14ひきのシベリア鉄道2 〜 カザンについた刺身 (2022.7.10前編)
↑↑前回のおはなし
7月10日朝 タタールスタン共和国、カザンへ到着。
街灯、駅前
ホステルに荷物を預けることを試みるも撃沈、駅に戻ってコインロッカーへ。
ロシアの駅では有人の荷物預け所に荷物を預けるのが主流だったと思うけど、コロナをきっかけに広くコインロッカーが設置され、定着したような気がする。
とにかくみんな鞄がデカいので、一番小さなロッカーでも二人分の荷物くらいならすっぽり入る。機内持ち込みできるスーツケースとリュックくらいなら余裕だ。大きなスーツケースでも入りそうなロッカーももちろんあるので、そんなロッカー群はかなりのスペースを占める。
ペテルブルクのモスクワ駅は個人的に置き場所がいまいちで景観を損ねている気がしたけど、カザンは独立したスペースに置かれていてよかった(主観)。
さて、荷物を預けて身軽になるも、朝早すぎてまだどこも開いてないので、ひとまずクレムリンへ向かうことに。
朝の5時過ぎはまだ日が出ていても暑くなく、散歩には快適な気温なのだが、驚くほど人がいない。
クレムリンの周りの道にも、クレムリンの中にもほとんど人がいない。
周辺から中まで結局従業員らしき人を含めても両手分くらいしか見かけず、終始貸切に近い状態で景色を満喫。
何という贅沢な空間…暑くないし、最高だ。
まだどこも開いてなくて暇なので、この後はメトロの駅巡りを決行。
ペテルブルクやモスクワと違って駅数が多くないのでちょっとした時間で回れる。
1ジェトン36ルーブル、電子決済だとジェトンの購入でもカードをタッチしても31ルーブル。
さほど駅数がないからか、一日乗り放題とか回数券的なカードのようなものはないらしい。
記念にジェトンを一つ購入。
ジェトンは財布にしまい、カードで改札をくぐってホームへ。
白い壁に、粗めのモザイクで描かれたいくつかの絵、そしてベンチと塔がセットになったみたいな電灯。コンパクトな駅だがまとまりがあって美しい。
暇なので順番に降りる。ソ連味の強い、要するにロシア的にはなんの変哲もない駅に混じっている綺麗な駅にまれに出会う。
そう多くないとはいえここでメトロの全駅を紹介するとえらいことになるので、また機会とやる気があればまとめるとしよう。
それはそうと、とにかく、とにかく寒い。ホームが異常に寒い。
朝とはいえ外はそれなりに気温が高く、日中に向けて更に上がるとの予報だったのでカーディガンひとつもたずに出てきたのだ。
最終的にはスマホを操作する手が悴んで誤操作するレベルで冷えてしまった。
乗ったり降りたりしながら寒さを誤魔化しつつ、なんとか無事全駅を制覇。
久々に地上へ!
目貫通りを散歩する。
クレムリン周辺もそうだったが、とにかく美しい。
建物がモスクワやペテルブルクに比べて少し小ぶりなせいか、見栄えもコンパクト。
しかし清潔で建物の破損も目につかず、とても美しい。
さて、美しい建築物と同じぐらい、あるいはそれ以上に目に入ってくるのはチャクチャクだ。
ねっとりしたかりんとうとも言われる蜜に浸されたらしい揚げ菓子(おそろしくて食べたことない)で、ロシアのどこでも買えるお菓子ではあるがこれほど至るところで主張されているのは初めて見た。
うどん県におけるうどんもこんな感じなのだろうか。(妄想)
うどんなら私も喜ぶがチャクチャクには一ミリも興味がないのでスルー。
路上でも、スーパーでも、土産屋でも、とにかく三歩歩けばチャクチャクが買えるのではないかというレベル。
私は甘いものがあまり好きではないので、チャクチャクがひしめく土産物屋で熊と馬と鴨の肉を買った。
チャクチャクに目をくらまされがちだが、今思えば他の都市に比べてカザンは何故かこうした干し肉とかサラミとか加工肉類の種類も豊富だった。何か理由があるんだろうか。(相変わらず調べないマン)
すでに売るほどお茶を持っているが、ご当地ブレンドに興味があるのでいくつか購入。(まだひとつめの都市なのにさっそく荷物を増やす。)
ロシアはお茶の国だけあってどの地域でも多種多様な茶がよく売られているが、それにしてもカザンは割とお茶愛を感じた。
チャクチャクの仲間でバラ売りの、ひときわ可愛いお菓子があったのでついでに購入。このくらいならば私も食べられる。
さて、街歩きを続けながら食事どころを探す。
歌う少年の後ろにいるのは、カザン出身でマリインスキーでも活躍したバス歌手のフョードル・シャリャピン。
彼はロシア革命後は徐々に国内での活動が難しくなり、結局ディアギレフとの仕事で縁のあったパリに亡命状態で渡ったとか。
現在お墓はモスクワに移されている。
世界中で活躍したが、なんと日本でも演奏会があったそうな。
参考までに彼の録音を貼っておく。
サムネイルはオハコであった、ムソルグスキーのオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』で主役を演じるシャリャピンの絵、曲は有名なロシア民謡のひとつである黒い瞳。
さて、いろいろ悩んだ末に、一行(?)はご当地系ファストフードへ行ってみることに。
小腹も満たしたので、観光を再開。
次の目的地は、大学見学。
目抜き通りは真っ直ぐなのだが、そこを横切る道はなかなかに急な坂。
えっちらおっちらと坂道を登る。ペテルブルクは全然坂がないのでこの感覚はものすごく久しぶりだ…
坂を登っているあたりからかなり暑くなってきて、校舎を眺めながら段々と飲み物とアイスのことしか考えられなくなってきた。
休憩を挟んで、再度クレムリンへ。
さっき入れなかったモスク目掛けて。
変なタイミングで区切ってしまうけど、続く!