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【本について】

タイトル:ハーバードの美意識を磨く授業

ーAESTHETIC INTELLIGENCE

著者:ポーリーン・ブラウン

出版社:三笠書房

【WHAT】

ハーバート・ビジネス・スクールで衆目を集めた授業


「ビジネスにおける美意識」

【WHY】(なぜ、美意識が必要か)

■5つの理由

1、正解の無価値化

2、論理的・理性的な情報処理スキルの限界

3、全産業のファッションビジネス化

4、利便性から情緒への価値源泉のシフト

5、人工知能との仕事の奪い合い

その他、

・ビジネスでは常に新しい視点が求められる(AIにはできない)

・ビジネスは「生身の人間」(五感・感覚)を相手にしている

・美意識の力を認め、正しく理解したことが、著者の職業人としての成功の鍵だった

・財務的価値=美意識の価値(「財務分析+戦略分析」「直感+美意識」でビジネスの問題はほぼ全て解決できる)

・多くの企業がレゾン・デトール(存在理由・存在価値)を失っている

【WHAT】(美意識をビジネスに生かすために大事なこと)

■美意識とは、第二のAI(美的知性)、人間にしか担えない直感と感性、AIを超えるもの

●美意識とは、人が自らの感覚を通じて、対象や経験を理解し、知覚することで得られる喜びや満足感

・・美意識を理解することが利益になる

・・人はもうモノを求めていない

●美意識に支えられたビジネス

・・美意識があるか否か

・・美意識があるものは感動をよび、長く残る(サスティナブル)

●消費対象のシフト

・物→変化に富んだより意義のある経験へ

・人が高いお金を払うもの(感覚上の満足に対して、機能などではない)

■美意識の4つの重要なポイント

1、美意識を持つことはビジネスにいおいて(さらにそれを超えて)重要
2、美意識は磨くことができる。誰もが美意識を持っているが、十分に発揮されていない。
3、美意識に基づいたビジョンやリーダーシップには、企業、さらにはビジネス全体を大きく変える力がある
4、美意識の欠如は、困難に直面した時、致命傷になる可能性が高い。美意識がない企業は存続できない

■愛着と利益を生み出すための重要な問い

・自社の商品が思い出深い経験になるか

・自社の商品がどう生活や人生が向上するのか

・自社の商品でどんな体験ができるのか

【HOW】(どうやって生かすのか)

・人々がどんなものを望んでいるのか的確に掴む(市場支配力)

・第二のAI=美的知性を磨くには

・・正しい教育や洗練された環境は必須ではない
・・質の良し悪しを見分けるスキルは誰にでも習得できる
・・何がその製品や経験に特別な価値を与えているのかあるいは与えていないのかを見極める(審美眼)
・・違いを識別する能力を理解し、その能力を用いることを学ぶこと
(実践していくうちに研ぎ澄まされる、良質なもの、上質なものを識別できるようになる)

・能力の境界線の理解

AI:利便性や効率
人:人間らしさを取り戻すための方法(美と創造、人との深い繋がりを築く)

・消費者の心の理解(洞察力:心の奥底にあるものを見抜く力)

・・現場に出向き、顧客の購入の動機や願い、夢を深く理解すること

⇄データ分析・ファクト分析ばかりに焦点

・ブランドコードの確立

●優れたコードに備わる4つの基準

1、時の試練に耐えうる
2、綿密かつ明確な定義
3、強い独自性
4、普遍的なメッセージ

■ブランドコードとは

ブランドの哲学や美学を表す、そのブランド特有の識別子

(その他)

・環境から得た情報にレバレッジをかける

・良質なものへの感性を確かめる

・戦略的に見た目を整える

・味覚を研ぎ澄ませる

・波長を合わせる力を伸ばす

・ムードボードを作る

●重要な問い

・どれだけ他者の感覚に訴えかけているか
・人はなぜ、特定の製品を選んで購入するのだろう
・どうすれば企業は現在と未来の消費者を惹きつけ、満足させることができるか

【WHAT】(要点)

「強力なコード」「五感を刺激」「巧なキュレーション」など審美的な基準を全てクリアしたら、あとは、表現していくこと(アーティキュレーション)言葉にしていくこと!

●伝わるメッセージを作る4つの問い

1、そのマーケティングメッセージは、あなたの製品を正確に説明しているか
2、そのメッセージは所有者と不可分か
3、あなたが伝えたいメッセージは、提供したいと考える体験の核心部分なのか、付随的な事柄か
4、あなたのメッセージは、製品と企業の全体的な方向性を反映しているか


【WHAT IF】(成功企業と要因)

●直感と感性

・ルイ・ヴィトン:継承と革新の両立、一貫性して「世界を巡る旅」の素晴らしさを追求

(広告キャンペーンのイメージ、店舗内のモチーフ、特設展示会のキュレーション)

●伝統とブランドコード

・アップル、ディズニー(没入型体験、来園者=ゲスト)、アディダス(ブランドコードを重んじながら、常に独自の美意識を磨き、製品の魅力、製品への憧れを高める努力を欠かさない)

●五感

・グッチ:アグリー・ファッション、斬新で異端、ありとあらゆる方法で感覚を刺激→醜さが人の感性に訴えるような質を持つ

・ココ・シャネル:インビジブル・デザイン

・・最高クラスの企業は、人知れず五感にインパクトをもたらす体験を提供している

・・美意識とプライドを満たす

・ロールス・ロイス:贅沢な新車の香り

客がプラスティックの放つ匂いを好まず、贅沢な新車の香りが損なわれ、売り上げが激減

→かぐわしい木の香りへ

・ナイキ:五感を刺激するすごいビジョン

「Just do it」

・アップルストア:空間や建築デザイン

購入に踏み切る前に製品にふれ、滑らかで鏡のような手触りを感じることができる

・ベン&ジェリー

常識をひっくり返したアイスクリーム

ベン・コーエンは、幼少の頃から重度の味覚障害があったので、不利を逆手にとり「質感」にこだわった

→舌で楽しめる大きな塊をアイスクリームに入れる

→少し風変わりな素材を入れて、それまでになかった味の組み合わせを編み出した

・ジョー・マローン:刺激的なメッセージ

食べ物を思わせる香りから、爽やかで優雅なパッケージング、シンプルなロゴ、美しいボックス(共感覚に訴えている)

●ブランドコード

・エルメス:コードが換気する「欲望」と「空想」

・アマゾン:ロゴに隠されたコミットメント

・ダナ・キャラン:強さとセクシーさ

●演出・表現

・ラルフローレン VS トミーヒルフィガー(アプローチの違い)

●空間

・モンクレール:見事にデザインされた空間

【WHAT】(響いたメッセージ)

・ビジネスをものにすること

(顧客に提供すべき価値を真に理解し、的確に認識し、大切にすること)

・模倣から永続的価値のあるものが生まれることはまずない。模倣品の価値は、時と共に下がっていく。

・一流は停滞したままではいない。

【アクション】

”AESTHETIC INTELLIGENCE”

美的知性を磨きビジネスに生かすために、考え抜く。「アートの感覚でいいんだ」というのが本を閉じて初めに抱いた感想。ビジネスは、アートな部分を出したら失敗すると思っていたので。

とはいえ、芸術家のようにビジネスを創っていても、それだけではビジネスは永続できない。やはりデータやファクトをみる必要性もある。(ここのバランスが大事)

「美意識」は、私たちが失いかけている人間らしさを取り戻し、かつその力で、これから先、消費者が求める体験を創り出していくために、今後さらに必要スキルになっていくと思う。

アーティスティックインテリジェンス(美的知性)を磨き、消費者が求めている体験・感覚を的確に把握し、提供価値に変えていく。私だけでなく、一人でも多くの商品・サービス提供者が、「美意識」の必要性を認識し、ビジネスに取り入れていくことができたら、サスティナブルな社会はもっと急速に広がっていくと思う。

★表紙が素敵!

本は人生のドリル


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