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良妻賢母はやめよう。

あの頃は
好きな人を
ただ好きなだけでよかった。

仕事と デートと、おしゃれ
今日と、すこし先のこと。

毎日が楽しくて
嫌なことがあったとしても
二、三日で忘れた。

彼と結婚して
〝家族〟のはじまり。

奥さんになった私は

何かスッキリしない
違和感を感じていた。

住まいをととのえ、
食事を用意して
心地よく暮らすために

それを
一手にひきうけなきゃいけない理由は

〝妻だから〟

優しい夫のために
がんばろうと思っていた。

けれど

大好きな仕事をセーブする
さびしさは隠せない。

おかえり、と
ただいま、が

夫と交代でもいいんじゃないか、と
思ってみたり。

そんなこと言ったら
バチがあたるよ、と

気持ちを
幸せの裏側に 押しやった。

〝まだまだできる。
もっとやりたいことがある〟

それを
妥協することも
必要なのだと言いきかせた。


幸せな二人
たしかに
大きな安らぎを手に入れたけれど

一緒になって数年経った時
小さな不安が焦りにかわった。

「赤ちゃんは、まだ?」

身体は健康なのだから
ふつうに授かるものだと思っていたが

毎月、ママになれないまま
月日だけがすぎていった。

妻として
嫁として

夫は私に、自由にやればいい、と言ってくれたが

周りはそうではなかった。

親戚には

仕事ばかりしていないで
早くお義母さんを安心させてやってほしい、と懇願された。

友人には
赤ちゃんって可愛いよ。なんで作らないの?と言われた。

どうやら、皆には
〝赤ちゃんを見送っている〟と思われていたみたいだ。

婦人科の待合いで
大きなお腹の女性が、わたしの右側に座った。

ふんわりしたダブルガーゼのワンピースがうらやましくて
ふと、未来のじぶんを想像していたら

診察室から女性が
泣きじゃくりながら飛び出してきて
わたしの左側にうずくまってしまった。

嗚咽する女性と、わたしと
ふんわりママ。

横に並んで
座っているだけで胸がえぐられるように
くるしかった。

ああ、どうして
女は
こんなにも
強さを求められるのだろう。

どうして
当たり前を
求められるのだろう。

結婚した瞬間から

お受験さながら
次から次へと

高いハードルが用意されているようだ。

物言わぬ冷たいハードルを
わたしは

睨みつけたり
泣いたりしながら

もっと
もっと

女たちが
ココロとカラダを
ゆるめながら
生きられる世の中に
なればいいのに、と
願うのだった。


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satoka
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