【読書感想文】医者の父が息子に綴る人生の扉をひらく鍵〜選んだ道を正解にする努力の大切さ〜
本を手に取ったきっかけ
中山祐次郎氏は現役の外科医であり、小説「泣くな研修医」シリーズでおなじみの作家でもあります。
そのシリーズをすべて読了し、中山医師のX(旧Twitter)もフォローしています。「お医者さんってこんなことを考えているんだ」と驚かされることが多く、時には「意外と私たちと変わらないな」と親しみを感じます。
そんな彼のエッセイということで、今回も興味深く手に取ってみました。
著者紹介
1980年生まれ、神奈川県出身。鹿児島大学医学部を卒業後、京都大学大学院で公衆衛生学修士を、福島県立医科大学大学院で医学博士を取得。
湘南医療大学の臨床教授を務める一方、消化器外科医として大腸癌治療のスペシャリストでもあります。2018年の著書『医者の本音』が話題となり、続いて発表された『それでも君は医者になるのか』でも多くの読者の共感を得ました。
2019年には初の小説『泣くな研修医』が刊行され、ドラマ化もされたベストセラー作家です。
本の内容
本書は、中山氏がこれまでの人生経験から得た「人生の扉をひらく鍵」を、息子への手紙という形で綴っています。
中でも「これは私の遺書でもある」と記されている点が印象的です。
医学生時代から外科医としての経験を振り返り、人生の困難や挫折について語られたエッセイ。南日本新聞の連載「朝の文箱」を加筆したものであり、「ベストエッセイ2023」にも選出された作品が含まれています。
選んだ選択肢を正解にする覚悟と努力の大切さ
人生は選択の連続です。例えば、今日何を着るか、何を食べるかという些細な選択から、進学、就職、結婚といった人生の大きな決断まで、私たちは日々選択を繰り返しています。
著者は、「選択とは、選び取った後、それを正解にするために現実をねじ曲げる覚悟と努力が必要」と説いています。
この言葉に私は深く共感しました。
何かを決めなければいけない時、自分の責任を避け、他人に選択を委ねてしまうことがあります。
しかし、それでは失敗したときに他人を責めてしまうだけ。
自分で選んだ道を正解にするために、努力を惜しまないことの重要性を改めて感じました。
命のはかなさ
医師である著者は「死の現場」に立ち会うことも多く、人間の命の脆さや儚さを実感しています。
私たちにはいつか必ず終わりが訪れます。
それが明日か、30年後かは誰にもわかりません。
もし自分が1年後に死ぬことが分かったら、今何をしたいか?
自分は今、本当にやりたいことをしているのか?
この一度きりの人生をどう生きるべきかを、読んでいる間ずっと自問していました。
こんな方におすすめ
「息子への手紙」という形をとりながらも、本書には人生のさまざまなステージで直面する困難を乗り越えるための「鍵」が多く記されています。
中学生から社会人まで、進路選択や将来への不安に対するメッセージが豊富で、特に人間関係に悩んでいる方や、迷いや不安を感じている方に強くおすすめしたい一冊です。
医療や人生の重いテーマを扱いながらも、著者の親しみやすい表現で非常に読みやすい内容になっています。