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⑹ドンデットに着いた

 10人くらいの乗客を乗せて、ボートは茶色い水の中をうるさい音を出しながら進む。皆ワクワクした顔をしていて嬉しそうだ。いくつか小島のようなのものを通り過ぎて、ボートは10分くらいであっという間にドンデットヘ着いてしまう。

 短い船旅はなんだか名残惜しい。船が岸に着くと乗客の重そうなリュックが無造作に船から下ろされる。自分のリュックを拾って、ようやく島の中に歩き出した。
この島は大まかに西側と東側の2つの道沿いに宿が点在していて、宿を決めようと島の東側(サンライズ側とも言う)を少し歩くと、前は雨季でぐちゃぐちゃの土の道が続いていた所が、きれいに舗装されている。5年も経つのだから色々変化があって当然だけど、歩く感触が全然違って少しがっかりしてしまった。おまけに今にも雨が降り出しそうだ。

10分くらい歩くと、5年前に泊まったバンガローがあったはずだけど、見つからないままかなり遠くまで来てしまった。少し来た道を戻ると、この辺りかな?というところにボロボロの跡地のようなものがあって、宿は潰れてしまったのだと分かった。料理もシェイクも美味しかったので残念だった。

2018年撮影の無くなったバンガロー兼レストラン。誕生日パーティーをやっていた。


 他にも空き家のようになったレストラン跡や更地になった所もちらほらあって、ここも明らかに前より活気がない。と言うより、観光客が少ないからそのように見えるんだろう。元々観光客に収入を頼っていた所はキツい数年間だったろうなと思ったが、それは観光産業ではない自分も同じだった。
 後で話を聞いたら、この島は元々警察がいなくて、大麻が買える場所としても知られていたけど、タイの法律が変わってタイで大麻が買えるようになったのも観光客が減った原因の一つじゃないかなと言っていた。ここを南に通過する人は、カンボジアに抜けてベトナムかタイに行くのが王道のルートなんだろうけど、つまりこの島をスキップする人が増えたのだろう。いい所なんだけど。

2018年撮影。大体こんな感じのイメージだったけど…
2023年。大分雰囲気が変わった。

 東南アジアでいちばん夕陽がきれいな場所、というのがぼくがここに興味を持ったきっかけだった。島の西側を少し歩いて、肩も痛いし適当に宿を決めて、荷物をベッドに放り出した。

続きます。


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