毎日に、小さな冒険を
Will to Wildを貪るように読み終えました。
当初、私は、「この本を私が日本語に訳して出せたら面白いかも」と思いつき、そんな思いつきこそこの本でいう「ワイルドなアイデア」だから、それにチャレンジするのも面白いかもと思っていました。
でも、読み終えた時には、また違う気持ちが出ていました。
私はもっと日々の中にアドベンチャーを欲しているんだ、そう思うようになったのです。
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読みながら、思い起こしていたのは、亡くなった前夫と過ごした日々でした。
亡夫は、死を考えざるを得ない病気を宣告されていたからというのもありますが、それだけでなく、そもそもの気質として、私にしてみたら驚くような冒険的な行動を好む人でした。
一言で言えば、アドベンチャラス。
たとえば、しばらく別れていて、再会することになった日に、車で迎えにきてくれて、「この後、ちょっと取りに行かなきゃいけないものがあるから付き合って」と言われて、どこへ行くのかと思ったら、宅配便の集荷場のようなところ。
そこで、「これが届いたから運ばないといけなくて」と見せられたのはカヌーでした。
そのカヌーには、バレンタイン号という名前が付けられて、私たちはキャンプ場ではない、どこの誰の土地かわからない川べりにキャンプを張って、バレンタイン号で川下りをしました。
晩年は、ツリーハウスを作りたいと言って、実際に土地を買っていました。
彼はツリーハウスを持つことだけでなく、作ることそのものにも情熱を見出していて、私たちは月に何度か、自宅のある神奈川から、土地を買った山梨に行き、周辺の木を手入れしたり、土地をどう使うかの構想を練ったり、バーナーでお湯を沸かしてコーヒーを作って飲みながら、その場で過ごす時間を楽しんでいました。
沖縄に一人で旅行に行ったのに、旅行中に電話が来て、翌朝また電話が鳴ったので出たら、「那覇空港にいる」って言われたこともありました。
それはそれで振り回されているように感じたこともあったのだけど、同時に、私が予想もしないことを思いつくこと、そしてその思いつきを本当に行動に移すことについて、彼はそりゃもうリスペクトの対象でした。
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Will to Wildを読み終えた時、私が懐かしく思ったのは、前夫のこと、そして彼と過ごした日々でした。
彼と一緒の時には当たり前だった小さな冒険が、今はない。
そう書くとネガティブだけど、要は、「そうか、自分はあの頃のようなアドベンチャーを欲しているんだ!」と思ったのです。
同時に、あの頃の私は、彼と一緒にアドベンチャーを楽しんでいて、まるで自分もアドベンチャラスになったような錯覚をしていたけれど、実際には彼が計画し、実行することに乗っかっていただけとも気づきました。
アメリカに来てからもキャンプはよく行くけれど、ほぼ全てが友人から誘われた話に乗っただけ。私が自分で計画したのは一回だけです。
でも、その一回も、かつて友人と行ったことがあって知っている場所でした。
それが良い、悪い、ではありません。
ただ、私は、自分の意志で自分にアドベンチャーを体験させてあげるということはしてこなかったのだ、と思ったんです。
そして、これからは、それをやりたい、と思ったんです。
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私がアドベンチャーから距離をおいてしまっていた理由は、一番は「いろいろ面倒くさい」です。
行く場所・やることの選択から、キャンプ場や宿泊先の調査と予約、仕事の調整、犬たちをどうするか(連れて行くか、誰かに預けるか)まで、出かけるとなると考えてやらなきゃいけないことが多くて億劫になるんです。
アドベンチャーに対しておよび腰になる理由、その二は、よく知らない土地で動き回るのが「怖い」。
とりわけアメリカに来てからは、たとえばロードトリップで、どの街でガソリンを入れるかでもいちいちドキドキします。
だって、よく考えずに降りたら、ものすごく治安の悪い街だったってこと、なきにしもあらずだから、と。
でも、同時に、その面倒くささと怖さを乗り越えてやるべきことなんだ、と思いました。
いや、この世に「べき」なことはありませんけど、自分の望みを叶えてあげるってことはすごく大事で、その望みを叶える過程においては必ずしもワクワクばかりがあるとは限らないんですよね。
むしろ望みが大きくて、自らのコンフォートゾーンを大きく抜けなければいけないほど、抵抗や恐怖が出てくるのは当たり前で、けれど望みを叶えたいならそういった抵抗や恐怖をDealすることが求められるのです。
といっても、いきなりバックパックで世界一周の旅に出るとか、ロードトリップでアメリカ横断するとか、キャンプ場でない大自然の中でキャンプを張ってみるとかは、自分のコンフォートゾーンをいきなり大きく飛び越えすぎていてパニックゾーンに入ってしまうので、まずは日常の中でアドベンチャラスなマインドを持って、小さなことでいいから、自分のコンフォートゾーンを一歩踏み出す、ということを心がけようと決めてみました。
アウトドアでハードコアなアドベンチャーに限定せず、行ったことないサーフブレイクでサーフィンするとか、初めてのレシピにチャレンジしてみるとか、そういうレベルも含めて、毎日に、小さな冒険を。
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私は、いつか自分が肉体を去った時に、前夫に「その後、こんなことがあって、こんなことをして」と報告することを楽しみにしている節があります。
アドベンチャーをすればするほど、報告したい話が増えるわ。
どんなアドベンチャーをしたか、noteで毎回書くことはないかもしれないけれど、Instagramでは投稿していきたいなと思っています。
最初は本当に小さな心の冒険がほとんどでしょうが、続けて行く中で勢いがついて自分で自分を制限していた枠をどんどん手放せるといいなぁ、その軌跡が残るといいなぁ、と思っています。
お付き合いいただける方はぜひInstagramで繋がれたら嬉しいです(一言DMいただければフォローバックします!)。
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