しい運動を避けているか?
3、1日の大半を座って過ごしているか?
4、太り過ぎ、または肥満か?
5、女性か?
6、心血管疾患と診断されたことはあるか?
7、高血圧、インスリン抵抗性、糖尿病、高コレステロール血症などの代謝異常はあるか?
8、慢性的な炎症を伴い、神経症状をきたす可能性のある感染症(ライム病、ヘルペス、梅毒など)と診断されたことはあるか?
9、抗うつ薬、抗不安薬、降圧薬、スタチン、プロントンポンプ阻害薬、抗ヒスタミン薬など、脳への影響が懸念される薬剤を服用しているか?
10、これまでに外傷性脳損傷を受けた経験、または、事故や衝撃を伴うスポーツによって頭部に傷を折ったことがあるか?または脳震盪と診断されたことはあるか?
11、現在喫煙をしている、または過去に喫煙したことはあるか?
12、うつ病を患った経験はあるか?
13、他人との社会的な関わりが不足してないか?
14、正規教育の学歴は高校まで、またはそれ未満か?
15、食生活は、加工食品や、糖分、脂肪分を多く含む食品をとることが多く、全粒穀物、魚類、オリーブオイル、新鮮な果物や野菜をとることが少ないか?
16、慢性的なストレスを抱えているか?
17、アルコール依存症の既往歴はないか?
18、睡眠障害(不眠症や睡眠時無呼吸症候群など)がある、または睡眠不足を日々日常的に感じているか?
19、聴覚障害(難聴)があるか?
20、日常生活では、認知力を鍛える課題に取り組むことがほとんどない
21、仕事には、人と関わる複雑な仕事(説得、指導、指示、監督など)がほとんどない
22、年齢は65歳以上
23、アルツハイマー病の家系である、あるいはアルツハイマー病に関連する遺伝子を持っていると診断されたことがある
24、アルツハイマー病を含む認知症を患っている人を介護している
※5つ以上「はい」と答えた人は、脳が衰えている、あるいは、近いうちにそうなる可能性がある。