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【マジでつらいよ】新・男はつらいよ 感想(ネタバレあり)

1970年2月27日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの4作目。

あらすじ(要約)

旅先の茶店で家族の絆に触れた寅次郎は、甥や家族への土産を抱え柴又へ帰りたいと思う。名古屋の競馬場で大穴を当てた寅は、おいちゃん夫婦をハワイ旅行に連れて行くと大はりきり。しかし、旅行代金を旅行会社の社長に持ち逃げされ、計画は破綻。失意の寅は柴又を飛び出す。
後日とらやに戻ると、2階を間借りする美しい幼稚園教師・春子と出会い、次第に心惹かれる。春子は父親との確執を抱えつつも、寅や周囲の温かさに少しずつ心を開く。一方で、春子には仙台に住む男性・会沢の存在が。春子の部屋に会沢が訪れる姿を目撃した寅は、自分の思いが届かないことを悟り、寂しさを抱えて旅立つ。
家族や周囲はそんな寅の思いを噛みしめ、彼を案じる。しかし寅は、そんな過去のことは忘れ、旅先の汽車の中で周囲の乗客の爆笑を誘っているのであった。

あらすじを書いてみたが、寅さんの面白さはこういったまとめ文章ではまったく伝わらないと思う。私は感想文が苦手なのもあるが、「男はつらいよ」を見ていてどこが面白いのか言語化するのは、他の映像作品よりも難しいと感じる。寅さんは見る前に想像していた以上にダメな大人であり、人情家だけど気持ちだけが先走り、まったく頼りにならない。だけど、なんだかんだでみんなに愛されている……と思いきや、実はちょっぴり本気で煙たがられているのが面白い。

こういう寅さんのように、純粋ゆえに面倒くさい人って実際の人間関係にもいるし、巻き込まれたりすると本当に大変だなぁと、人生を振り返って苦い思い出をフラッシュバックさせられるリアルな存在感が「男はつらいよ」シリーズにはある。

私もそれなりの年齢になり、そういった人間関係の煩わしさからある程度解放されたので、今は「男はつらいよ」をフィクションとして楽しめているのかもしれない。寅さんが実際に身内にいたら面倒で距離を置いてしまうだろうが、こうやって安全地帯から眺める分には、ちょうどよいハチャメチャさで楽しい。

今回の「新・男はつらいよ」では、競馬で100万円を当てるも騙し取られてしまう寅さん。今時の映画だったら、最後に100万円が戻ってきたり、お金は戻らなくても偶然が重なってハワイに行けることになったり、恋は実らぬも春子先生からほっぺにチュッとされて「これで100万円分の幸せだねぇ~」なんてオチもありそうなものだが、「新・男はつらいよ」にはそんな甘さはない。
いつものようにバツが悪くなり家を飛び出し、寅さんはまた目的のない旅に出る。しかし寅さんはめげることなく、旅先の汽車の中で乗客たちを交えながら爆笑し、映画は幕を閉じる。

この映画の中で、寅さんの運勢は無慈悲にもマイナスからさらにマイナスへと向かうが、それでも最後に笑っていられる寅さんの胆力や精神性が「新・男はつらいよ」の魅力だ。
今までは「男はつらいよ」なんて言うけど、妹のさくらのほうがよっぽどつらいよ!と思っていた。しかし今回の寅さんはさすがに「つらい」。
それでも寅さんは笑っている。そんな寅さんが今では正直好きだ。
実際にいたら間違いなく困るだろうけど、「新・男はつらいよ」、面白かったです。

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