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サディアス死す!『ミスター・ミラクル』byジャック・カービー #1 中編

今回は前回に引き続き、来月9月末に刊行予定のトム・キング&ミッチ・ジェラッズによるミスター・ミラクル日本語版に備え、原作となった1971年刊行の『MISTER MIRACLE #1 』の物語をご紹介。前編をまだお読みでない方は是非こちらから!

前回ガテン系鉄腕おじさんことスティールハンドが何やら企んでいたちょうどその頃、サディアス邸に招かれたスコットはサディアスの息子テッドの部屋で手厚いもてなしを受けていた。息子テッドはかつて"グレート・サディアス"と呼ばれていた彼にミスター・ミラクルの名とスーツを考案した張本人。オベロンの手伝いをするのが大好きだった彼だが、残念ながら既に韓国で亡くなっていることが明かされる。いかにも本編に絡みそうな要素が出てきたがこの後死の真相など特に触れられる事なくこれにて出番終了(何だったんだ…)

そうこうしている内にリハーサル(前編の冒頭のアレ)の疲れが溜まった様子のサディアス。何でも"ビッグ・トラップ"に備えているらしいがそのことをスコットに聞かれると…

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「この話はまた次の機会にするとしよう!オベロンは気に入らないようだからな!」
「それは間違いないぞミスター・ミラクル!ワシの意見を言わせてもらえば…」
「…あ、あぁそうだこのポスターは見せたかなスコット?数千枚刷る予定なんだ。これは全国的なキャンペーンの…」
「ハッ!まーた博学才穎なミスター・ミラクルさんがこの手で話題を変えおったわ!」

もはや本当にパートナーなのか疑わしくなってくるが、なんでも相当危険なものとのこと。だがここでスコットが「よく分かりませんがたぶん僕何とかできますよ」的な方向に話を持っていったため、急遽スコットが”ビッグトラップ程ではないが若気の至りを覆すには十分なやつ”(サディアス談)に挑戦してみることに。サディアスも凄く嫌味ったらしい…

というわけで全身に鎖を巻き付けられキツく圧迫されたスコット。果たしてその脱出方法とは…

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!?

棒立ち状態から突如として粉々に吹き飛ぶ鎖。もはや脱出ではなく破壊行為でしかない事態に呆気に取られる2人(オベロンに至っては鎖飛散時に神を仰ぐ始末)
実はビッグトラップ(仮)を開始する直前、スコットはバッグから謎の道具を取り出していた。何でもそれは”ガス・液体・固体全てに作用する代物”らしい。「それ現代の科学力を超越してない?」と聞かれた彼の回答は

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「強力な磁気の反発を受けても鎖がバラバラにならないと思いますか?」

(実はこれ、スコットが脱出してきた惑星アポコリプス製の道具で地球の科学力を遥かに超越している代物。しかしスコットは自分の身分を隠している故、今回の話では読者にも最後まで説明されずに終わります)

それらしいことを言って話を逸らしたスコット。しかしさらなる追求を受けたスコットの捻り出した回答は

「このバッグに入ってるものは全て僕の見知らぬ両親のものなんです。僕はこれを全て相続して…そ、それでずっと持っていたという…」

かなり苦しいお答えとなったものの幸いこの場はなんとか乗り切ることに成功。この道具に関心したオベロンはビッグ・トラップ対策として道具の使い方を教わるようサディアスに促すが…

「お前さんになら扱える!彼の助けを借りるのだ!そうすれば死なずに済む!」
「黙るんだオベロン!プロフェッショナルたるもの、いかなる場合も自分のやり方に生死を委ねるまでよ!」

そして…

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「スティールハンドを怯ませるには今のままで充分よ!奴は私が勝つと分かっているのだからな…かつて我々が交わした賭けに!」
「分からんかスコット?スティールハンドがチャンスを与えるはずがない!イカサマされて殺されるに決まっとる!」
「分かりかけてきましたよ…」

読者にとってもようやくスティールハンドとサディアスの関係が「分かりかけてきましたよ…」

そして翌日、例によってビッグ・トラップ対策に勤しむサディアスを手伝うことになったスコット。今回のサディアスは木に縛りつけられ、その状態でオベロンが丘の上から転がす鉄球が激突する前に脱出するという想定。

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自信満々のサディアスにオベロンが球を放った!
ちょうどその時…

「あばよミスター・ミラクル!これで賭けはチャラよ!」

そしてどこからともなく銃声が響いたかと思うと…

「スコット…私は…身体が…逃げるんだ…」
「僕のやり方の出番が来たようだ…ここで使わずしていつ使う!」

狙撃されたサディアスに迫る鉄球!その正面に飛び出したスコット!

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「いくぞ!掌に力を込めて…」

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「やった!軌道を逸らしたぞ!」

すかさずサディアスに駆け寄るスコット。しかし…

「スコット、もう君にできる事は何もない…私のショーは終わったのだ」
「スティールハンドは脱出不可能な罠を…“ビッグ・トラップ”を考案したと言っていた…しかし気づくべきだった…それが…“死”そのものだと…」
「スコット…そばにいてくれ…」
「ここにいますよ…」

そう言いながら右腕を巻くるスコット。そこには謎のホルダーと共に手の平サイズの箱らしき物が。それをサディアスにかざすと…

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「なんだこれは…聞こえる…とても落ち着く声が聞こえる…痛みが…和らいでいく…」

こうしてミスター・ミラクルことサディアス・ブラウンの人生という舞台は幕を閉じた…

(ちなみにここで登場したのはニュー・ゴッズ関連ではお馴染みのマザー・ボックスという装置。テレポーテーションなど様々な機能が搭載されておりほぼなんでもできる最強アイテム…なのですが言うまでもなく読者には一切説明ナシ)

「分かっておった!ワシには分かっておった!いつかこうなると…どうしてワシの言うことを聞かんかったんじゃ…」

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サディアスを前に崩れ落ちるオベロン。ここまで喧嘩ばかり描かれてきたものの、彼の一番の理解者は紛れもなくオベロンだったのだ。そしてオベロンから真実が語られる。

実は前回スティールハンドから”時代遅れ”呼ばわりされていた通り、サディアスのミスター・ミラクルとしてのキャリアは陰りを見せていた。しかし彼には絶対的な自信があり、先程紹介した通り全国的なキャンペーンを行いカムバックを果たそうとしていた。しかしそれには多額の資金が必要。そこで彼はある行動に出る。

遡ること数年前、彼は何らかの理由(これまでの話からするとおそらくリハーサル中の事故)で重傷を負い病院へ運び込まれていた。勘の良い方ならもうお分かりかと思うが、同じ頃、腕を撃たれ病院で手術を受けた男がいた。
そう、スティールハンドである。彼と出会ったサディアスは自身の考案したビッグ・トラップならサディアスに勝てるという彼の言葉に乗り、1万ドルを賭けて互いに病院を後にした…

それから長い年月が過ぎ、スティールハンドは移植した新たな腕によりたちまち悪名高い地位を手にした。彼にとって賭けの話はもはや忘れ去ったことだった。
だが復活のための資金を求めていたサディアスは数年越しにスティールハンドに接触する。
そしてその結果…悲劇が起きてしまったのである。つまりオベロンの言うように、最初からビッグ・トラップになど挑もうとしなければサディアスが命を落とすことは無かったのだ…

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「さてスツーカ!お前の新しいおもちゃとやらを見せてもらおうか!」

それから数日後、他力本願で面倒な相手を倒しご満悦のガテン系おじさんはご自慢のパワーを見せびらかすため(これだけのために)部下に作らせたブリキ製のロボットと力比べをしていた…

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「悪くない!悪くない!強いぞこいつは!」
「さらに圧をかけましょうか?」
「ああ!こいつがビルを破壊しても驚かんね!」
「だがワシのスティールハンドはそれ以上だ!誰もこのパワーには敵わん…地球上の誰もな!」

してやったりの表情でおじさんが一服していると…

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WHA!?

真顔でしれっと部屋にすげぇやつが入ってきた!これがスコット・フリーがミスター・ミラクルとして初めてコミックに登場した瞬間だ!

…シュールすぎるんだよ!

というわけでついにスティールハンドとの直接対決が目前に迫る!果たしてその結末は?そして結局”ビッグ・トラップ”とは何なのか?気になる続きは近日投稿予定の後編で!そしてトム・キング&ミッチ・ジェラッズのミスター・ミラクルは来月9月30日発売予定!

今回底本にしたのはこちら。画像は全てこちらから引用しました。
All images are drew by "Mister Miracle by Jack Kirby (New Edition)".


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