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目から鱗のハウツー営業⑧【担当を引き継いだ時のおススメ行動】[超簡単]
突然ですが、私は営業職の皆様に[営業という仕事の真の面白さ]を伝えたいと思っています。
サトミ営業相談所の川端です。
今はどんな時期か?
4月は新年度がスタートする特別な月です。
社内で担当変更があり、新しいお客様を引き継いだ方も多いのではないでしょうか?
その中には、新たな顧客の営業担当になって不安だ、どこから手をつけていいか分からない、攻略の糸口が見えない、そんな営業職の方も多いと思います。
今回はそんな営業職の皆様向けの内容です。
会社の業態や取扱商品によって勿論バラつきはありますが、担当先の変更はこの時期が特に多いはずです。
会社によっては、売上不調を脱する打開策として営業職の担当をガラッと変えたり、どうしても攻略したい重要顧客の担当営業を今よりも実力のある営業職に変えたりしているはずです。
更には、一人の営業職が同じお客様を長期間担当することで生まれる弊害(マンネリ化、癒着や不正)をなくす為に定期的に担当を入れ替える会社もあるでしょう。
素朴にして論理的な方法⇒4つの質問
今回はそんなあなたが新たに担当を引き継いだ時に、おススメしたいことを解説します。
一つ目の質問
まず、おススメするのは、あなたの会社の前任者の印象をお客様に聞くことです。
あまりに素朴で驚かれたかもしれませんね。
例えば
あなたの会社をZ社とします。
そしてお客様がA社、A社窓口をYさんとします。
A社を担当するZ社営業担当:
2022年3月末までBさん
⇒2022年4月からはCさん(この4月の担当変更によって)
という状況だとするなら、
CさんはこれまでのBさんに対する評価・印象をYさんに聞くということです。
どんな点が良く、どんな点に不満を持っていたか、どのように改善して欲しかったかを聞くことです。
お客様とて一人の人間です。どんなに良好な関係を築いているように見えても、何らかの不満があり、こうして欲しかったという要望があったはずです。
そして、お客様は人間であると同時に大人です。
余程のことがなければ、不満も評価している点も営業職本人に直接伝えることは少なく、大半の感情は営業職にぶつけることなく時間が経過していきます。
(ですから、褒められた時は余程感心した時であり、また反対に苦情を言う時は余程腹に据えかねた時と思う必要があります。)
お客様はそうした感情をその会社への注文や契約を増やしたり、減らすことによって消化しているとも言えますし、それによって営業職に対して伝達・表現しているとも言えます。
そのくらいお客様が営業職に思っている事全てを打ち明けることは、営業職が思っているよりも実はハードルが高いということです。
(そういう意味では、営業職がお客様にはっきりと要望を伝えられないことはお互い様だとも言えますし、我々が思っているほど営業職よりお客様の方が優位に立っていて遠慮なくモノが言える訳でもないとも言えます。
それくらいビジネスの現場において、お互いの率直な意見交換はそもそも難しいという事は知っておいた方がいいと思います。)
一つ目の質問のポイント
しかし、Yさんにとって、既に担当を離れたBさんへの印象を本人ではないCさんに語るのは、比較的抵抗は少ないと思います。
しかもYさんにとってはBさんに抱いた印象はあくまで過去の話です。
その上、現担当者Cさんが「お客様がこれまでの弊社とのお付き合いの中で、どんなことに不満を持ち、またどんな点を評価していただいたのかを知りたいと思います。そして、良い点は踏襲し、悪い点は改善したいと考えております。」と言われれば、Yさんにとって、この質問の回答はたとえ辛辣な内容だとしてもBさんへの批判や悪口にはなりません。
ビジネス的にも理に適っており、Yさんから見ても両者にとって前向きな提案だと感じるのではないでしょうか?
結果として、Yさんから最新の自社への印象を聞き出せる可能性が高まることになります。
勿論、こうしたことをYさんに聞いても必ず答えてくれるとは限りません。
或いは「印象?前任のBさんには特に何の印象も無いけど」という答えもあるでしょう。
この場合も何の情報も得られなかったと落胆するのは早計です。
この回答も実に立派な情報です。
何故なら、この場合は「印象がない」というのがBさんへの印象だからです。
BさんはA社を攻略しようと営業活動を展開していなかった、或いはそう頑張っていたが、印象を残す事が出来なかったということが分かります。
この場合は少なくとも、Bさんと同様の営業活動を展開しても状況を打開できる可能性は現時点で低いということが分かります。
逆に聞かないことで生じるリスク
逆にこうしたことを聞かなければ、CさんのA社やYさんへの印象はBさんからの引き継ぎ時の情報やアドバイスが大きくその割合を占めることになります。
よく考えれば不公平かつ不正確な情報であり、危険な状態だとは思いませんか?
例えば、引き継ぎの際に「Yさんは気難しいからなかなか攻略は難しいと思うよ」とCさんから言われたら、そのようなイメージを持った状態で営業活動をスタートしていませんか?
しかし、YさんにCさんへの印象を聞けば、「Yさんが気難しいのでなく、Cさんの〇〇な点をYさんが快く思っていなかったんだな。むしろCさんに問題があるな」ということになるのかもしれません。
勿論私は、どちらの意見を信じるべきだと言いたいのではありません。
一方の意見だけよりは両者の意見が揃った方が正確に状況が見え、その後の営業活動にプラスの効果をもたらすはずだと言いたいのです。
しかし、営業担当の引継ぎ時には多くの場合、こうしたことがよく起きています。
YさんにCさんの評価・印象を聞く、たったこれだけのことでこうしたことを未然に防げる可能性が少しは高まるのではないでしょうか?
二つ目~四つ目の質問です。
次に、Yさんにあなたの会社の歴代担当者の中で最も評価の高い営業職を聞いてください。
そして、その理由も聞いてください。
次に、同業者(ライバル会社)の中で最も評価の高い営業職も聞いてください。
同様に、その理由も聞いてください。
最後に同業者だけでなく、その会社に出入りしている全ての営業職の中で最も高く評価している営業職が誰かも聞いてください。
同様に、その理由も聞いてください。
おススメの手順
この4人についての質問は出来るだけ、この順番で聞いてください。
これはお客様の性格によりますが、一気に全て聞くのでなく、少しずつ時間をかけて聞いてください。
慌てて聞く必要もありません。
あなたが聞きやすいタイミングで可能な範囲で聞いてください。
(聞きにくかったら、途中でやめても構いませんし、聞きやすいことだけ聞いても構いません。
聞くことが目的化するのでは本末転倒です。)
ただ目的は新たに担当を引き継いだあなたの営業活動を円滑にし、そのお客様からの売上を拡大させる事です。
その点にこだわるのなら、3か月くらいから半年くらいを目安として聞くのがいいと思います。
この順番で聞く方が、お客様があなたのこれらの質問の趣旨を理解しやすく、答えやすいと思います。
私がこの方法をおススメする理由
私が何故このようなことをおススメするかと言うと、第一にこれらの質問への回答は誤解を恐れずに言えば、営業職にとってのそのお客様のトリセツ(取扱説明書)そのものだからです。
こうしたことを組み合わせることでそのお客様がどのような営業職を評価し、どのような営業職を嫌うのかが簡単に分かるからです。
そして、結果としてあなたが新担当としてやるべきこと、やってはならないこともよく分かります。
そして、こうしたことを習慣にしていると、どのような営業職が売上を拡大させることが出来るのか、その仕組みが実によく分かります。
ビジネス本や営業本、SNSにおいて営業系の発信をしている方のアドバイスがいかに的外れで机上の空論であるかもよく分かります。
そうしたモノがビジネスにおいて最も大事な【お客様の目線】をいかに無視しているモノなのかもよく分かります。
勿論お客様の担当者も人間です。
好みにも、個性や価値観が色濃く出ます。
しかし、新たに担当を引き継ぐたびにこの事を繰り返し、自らの習慣としていると、実はお客様が営業職に求めていることはお客様によってそれほど大きく違いがないということもよく分かると思います。
お客様のニーズの本質
私が思うに、お客様のニーズとはお客様と営業職という一対の関係性の中で分かるのではなく、実はこのようにお客様とお客様を取り囲む全ての関係者との複合的バランスの中でこそより顕在化すると思います。
二つ目の理由は、お客様の評価は常に相対的なモノであるからです。
例えば、『こんなに頑張っているのにお客様は振り向いてくれない』と嘆く営業職は多いです。
しかしこれはよく考えれば当然の結果です。単純にあなたよりも頑張っているライバル会社の営業職がいれば、お客様から見たあなたの頑張りは目立たず、お客様のあなたへの評価は上がりません。
勿論逆もしかりです。
(余談ですが、こうしたことも頑張っているつもりなのに結果が出ない理由が分かれば、特にモチベーションを下げることも苦しむこともありません。
恐らく、理由が分からずあとどれほど頑張ればいいのか分からないからこそ、苦しいのです。
理由が分かれば、何が必要か分かるため、比較的前向きな気持ちで仕事に取り組めます。)
また、あなたの時間やエネルギーには勿論限りがあります。
全てのお客様に対して、常に全力で営業活動を展開する必要はありません。
プロ野球のピッチャーもどのバッターにも全力投球する訳ではありません。
それは同じ投球内容でもバッターの力量によって、打たれる確率が異なるからです。自然と力量が高いバッターには全力投球し、そうでないバッターにはギアを下げて投げた方がスタミナの問題から、失点を抑えられることを知っているからです。
それと同じことです。
お客様から見たライバル会社の営業職との相対的な評価を参考にし、それぞれのお客様にどの程度の時間とエネルギーを配分すれば、どの程度売上を増やせそうかという視点でそれぞれのお客様を見つめ、どのような配分が全体の売上を最も増やせるのかを考えればいいのです。
実は新規開拓にも有効、そしてその理由
お気づきかもしれませんが、こうしたことは何も既にお取引のある既存客に限ったことではありません。
新規開拓においても実は有効です。
自社への契約や注文の実績がなくても、自社の営業担当が過去に訪問したり、攻略を試みたことは十分ありえます。
まず過去に自社の営業職が営業活動をかけてきたことがあるのか、あればその時の印象を聞き、何が不足して契約や注文に至らなかったのかをそのお客様に聞けばいいのです。
同様にこの4つの質問について聞くことも、比較的情報や話題がないとされる新規開拓においても有効な情報に成り得るとは思いませんか?
私は新規開拓の時にもこのことを自身の習慣としていました。
まとめ
担当を引き継いだ時に私がおススメしたいこととは、過去と現在そのお客様に関わった営業職の通信簿を覗くことで、お客様の好みを明らかにし、攻略をより効率化させることです。
私はこのことを20代の頃から実践していますが、お客様のニーズを聞くという面でも、お客様の性格を知るという面でも実に簡単で理に適ったやり方だと思っています。
皆様はどう思われましたか?
なるほどと思われたら、実践してみてはいかがでしょうか?
最後に
引き継ぎ後の皆さんの営業活動がうまくいきますことを心より願っております。