Day254:『サイコロジー・オブ・マネー』一生困らない「富」のマインドセット
【本について】
タイトル:サイコロジー・オブ・マネー
一生困らない「富」のマインドセット
著者:モーガン・ハウセル 出版社:ダイヤモンド社
Q.「富」を築くために大事なこととは?
A. 投資家の心理を学ぶこと。長期的思考(「複利効果」の理解)と実践、忍耐強さを身につけること。
お金とうまく付き合うには、頭の良さより、行動が大切
天才も、感情をコントロールできなければ破産することがある。
一方で、金融の専門知識がない普通の人でも、ごく単純な行動を実践すれば、裕福になれることがある。
【WHY】なぜ、「富」を築けないのか?
■経済的成功を収めるために、人間心理というソフトスキルが過小評価されている。
金融危機について、何が起こったのか、なぜ起こったのか、何をすべきなのかを、誰も正確に説明できていない。説得力のある説明がない。人がなぜ借金するかも、金利の専門知識を学んでも理解できない。
■何かが「複利的」に作用すれば、つまりわずかな成長が将来の成長のための燃料となれば、小さな変化が、常識的には考えられないほど驚異的な変化をもたらすことがある。その変化があまりに巨大なので、人はその可能性や、その変化が起きた理由、それがどんな結果をもたらし得るかについて、真剣に考えようとしない。(ウォーレン・バフェットの資産のほとんどは60代後半以降に増えたもの)
*実際に、複利の力は、私たちの想像をはるかに上回る。複利の力は、なかなか実感しづらいために、軽視する。早く始めない。途中でやめてしまう。じっと待つことができない。複利の可能性をすぐに切り捨てて、すぐに新しい方法に飛びついてしまう。
【WHY2】なぜ人は、経済的な判断をうまくできないか?
「人類にとって新しい問題だから」
「歳をとったら働かずに老後生活を送る権利がある」という概念自体、せいぜい2世代前に生まれたものにすぎない。第二次世界大戦前までは、アメリカ人は基本的に死ぬまで働いていた。「誰もが尊厳ある老後生活を送る資格があり、またそうすべきだ」という考えが定着したのは、1980年代に入ってから。そして、それを実現するために、個人が自ら資産を作り、投資するべきだと考えられるようになった。老後のための貯蓄や投資に苦手意識を持つ人が多いのは、私たちは皆、初心者だから。(インデックスファンドの歴史も50年に満たない)
【WHAT】
■サイコロジー・オブ・マネー
経済的な成果は、知性や努力とは無関係の「運」に左右される部分が大きい。
経済的な成功は「ハードサイエンス(物理学や数字などの分野)」では得られない。
経済的成功は、何を知っているかよりも、どう振る舞うかが重要な「ソフトスキル」の問題。
経済的成功には、化学や物理学のようなものではなく、複雑で測定が難しい人間の心理や行動が大きく関わっている。
■サバイバル・メンタリティ
「サバイバル・メンタリティ」が重要な理由。
1つは、自分の身を削ってまで得る価値などないに等しいということ。もう1つは、複利効果があるため。
複利は、何年もかけて元手を増やせる場合にのみ効果を発揮する。これは、ナラの木を植えるようなもの。1年では大した進歩は見られないけれど、10年経てばかなりの変化が見られる。50年もすれば圧倒されるほどの成長ぶりとなる。その途方もない成長を実感するには、必然的に起きる「予測できない浮き沈み」を乗り越えなければならない。(ウォーレン・バフェットは、裕福になることを急いでいなかった)
【HOW】ウォーレン・バフェットを目指してはいけない
■私たちをより良い方向に導いてくれる2つの指針
成功は、特定の個人や事例ではなく、もっと大きなパターンに注目することでもたらされる。
多数の成功と失敗に共通するパターンを探すことで、実用的な教訓を得られるようになる。パターンが一般的になるほど、自分の人生に当てはまりやすくなる。
■「時間をうまくコントロールすれば幸せになりやすい」
他と比べて明らかに幸福度が高い人の要因。それは、収入や地域、教育などではない。「人生を自分でコントールしている」というはっきりした感覚があること。「好きなときに、好きは人と、好きなことができる」生活を送れること。お金が私たちにもたらす最大の価値は、「自分の時間をコントロール」できるようになること。自律的に生きられるようになること。昔に比べて、現代人は自分の時間をコントロールできなくなっている。モノではなく、時間こそが、人生を幸せに導く。富とは、目に見えるものに変換できない金融資産のこと。(ウェルス「富」VSリッチ「物質的豊さ」)富を築くために必要なのは、“自制心”
■「安全域」(伝説の投資家「ベンジャミン・グレアム」提唱)
安全域(誤りの余地)を設けておくことが、確実性ではなく偶然生に支配された世界を安全に進み続けるための唯一の有効な手段。目の前の世界を、黒か白か、予測可能か、偶然の産物か捉える必要はない。
グレーゾーン、つまりさまざまな結果が許容される範囲内で物事を進めること。誤りの余地は、攻めの戦略。
ー私たちが失敗を許さない2つの理由
1、「将来には正解がある」と思い込んでいること
2、「”将来はきっとこうなる”と見通して行動しなければ損をしてしまう」と考えていること
【WHAT IF】
■未来に楽観的であれ
例えば、人間の脳のシナプス結合は、2歳から20歳までの間に半減すると言われている。成長の過程で、非効率的で冗長な神経経路が取り除かれるために。
もし、親が子供の頭の中を覗き込めるとして、、毎朝、観察するたびに、子供の脳のシナプス結合が減っていくのを見て、パニックになり「大変だ!どんどんシナプスが減っている!」という状態に陥ったら、、
目の前で親が目にしているのは、”正常な成長の証”だけれど、金融にも同じことが起こる。
長期的な楽観主義から得られるメリットを享受するためには、短期的には悲観的な状況を受け入れる必要がある。
■テールイベント
テールイベントとは、数千~数百万分の1の確率で起こる例外的な出来事のこと。
ディズニーを成功に導いたのは“400分の1”の作品「白雪姫と7人の小人たち」ディズニーが最初に設立したスタジオは、当時倒産の危機にあった。1930年代半ばの時点で、400本以上のアニメーション作品を制作していたけれど、赤字続きだった。私たちが注目するもののほとんどは、テールイベントの結果。
アマゾンの成長の大部分も、「アマゾンプライム」と「アマゾンウェブサービス」。アップルのテールイベントは「iphone」。
【響いたメッセージ】
■天才とは、周りの誰もが正気を失っているときに普通のことができる人であるーナポレオン
■人はお金を扱う時におかしなことをする。だが、おかしな人間は誰もいない
■直接的な体験は、間接的な学びよりもはるかに説得力がある
■小さな変化が巨大な力を生み出す(途方もない結果を生み出すのに、途方もない努力は必要ない)
■良い投資とは、そこそこのリターンと繰り返し何度も手に入れ続けることである。そのために、倹約に努める必要がある。自分の稼いだお金の一部は運によるものであり、過去の成功が永遠に繰り返されるとは限らないことを受け入れなければならない
■成長、頭脳、洞察よりも、長期間、息絶えることなく、退場させられることもなく、諦めずに頑張れるかどうか、それが、違いを生む。(有能であることと生き延びることは全く別の能力)
■あらゆる計画で最も重要なのは、計画通りに進まない可能性を踏まえて計画すること(計画は、現実がもたらす変化に合わせて修正することで初めて役に立つ)
■賢明な楽天主義とは、「たとえ途中で不運に見舞われたとしても、長期的に見れば物事は自分が望む方向に進むと信じること」(長い道のりを歩もうとすれば必ず浮き沈みがある)
■収入ーエゴ=貯蓄
■複利の効果を享受するための第一原則は、「いたずらに投資を中断しないこと」
■サンクコストは、未来の自分を過去の自分の囚人にしてしまう
【学び】
知識より行動。
成功を急がないこと。
成功には運という目に見えないものも影響していること。
成功には見過ごしてしまいがちな小さな力が作用しているということ。
一定のリスクの中で成功する確率を高めること。
富は膨大な量のテストの結果、もたらされるということ。
投資の神様は、代償を払わずにリターンを求めるものを嫌う。(無料で得ようとするのは、万引きと同じ)
【アクション】
別のゲームをしている人に振り回されない。
そのために、自分のしているゲームを紙に書き出す。