営業職がやるべきたった二つの事【超簡単】
やらなきゃいけないことが山ほどある。どれから手をつけていいか分からない。こんな風に思っている営業職は多い。今回はそんな方の為に、営業職がやるべきたった二つの事を伝えたい。勿論、その理由も丁寧に説明していく。
いきなり結論から入る。
一つ目は自分が自分に約束した事
一つ目は【自分が必要だと思い、これだけはやるべきことと既に決めた事】を守ることだ。自分が自分に約束した事と言い換えてもいい。
あまり語られない、でもとても重要なポイント
意外と語られない事として、お客様は営業職が普段どんな努力をし、自分以外の他のお客様にどんな対応をしているかなど分からない。目の前にいる営業職が自分に対してどのような対応をしているか、それだけしか分からない。もしかして自分に対して対応が悪いだけで、他のお客様には素晴らしい対応をしているのかもしれないなどとは間違っても考えない。そんな発想すらないだろう。自分に対する対応や態度・行動こそが、その営業職の評価のすべてである。つまり、その営業職の総合的な評価(その営業職への全てのお客様の評価や実績)など関係ない。まして、普段どんなビジネススキルを習得しようとどんな努力や挑戦をしているかなど何の関係もない。これが営業職の所属している会社やその上司との決定的な違いである。
公平な評価など存在しないと諦めよう
例えば、上司がその営業職に対して実績も良く全体としてお客様からの印象も良いと評価していれば、たまたま一人のお客様から厳しい評価や指摘、或いはクレームを受けても、「このお客様が厳しいだけかもな」と大目に見るなんてことはよくあることだ。これは逆の場合もある。売上不振の営業職に全く同じ内容のクレームが来た時には「普段からの対応が悪いんじゃないか。それがクレームになって表れているんだ」などと厳しく指摘するはずである。
営業職がお客様の事だけを見れない簡単な理由
良くも悪くも、営業職は常にお客様と自身の所属企業(または上司)の2者の評価にさらされている。これは営業職に限らないことだ。だからこそ、どちらかの心象だけを気にして行動などできない。この視点抜きに営業活動など語っても無意味であり、またこうした事抜きでいくら上司や管理職が「理想の営業職像」を語っても空虚で、それを聞かされた営業職側も戸惑うだけである。
机上の空論に過ぎない営業の理想論
例えば、「営業職とはお客様のために何が出来るかである」という上司の理想も、「お客様のニーズを聞き出し、満たしなさい」という指導も、その実現が自身の所属企業の利益や心象に反する場合も多々ある事を考えれば、言葉足らずで無責任な発言と言える。
(そもそもお客様の利益と自社の利益が真っ向からぶつかるからこそ潤滑剤・調整役として営業職が存在しているのではないだろうか。私はそう思う。)
上司は営業職の立場になって考えて欲しい
現在では、SNSにおいてもこうした理想を語る方は多く、またそれらを読んだり見たりする方がかえって混乱したり、現実を見失う要因ともなる。事実、私の相談者の中には「お客様の為に何が出来るのかが営業職の価値、と言われても具体的にどうしろというのか、よく分からない」「現実には上司や会社が自分たち営業職に求めていることと相当かけ離れている」と困惑する方もいる。もしこうした事を主張するなら、上司として会社として、或いは情報の発信者として、会社の利益とお客様の利益がぶつかった時はどうするのかもきちんと明示しなければ営業職側(或いはそれらを真に受けた読者)が混乱するのは当然ではないだろうか?
こうした中、どんどん出来ることが限られ、混乱する営業職が多いのも当然のことである。
営業職の抱えるジレンマ
でも、そんな中でもなんとか結果を出したい営業職がやっていることは、『新たにやることの発掘』である。もっといい方法はないかと、YouTube含めたSNS、ネットで検索、ビジネス本、いろんなツールを使い、探していく。それ自体は勿論悪いことではない。素晴らしいことである。
さて、そこで最初の指摘に戻って欲しい。
『まずは【自分が必要だと思い、これだけはやるべきことと既に決めた事】を守ることだ。』
新たな挑戦が生む弊害
繰り返しになるが、お客様はあなたが他のお客様に対して努力している事には関心はない。
まして、新たなことに挑戦しているか、否かなどには更に興味がないのである。
新しいことを増やせば増やすほど、何が生まれるのかというと、現在やっていることが一定程度おろそかになるという現象である。これは私も大いに経験がある。恐らく、誰にでもあるだろう。新しくやることであれば、慣れていないから尚更手間や時間を取られるだろう。
例えば、営業ハウツー本で「商談は準備が全て。商談のストーリーを常に事前に組み立てて、商談に臨みなさい」こうした内容が書いてあったとする。こうした内容の本は今も昔もずっと存在する。この内容の是非についてはここでは議論しない。これに納得した営業職のほとんどは何らかの時間や手間を削って、商談のストーリー作りに血道をあげるのではないだろうか?まして、現在は勤怠管理・残業管理が厳しい。何も削らずに、新たなことに挑戦するのはハードルが高いのではないだろうか。こうして何が少しずつおろそかになるかと言うと、繰り返しになるが、自身がもともと必要だと思っているルーチンワークである。こうした現象は、ビジネスにおいて非常によく見られる現象である。(また、会社や上司によって、こうした『新たなこと』が強制的に課せられる場合もあるが、これも同様な影響を及ぼす危険なことである。)
営業職のあるある
例えば、商談を終えた直後のフォローの電話やメール、商談を終えてから或いは初回の訪問から時間の空いたお客様への再訪へのアポ取りや状況確認、「検討します」と言われてからしばらく時間が経過したお客様へのフォロー・状況確認、誰かに紹介して頂いたお客様への訪問と、紹介してくれたお客様へのお礼、以前から気になっていたお客様への連絡、これらはどの営業職も必要だと思っているルーチンワークである。このほかにも自身が以前から個別のお客様に対して「これをやりたい」「これをやらないとダメだ」と決めていたこともあるはずである。
しかし、残念ながらほとんどの営業職はこうした事を必要だと分かっていながら、相当抜けや漏れがある。何故なら、仕事は平たんで平均的な日々が続くモノでなく、常に凸凹やムラやバラつきがあり、予想外の仕事や突発的に発生した依頼や問い合わせなどにどうしても翻弄されるからである。
結局、何がモノを言うのか
私が最も言いたいのがここである。恐らく営業職の行動において結果に最も影響を与えるのは、どのような状況下においてもこうした地味すぎる日々のルーチンワークをいかに地道に継続できるかである。営業職が営業テクニックやスキル、或いはITを駆使した効率的なビジネスツールに傾倒する一方で、お客様の多くは自身へのこうした営業職の一つ一つの基本的な行動を見て、「熱心さ」「真面目さ」「真剣さ」「誠実さ」という今時とは到底言えない数値化できない要素を評価し、購買を決めているというのも事実である。これは意外に思われるかもしれないが、お客様の世代は全く関係ない。「熱心さ」「真面目さ」「真剣さ」「誠実さ」を感じやすい方法や手段が異なるだけである。これらを評価の対象にしない人間など多くの営業職が思っているよりはるかに少ないのである。
理由は簡単である。これらは、他のライバル会社の営業職も心掛けているからでる。一つ一つを丁寧に漏れなくやればやるだけ、マイナスに働くことはほぼなく、逆におろそかにしていると、一気に目立つという効果もある。また、どんな状況でも、一人のお客様に対してこうした基本的な動作を取り続けることが出来る営業職が実はあまりいないことも理由の一つである。
私がビジネス本をオススメしない理由
一方で、それに比べ、ビジネス本でよく見られるような「新たにこれをやるべき」という手法や方法は、『多くの営業職がやっていないことで、かつやりたくなりそうな事は何か』という視点で描かれているため、結果として、地味でどの営業職も既に心掛けているような事は取り上げていない。その理由は、こうしたビジネス本は、営業職に結果を出してもらうことを目的に書かれたものではなく、世の営業職の皆さんの関心を引き、買ってもらうことを目的に書かれたモノだからである。ビジネスとしては当然のことである。
たとえ結果に直結することでも、読者である営業職が読み飛ばすだろうと思われるモノは書くインセンティブは低い。結果的にこうしたビジネス本は読めば読むほど、こうした地味なルーチンワークとは無縁の「スマートでそれっぽくて斬新なやるべきこと」が増えていく。
しかし、こうしたモノの実効性は実はあまりない。何故なら、本質的に言えば、どのお客様にも好みや異なる価値観があり、一つのやり方が全てのお客様に効果があるなどというモノはほとんど存在しないからである。
今一度、結論を言おう。
面白くもなんともない結論ではあるが、営業職がまずやるべきことは『自分が必要だと思い、これだけはやるべきことと既に決めた事』、自分との約束を守ることである。
そして、二つ目はこれである。
そして、もう一つは、そのルーチンワークを守りながら出来ことしか、新たに始めないということである。
これが、営業職がやるべきたった二つのことである。