見出し画像

明け方と夕方の区別がつかなくなったときのために【ドイツ語】dämmern(J.R.R. トールキン『ホビットの冒険』)

Gandalfs Kopf und Bart zuckten hin und her, wenn er nach den Steinen suchte, und sie ritten ihm nach, aber als es zu dämmern begann, schienen sie ihrem Ziel nicht näher gekommen lzu sein.(p.71)
道標べの石を探して、ガンダルフの頭とヒゲはキョロキョロとあちこちに向けられ、みんなはあとからついていきましたが、薄暗くなってきても、目的地に近づいている様子はぜんぜんありませんでした。

J.R.R. TOLKIEN / Der HOBBIT oder Hin und zurück (1937, 1965)

説明不要のファンタジーの名作より。

ガンダルフの道案内にしたがいながら、竜の住む山を求めて、一行が谷間をさまよっている場面。

今回初めて知ったが、dämmern は『クラウン独和辞書』によると「(日の出・日没後に)薄明るく(薄暗く)なる。夜明け(日暮れ)になる」の意。

ワーグナーの Götterdämmerung『神々の黄昏』から、てっきり日暮れの意味かと思っていた。

これも今回知ったことだが、英語の twilight も同じで、日の出・日没のどちらにも使える。これもてっきり日暮れ限定だと思っていた。

西欧語の特徴だろうか。

「明るくなりつつある」も「暗くなりつつある」も、「薄明るい」も「薄暗い」も、同じことだというのだ。

大味なやつらめ(口悪いぞ)。

ということは、あなたが、まるでミステリの登場人物みたいに、ふと意識を取り戻すと周囲が薄暗く、朝なのか夕方なのかわからない、というような状況に立たされたとしても、「朝かしら?夕方かしら?」と迷う必要はない。

Es ist Dämmerung!

と一発かませばよいのだ。

まあ、「なんだか薄暗いなぁ」でも全然いいのだけれど(どないやねん)。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集