「今この瞬間」を子どもと味わい尽くす
子育ては思い通りにならないことの連続。
体力的にもきついし、ストレスだって溜まる。
そんな時、
「独身の頃は好きなだけ仕事ができて、自由に飲みにいけてよかったな」
「子育てが落ち着いたら、もっと自分の時間を楽しみたい」
など、過去や未来に思考をめぐらせる瞬間はないだろうか。
正直なところ、私はよくあった。
「時間が早く過ぎ去ること」ばかり願っていた
「早く大きくなって欲しい」
「子育てから解放されたい」
長男が乳児の頃は、そんなことばかり考えていた。
1人になれる時間がないことへのイライラ。
フリーランスとしての仕事もほとんどできないことへの焦り。
社会とのつながりが感じられないことへの孤独感。
「どうして私ばかり」と鬱憤を夫にぶつけ、子どもとの“変わり映えのない日常”をやり過ごすために、スマホばかりみていた時期があった。
目の前にいる「子どもの成長」に喜びを感じる余裕なんてなく、ひたすら「時間が早く過ぎ去ること」ばかり願っていたのだ。
「子育ての幸せ」を見失っていないだろうか
そんな子育ての暗黒期を経て、育児が少しラクになったと感じたのは、子どもたちが幼稚園に通い始めた頃。
夜泣きが解消し、夜の睡眠がしっかり確保されたこと。イヤイヤ期が落ち着き、親子でコミュニケーションが取れるようになったことが、主な要因だ。
もちろん、兄弟喧嘩の仲裁や、子どもの突拍子のない危険な行動に疲弊して、怒ってしまうこともあるが、乳児期よりはずいぶんラクになった。
そうしたなか、先日、中学2年生の娘さんを育てる先輩ママさんに、
と言われ、ハッとしたことがあった。
毎日の子育ては、「楽しさ」よりも「大変さ」が上回ることが多い。
仕事と育児の両立に悪戦苦闘し、自分の時間が思うように取れないことにモヤッとする日々のなかで、私は子どもの成長をそばで見守ることができる幸せを軽んじていたことに気がついた。
先輩ママさんによれば、子離れの時期は、「子どもの中学進学のタイミング」がひとつの目安になるらしい。
わが家には、5歳10ヶ月の長男と、4歳0ヶ月の次男がいるが、彼らと毎日一緒に過ごせるのも、せいぜい6〜8年ぐらい。
この春、年長になる長男の場合は、ママべったりの時期も数年で終わりがくる、と思うと途端に寂しくなった。
子育てを味わい尽くすために
先輩ママさんの話を聞いてから、私は「子どもと過ごす時間」を見直すようになった。
忙しい日常のなかでも、「1日のうち10分間、全力で子どもと遊ぶこと」を習慣にしている。
子どもと遊ぶ「10分間」は、家事の手を止めて、スマホもいじらない。何も考えずに、ひたすら子どもと本気で遊ぶ。
もし子どもが何かに夢中になっているなら、無理してテンションを上げて、一緒に遊ぶことはない。
子どものそばで寄り添い、穏やかな視線を送る。目があったらニコッと微笑みかける。
10分間は瞑想するように、子どもの姿に意識を集中しよう。思考を巡らせないのがポイントだ。ジャッジはいらない。
子どもの無邪気な笑顔。思い通りにならなくて泣き叫ぶ姿。何かに没頭する真剣な表情。その一瞬、一瞬を見逃さないように、目に焼き付ける。
すると、変わり映えのないと思っていた日常に小さな幸せを感じ、子どもに対して「今日も元気で、そばにありがとう」と心から思うことができる。
「今この瞬間」は2度と戻ってこない
ヨガの世界には、「今の感覚に集中する」という考え方がある。
子育てを始めた頃の私は、過去に思いを馳せたり、これからやってくる未来に囚われ過ぎたりして、「目の前にある大事なもの」を見失っていたように感じる。
今でもたまに、子どもや自分の将来を心配する瞬間がある。
そんな時は、「今日を幸せに生きること」「2度と戻ってこない"今この瞬間”を味わい尽くすこと」に目を向けていきたいと思う。
未来は「今」の積み重ねでやってくるのだから。