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小説「僕らがいたあの夏」誕生の背景 第4回

小説の中に出てくる「ウロコの水着」
これは、実在する水着です。

その名前は、レーザー・レーサー

2008年イギリスのSPEEDO社によって開発されたこの水着は、当時世間をあっと言わせました。

この水着を着て、世界各地の水泳大会に出場した選手たちが、世界記録を塗り替える新記録を次々と出したからです。

この水着は、縫い目が無いのが特徴です。

それにより水の抵抗が軽減され、撥水性にも大変優れた素材でした。

ただ、それ以上になぜこの水着がこんなにも新記録を次々と出したのか…、

その本当の理由は、締め付けの強さにあります。

この水着を着て、体を限界まで締め付けることによって水の抵抗を一気に減らしていく。

これが、世界新記録更新の一番の要因です。

この水着を着るのは、とにかく困難を極めました。
あまりに強い締め付けのため、身につけるだけでかなりの時間を要しました。

チームアクトレ(小説名)でも、このレーザー・レーサーの素材を使ったチームウェアを作りました。

その最初の試し泳ぎの時に、クラブ会員の一人がまだ一度も水に入っていない水着を着用しようとして、破ってしまったのは事実です。

さて、このレーザー・レーサー

2009年に国際水泳連盟(FINA)のルールが改定され、水着素材を布地のみと制限したルールにより、翌年の2010年には、世界の水泳競技からその姿を忽然と消してしまいました。

レーザー・レーサー

この水着は、その性能が良すぎたため
不運の運命を辿った悲劇の水着です。

僕の部屋のタンスの中にも、チームで作ったレーザーレーサーの水着が今も静かに眠っています。

さて、この水着を手に入れた小説の主人公 櫻 幸太(佐藤英一)は、一体どんなレースをするのでしょうか?


小説「僕らがいた あの夏」

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