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母親逮捕と学校の反応(第22話)

SNSで大反響だった実話
小5と余命宣告」続編(第22話)です。

父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。

脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)

ということで、
これは長~く続く連載ものです。

初めての方は、1話からどうぞ。




少しドキドキしながらも

なかなかできない警察署での体験を

楽しんだ翌日の朝は

少し気が重たかった。


今日、学校に行ったら

どうせイロイロ言われるんだろうなぁ

めんどくせーなー




自分たちが勤務している

中学校の女子生徒が

コンパニオンとして働いて、

客の相手をしていた。

そして警察に連行されて、学校を休んだ。

その子を雇っていたスナック経営者は

その子の母親だった。。。



突然警察から、

そんな情報が入ってきて

何も知らなかった中学校(先生たち)は、

大騒ぎだったようだ。


そこそこの学力で、レベルの高い

優秀な学校だったらしいからね。

そりゃ、もう大ごとだったようだ。


当の本人、あんなに優雅に

休日を楽しんでいたとは知らずに(笑)



登校すると、すぐに担任に呼ばれた。


・なんでそんなことしたのか?

・いけないことだと思わなかったのか?

・もっと自分を大事にしろ!

・他の大人に相談しなかったのか? 等々


ついでに、まだ中学生なんだから

勉強がどうたら。。。って。



はぁ~...



もう、ため息しか出なかった。


相変わらず、眠いことしか言わんな。。。


私自身が優先にしていた

ポイントと大きくズレていて

もう聞いてるだけで、眠たくなってくる。


・他に、より良い手段がなかったから。

・悪いことをしているつもりは全くない!

・自分が大事だから、将来の自分の為に選択している。

・相談したら、反対するだけじゃん。


こんなことを考えながらも、

口にはしなかった。


感覚(育ち)が違い過ぎて、

私のことを理解できない大人だって、

わかってたから。

言うだけ、無駄だ。


こうやって、子どもは

大人に口を閉ざしていくようになる。


かと言って、

その先生が嫌いだった訳でもない。

彼は彼なりに、

私の心配をすごくしてくれた先生だった。


ただ自分の感覚でしか

物事を捉えられないだけ。



学校の先生になれるような

恵まれた教育環境を与えられた人に

こっち側の事情を想像できるわけがない。



当時、私が使っていた源氏名が

結婚したばかりの奥さんと同じ名前だと知って

私よりショックを受けていたのは覚えてる。


知るかっ!(笑)


その事件の、ほんの数週間前に、

私の手の爪の端に残った

赤いマニュキュアの落とし残しを見て


「夜遊びは、ほどほどにしろよ!」


って、口出してきた威勢は、

今回は無かった。


残念だけど、彼の言葉は、

何一つ私には響かなかった。

重きを置いていることが、違い過ぎて

逆にイライラした。


最後に


「じゃぁ、先生さ、その通りにしたらさ

 あんたがウチの生活、面倒見てくれるわけ?

 高校行くお金とか、出してくれるの?」



やっと、黙ってくれた。


思いっきり、睨み付けたその目から放った


「何もできないなら、口出してくるな!」


というメッセージが、

やっと伝わったようだった。


それから、あまり関わらないでいてくれた。

心配してくれていたのは、

ちゃんとわかっていたけど

私が、拒否し続けた。


他人の眠たい自己満足に

付き合っていられるほど

こっちは、暇じゃねぇんだよ!



手段を1つ失ったのなら、

また違う手段を探さなくてはならない。


かと言って、同じように

夜の仕事に就くことは難しかった。

やはり、あの母親がいたから出来た仕事だった。

そういう点では、ありがたい存在だった。


またコンパニオンの仕事、持って来てよ。


ってお願いするも、

母親は、こう言った。


「もうやらない。」


「捕まっちゃったからね。」


「女の子たち、可哀そうだと思って

 面倒みてあげてたのに

 いかんかったみたい。」


いつもちょっとズレているけど

それが、彼女なりの優しさ。

決して悪質ではないことは

きっと誰もがすぐわかるだろう。


そして、

彼女自身、自分が逮捕されたというのは

相当ショックだったようだ。


結局、微力な中学生が出来たのは、

せいぜい掛け持ちしていた

日本料理店の洗い場のバイトを

増やしてもらえるように

勤務先にお願いすることくらいだった。



非力だ…



一緒に捕まった他の少女たちも、同じ。

少しでも稼ぐために、

睡眠時間を削って

昼夜バイトを掛け持ちしたり…



1人は、居なくなった。


名古屋のソープに転がり込んだって。


「えーー!そうなの!?」


ちょっとビックリしながらも

心の中で、本名も連絡先も知らない

彼女の勇気と覚悟を称えた。



それを知った後、私はこう思った。


わたしは、なんて恵まれてるんだろう…


居心地が悪いとは言え

帰る部屋があり、

今、バイトを辞めても

なんとか暮らしてはいける。


父親がいてくれるおかげだ


彼が病気で働けないからこそ

生活保護を受けられて

安い家賃で県営住宅に住めた。



中途半端な病気だったら

生活保護とかもらえないもんね。

死んだら、死んだで

きっと私はあの不自由な施設行きだ。


そして働く理由は、自分の将来のため。


今をどうにか生き抜くために!


という彼女たちに比べたら

私なんか、お気楽なもんだ…



その子は、

風俗という新しい場所に行って

これまでとは似て非なる

新しい世界を知るのだろう。


まぁ、ビックリはしたけど

本人が選んだんならいいんじゃない?


夜の世界の子は、みんな、そんなもん。

結局、他人を心配できるほど、

余裕もないし、興味もない、、、



ほんの数週間で騒ぎが終わるようなこの事件も、

私の中では、時と一緒に流れていった。




それよりも、

そんなこと忘れちゃうくらい

もっともっと大きな大問題が

私の前に突然現れ出した。。。





急遽 現われた大問題(第23話)


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