ドイツ人にとって ge- は空気みたいなものなのか【ドイツ語】Geraschel(『ホビットの冒険』)
13人のドワーフとホビットのビルボが、冒険の旅に出かけて、初めての困難にみまわれる場面。
擬音語・擬態語がテンポよく、コミカルに使われている。気になるのは、すべて動詞の過去分詞形から派生しているように見える点だ(rascheln〔ガサガサいう〕なら過去分詞形は geraschelt, schimpfen 〔文句を言う〕なら geschimpft)。
オノマトペにいちいち ge- がついているのって、ドイツ人は気にならないのだろうか。
日本語なら、「ゲガサゴソ」とか「ゲブツブツ」みたいに、すべてのオノマトペに「ゲ」がついていたら、かなりじゃまだ。「ゲロゲーロ」とか「ゲバゲバ」とか「ゲロッパ」などでもわかるように、「ゲ」で始まる言葉はけっこうなパワーワードだ。
ドイツ人は過去分詞で ge- を使い慣れ、聞き慣れているから、ゲでもない、じゃなくて、屁でもないのだろうか。きっと青空球児・好児がドイツ人だったら売れなかっただろうし、ドイツで『ゲバゲバ90分!』を放送しても鳴かず飛ばずだったに違いない。「ゲロッパ」を売りにしないジェームズ・ブラウンの一人勝ちになっていたことだろう(なんだこの結論は)。