【今日の読書旅】Day138
ドラッカー全教え
ウィリアム・A・コーエン 著 大和書房 2018年
「私の武器は無知」ー知らないからこそ、正しい選択ができる
現代経営学の父、ピーター・ドラッカーの教えが学べる本
”我々は変化しなければならない。今まで成功したやり方を続ければ、いつか必ず失敗する」実践し続けること。「実践なくして成果なし」”
❶[3セレクト]
①ピーターが企業に問いかける4つの質問
1、自社の中核をなす事業は何か
2、顧客は誰か
3、顧客は何に価値を見出すのか
4、中核事業でどういう成果をあげるのか
ドラッカーは、P&Gやインテルといった企業のCEOに会うたび、この質問を投げかけていた。当時、経営学が常識をしていた考えは、利益をどう生み出すかという大事な部分が抜け落ちた空論だったとみていたドラッカーは、「大事なのは顧客を生み出すこと」そのために、企業は競合他社より高い価値を提供しなければならない。利益を生み出してくれるのは顧客のみなのだから。といった。
②企業の基本的機能
企業の基本的機能は、「イノベーション」と「マーケティング」の2つだけで、ほかの全ては「コスト」
イノベーションとは、消費者の好みや技術が変化していくなかで、企業が立ち止まるわけにいかないことを意味している。
そして、マーケティングがしっかりしていなければ、製品について顧客に学んでもらうことはできない。
販売促進なんてしなくても、顧客が列をなして買うほどの製品を作るのが大事。
製品をまず設計し、そのあと、誰にどう売り込むか考えるのではなく、まずターゲットとする顧客の製品の目的をしっかり把握し、その顧客が満足する車(製品)を設計する方が合理的。
③問題解決に必要な7つの能力
1、関係者者全員と連携する努力
話す内容より、話し方。例えば、医者の場合、知識と経験が豊富でも患者に対する接し方が下手だと、腕の落ちる医者に患者を取られたりする。
2、問題を正しく観察する能力
また、医者に例える。医者は様々な薬を使って患者を治していくが、診断が間違っていれば、薬も役立たない。
3、適切な対策を見つける能力
診断が出来たら、次は状況を改善する策の提案が求められる。ドラッカーはクライアントが自分で対策を見つけられるように質問を重ねていく。
4、専門的なノウハウと知識
良いコンサルタントになるために一番必要なのはこの能力。専門知識の源は、教育や経験、さらには培った個人的技能。ただ、ドラッカーは、「知識や経験」よりも「無知」を活用する。
5、コミュニケーション能力
良いコンサルタントの条件は、「コミュニケーション能力」「分析能力」「プレッシャーのかかる状況でも仕事ができる力」
6、マーケティングと営業の能力
マーケティングは「戦略」で、営業は「戦術」。適切な市場に売れる適切な製品を持つことがマーケティングで、自分が持つモノを買ってくれと他人を説得するのが営業ともいえる。
7、管理の能力
組織や実践を管理する能力およびプロジェクトを監督する能力。優れた経営者でなければ、コンサルタントにはなれない。
【自分の頭で考えるードラッカー流思考法】
ドラッカーは、自らをコンサルタントが仕事ではなく、「社会生態学者である」と言い張っていた。
社会生態学者とは、"人同士の相互作用や人を囲む環境について研究している人間”
ドラッカーは、自身を「社会生態学者」と捉えていた。つまり、人間の活動および環境を研究する科学者であるとみていた。
+1:ドラッカー流コンサルティングとは
やり方は教えずに自分で考えさせる。
社会生態学者であるドラッカーは、単にやり方をステップバイステップで示すより、何をなすべきか重視する。
実行すべき解答を与えるのではなく、クライアントや読者、学生に考えさせる。私たちが自ら考え、検討して、その解決策にいたる実践で、すばらしい解決策にたどり着く。ドラッカーのやり方は、一種の教育だった。
【ドラッカーの読書について】
ドラッカーは、青春時代に乱読で圧倒的な教養を身につけていた。
ドラッカーの両親は、大学にいかせたいと考えていたが、当時、第一次世界大戦後でオーストリアは敗戦国。ウィーンでは仕事がなかったため、ドラッカーはハンブルクに行き、綿商社に年季奉公の口を見つける。そして、ハンブルク大学夜学の法学部を卒業した。仕事を受けながら高等教育を受ける「生涯教育」を経験した。そして、この頃乱読をしていた。
フィクションからノンフィクションまで幅広くカバーし、後に活躍する際、一般教養として大いに役立っている。マネジメント関連では、マネジメントの本は一切読まず、新聞と大量の歴史書を読んでいたそう。
❷[マイエピソードとアクション]
ドラッカーの教えがコンパクトにまとめられ、教えをインストールして即実践するには最適な本で何度も読んでいる。読むたびに基本に立ち返ることができることと、未だに新しい発見がある。時代は変化しているのに、教えは有用性が高く、やはり素晴らしい。まだまだ、取り組めていないこと、やれることがたくさんある…!