見出し画像

世界の中心で愛を叫ぶ人【日本語】ヨバヒト(柳田國男『遠野物語』)

ヨバヒトは呼ばい人なるべし。女に思いを運ぶ人をかくいう。(79)

柳田國男『遠野物語』(1910)

そうだったのかー。

「よばい」はてっきり「夜這い」だと思ってたんだけど、これは後からあてられた漢字で、もとは「呼ばい」だったらしい。

語義は「呼び続けること」だそうだ。

そして呼ばいをする人は「ヨバヒト」。「女に思いを運ぶ人」とは、またうまいこと言ったものだ。

しかし、いくらうまいことを言ったとしても、「夜這い」という表記が定着しているせいで、現代では「ストーカー」にされてしまいかねない。

ヨバヒトに代わる現代語が必要だ。

「告る人」、すなわち「コクラー」というのはどうだろう。女性に想いを告げる人だ。

…なんか軽いな。新幹線で「次は小倉ー」みたいでもある。

「告げる人」すなわち「ツゲヒト」(注1)というのはどうだろう。

悪くない。柘植の高級感も漂う。『PLUTO』のゲジヒトにも似てかっこいい。

これでいこう。

ではみなさん、今晩から「ツゲヒト」でひとつお願いします。もちろん自己責任で。 


注1. 公開したあとで念のためと思って調べてみて、「告げ人つげにん」という言葉があることを知った。人が亡くなったことを近隣に伝える人のことだそうだ。また、佐藤左千夫の作品に『告げ人ツゲビト』というのがあるそうだ。人間の考えることは似たようなものだということである(そう…なのか?)

いいなと思ったら応援しよう!