14ひきのシベリア鉄道0 〜 きっぷを買う刺身
2022年7月9日から25日にかけて、ロシアをざっくりと横断してみることにした。
ことの発端は、6月上旬のある日。
その日私は航空券があまりにも高すぎるために帰国を断念し、日本に帰れないことが確定したことをツイッター上で盛大に嘆いていた。
すると、かねてからツイッターで好きな珍味の話などでしばしば交流のあったモスクワ在住の相互フォロワーさんから、「(前略)シベリア鉄道乗りませんか?」とのお声がけがあったのだ。
ロシア語を始めるか否かの頃、私の中でロシアといえばまず思いつくのがシベリア鉄道かプルシェンコかバレエかというくらい、シベリア鉄道には漠然とした憧れを抱いていた。
シベリア鉄道に乗った人のブログなどもかなり読んだが、実行するきっかけがないまま私はロシアに渡り、ロシアみを帯びるにつれてかえってそんな憧れは息を潜め、私はいつしかペテルブルクで家と学校を往復するだけの人になっていた。
そんな私の中の憧れが、この魅力的なお誘いのメッセージでパチンと目を覚ました。
私は二つ返事で同行の旨を伝えた。
憧れも大きな動機となったが、他にも私の背中を押すものがあった。
いうまでもなく世界の様子は深刻で、ここにいる限りどうしても、寝ても覚めても重苦しい現実から離れることはできない。
立場上あんまり大きな声で何かをいうこともできないが、思うことは色々ある。
だからこそ、今このタイミングでペテルブルク以外のロシアを見ておきたいと思った。
ソ連崩壊後のこれまでの30年も大きな変化があっただろうけど、きっとこれからもまた、変わってしまうだろうから。
そんな、幸か不幸かこれまでとは違った意味で変わっていくであろうロシアの1ページのしおりになりたいと思った。
垣間見て、それをいつの日か見返し、私自身がちゃんと思い出せるように。
このメッセージを送ってくれた相互フォロワーさん、以下旅の同行人はすごい人で、私が最も苦手とする作業の全てが得意で、今回の旅程は全てこの同行人が作成してくれた。
こんなことでいいんだろうかというくらいに私は何もしていない。サイトでホステルを一緒にのぞいて、一緒にきっぷを買っただけだ。
事前準備のほとんどをこの同行人に任せてしまったが、この人はそんな私に呆れるでもなく全てをサクッと手早くこなした上に私にもわかるように読めるように説明までしてくれるすごいお方であった…一生ついていきます。(迷惑行為
さて、そんなこんなできっぷ購入のお話をまず書いていく。
我々が購入したのは6月26日、旅行のおよそ二週間前。
シベリア鉄道に乗った人のブログなどを読む限り、そもそもウラジオストクあるいは中国など東から西のモスクワに向かうルートの人が多かったし、客室タイプで一部屋4人のクペー(3等)以上のランクの席を取っていた人が多かったように思う。
しかし我々は生粋のプラッツカルター!迷うことなくプラッツカルト。
さすがのシベリア鉄道は超長距離列車なのでいわゆる座席というのはなく、プラッツカルトが1番安い席となっている。
(※ペテルブルク〜モスクワ間くらいの寝台だと近いと見做されるのか何なのか9-10時間座ったまま移動するとかいう超安いが超過酷な座席タイプも販売されている。)
プラッツカルトは1車両につき54のベッドが仕切りなしに並んでいるタイプの車両で、ほとんどの車両はこのタイプ。
途中下車をするので、
①サンクトペテルブルク〜モスクワ(これは私だけ)
②モスクワ〜カザン
③カザン〜エカテリンブルク
④エカテリンブルク〜ノヴォシビルスク
⑤ノヴォシビルスク〜イルクーツク
⑥イルクーツク〜ウラン・ウデ
⑦ウラン・ウデ〜ハバロフスク
⑧ハバロフスク〜ウラジオストク
の8回に分けて席を検討し、購入していく。
ペテルブルク〜モスクワ間は常に本数が多く一日中出ているが、他の路線はそこまで選択肢は多くない。
基本的に他の人に気を使わなくて済む上下で取っていくことにしていたけど、ハイシーズンで近しい日は特に席がかなり埋まっていたので、②、③あたりは2人とも上段だったような気がする…(早速薄れゆく記憶)
通話しながら慎重に、購入を進める。
ちなみにかつては日本からでも旅行代理店を通すか、あるいはクレジットカードで個人的に購入することができたようだが、経済制裁の少し前から海外発行のカードでは購入しにくくなっていた。
当然今は日本のクレジットカードは全く使えない。
しかしロシアの銀行口座があれば、外国人でもРЖДのアプリやサイトから簡単に購入できる。
今回は旅行の本編にまだ入らないのでついでにちょっとこのアプリがどんな感じなのか載せてみる。
アプリの立ち上げ画面。
РЖДとはちなみに
Российские ロシア
Железные 鉄
Дороги 道
のこと。
これはメイン画面。
↓↑のところにそれぞれ行き先を入れる。
とりあえずペテルブルクとモスクワを入れてみたところ。
次に日付を選択。航空券みたいに安い日から選ぶこともできる。
日付を選んで赤いボタンをクリックすると、
こんな感じで0時過ぎから23時台まで様々な寝台列車や特急がずらっと出てくる。
乗りたい時間えおタップすると、次にどの車両のどの席にするのかを選ぶ。
どの車両にもトイレは必ずついていて、ペットを連れて乗れる車両もある。
また、車椅子など身体的な配慮が必要な人用の席もある。
車両を選ぶと、席の選択画面が出てくる。
白くなっているところが空いている席。
奇数席が下段、偶数席が上段。
コップのマークのところにはサモワール?お湯とお水が汲み放題なので、カップラーメンを作ったりお茶を淹れたりできる。
せいぜい一晩に一回くらいしか使わないのに私は何故かこのサモワール近くの席が好きで決まって53、入口通路側下段をおさえる。
あとは名前やパスポート情報を入れて、以前ならApple payなどが使えたが今は使えないのでカード情報を入れて決済すれば完了。
これは電子チケット。ネットやアプリで購入して窓口に出向いて紙チケットを発行することもできる。
実際のところこれらを見せることはほぼないに等しく、パスポート情報しか必要ないので私は発行したことはない。
さて、さらについでにアプリの他の項目も記念(?)に載せてみる。
画面右上のカートの横を押すと、こんな画面が出てくる。
いろいろな項目があるけど私がよくわからん部分は置いといて、使っている部分だけを紹介する。ひとまず緑で囲ったところを。
まず1番上から、
Перевозтик…辞書で引くと運送業者となっているが選択肢的には速いかそうせもないかの二択、多分。
Бренд поезда…電車の種類を選ぶ。
Фирменный…会社の(普通の)
Ласточка…ラースタチカ、ツバメ
Сапсан…サプサン、はやぶさ
Стриж…ストリジュ、アマツバメ
鳥の名前がついているやつが高速鉄道ないし時間が短い列車。
なぜツバメが二種類あるのか、そこに序列はあるのだろうか。謎。
Тип Вагона…車両タイプ。ここにチェックをつけておくと最初からその席しか出て来ないので便利。
●Базовый…標準
●Бизнес класс…ビジネスクラス
○Купе…クペー
○Люкс…リュクス(最高級、多分)
○Плацкарт…プラッツカルト
○СВ…一等車、プレミアム寝台(Спальный Вагонの略、多分)
○Сидячий…座席タイプ
●Зконом…エコノミー
混ざっているので分かりにくいが、●は高速鉄道、○は寝台の車両。
そういえばどっちも乗ったことがあるはずなのにサプサンの標準席とエコノミーの違いは一ミリもわかっていない。
Услуги…サービス。Wi-Fiや車椅子など手助けが必要な場合の席など。パッと見てわからないやつは私もよくわからない。
1番下の空欄二つは、下限と上限を設定してチケットを探すためのもの。
今回初めて知ったのだけど、往復で時間を設定して空席を探すことができるらしい。知らなくてずっと別々に買っていた。
大した手間ではないのでいいのだけど…なんか割引があったりするのだろうか。次回は試してみようかな。
さて、アプリの観察でかなり脱線してしまったけれども、旅の準備はこれで万全。
そんなわけで次回からはいよいよ旅行の思い出語りに入っていこうと思う。
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