はじめましての玄米糀つくり2/3ー新米育児からひとりだちまで
1.1日目ー自宅に戻ってはじめての夜ー
蒸して麹菌をまぶした玄米を、ちくちく縫ったさらし袋に入れ、保温バックに入れた前回。
帰宅したのは麹菌をまぶしてから2時間後。
温度は36℃くらい。
いよいよ初めての夜。
なにかあってもすぐに聞ける先生はここにはいない。
カイロをひとつ、保温バックの底に入れて口を閉め、バスタオルで巻く。
これで大丈夫だろうか。
熱くなりすぎないだろうか。
温度が下がらないだろうか。
「よろしくお願いします」
はじめての夜、おやすみなさい。
2.2~3日目ー自ら育つー
朝、保温バックを開けると熱気。
「えー」
これはまずい。
50℃を超えると、黒麹や納豆菌のみなさんに適した温度になってしまう。
「あつかったねー」
あわてて温度を測る。
40℃手前。
よかったー。
「かしこいなー」
バックの口を開けておく『全開生活』のはじまりだ。
日光にも当てないように。
わたしはすぐおひさまにあてがちな天日(てんぴ)信者なので、無意識に縁側に置かないよう気をつける。
(娘からは味噌汁教と呼ばれている、なにかと飲むよう勧めるので。)
カイロとバスタオルは卒業だ。
玄米の袋をやさしくもみもみして全体を混ぜる。
外出で留守番の糀に。
「いってきます」
「ただいまー」
帰宅して一番に保温バッグを見る。
!
「だいじょぶかー」
バックの内側がびしょびしょだ。
水滴が冷えると温度が下がってしまう。
清潔な布で水分を拭き、汗吸い取り用に薄いさらしを入れてみる。
と、小さなかたまりができていた。
なんとかわいらしい。
栗のような香り。
食べてみる。
もう甘みがある。
なんとかわいらしい。
寝る前にもう一度保温バックの汗を拭き、さらしを換え、バックの口全開で「おやすみー」。
3.4日目ーひとりだちの時がきたー
今朝も起床してすぐに糀のところへ行く。
また熱い。
温度を測る。
40℃手前でほっ。
「なんてかしこいんだろねー」
かたまりが大きくなっている。
食べてみる。
香りは甘栗。
歯ごたえは焼き栗。
味はゆで栗。
また何度か、もんで混ぜたり、汗をふいたり、さらしを換えたり。
そろそろどうでしょう。
袋から出してみると、大きなかたまりも出てきた。
いろんな角度から撮影する。
「かわいいなー」
玄米糀。
君にわたしができることはもうない。
ひとりだちの時。
つづく
お読みいただきありがとうございます