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『センス・オブ・ワンダーを探して』
福岡伸一さんと阿川佐和子さんの対談集『センス・オブ・ワンダーを探して 生命のささやきに耳を澄ます』
ちょっと前にレイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』を読んだら、もともと好きだった福岡伸一さんのエッセイも掲載されていて、Amazonにこの本をお勧めされたので、図書館で借りてきた。
子ども時代のお話から、人体の不思議、科学の進歩と人間の幸福についてなど、ちょっと難しそうな話も対談だと言葉もわかりやすくておもしろい。
そして、2人が読んだ本の話が次々出てきて、読んでみたい!と思う本がたくさんあった。
「勉強よりも体験の中の記憶が残る」という話で、日本だとすぐに勉強的なことを教えてしまうけど、「爪の先だけでも興味の関わりを持たせて、記憶を持たせておくだけで十分」ということが書かれていた。
確かに、子ども時代は特に、頭で考えるよりも心が動くことの方が大事な体験なんだろうなと思う。
「私たちが見ているもの、見えなくなっているもの」というテーマでは、ヴィットーレ・カルパッチョとい画家の描いた絵の話も。
別々の作品と思われていたものが、実は1枚の大きな絵だったという話から、「本当は世界は繋がっているのに、私たちは常に部分を切り取ってその中だけでものを考えがちになってしまっている」ということが書かれていた。
ドリトル先生の話もしていて、ドリトル先生は動物とコミュニケーションできる能力がすごいんじゃなくて、「動物や鳥や文氏や魚が語っていることに耳を澄ませて、その世界のあり方を聞こうとしたのがすごい」ということが書かれていた。
そして、「自然の循環に入らないものを扱ってしまうとコントロールできない。科学って人間に可能なことを教えてくれているようだけど、やっぱり不可能なこともあると教えるのが本当の科学だと思う」とも。
色々な話題、切り口から、命のことや自然環境のこと、そのつながりを考えることができる本。