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【日本語】矢目

「馬で来られるな」
「はっ、使者は馬です」
その返答に眠気が完全に消えた。
使者は大伴一族の矢目である。 (491)

黒岩重吾『ワカタケル大王』(2002)

ワカタケル王子(後の雄略天皇)と兄の安康天皇の対立が表面化し始め、諜報活動が活発になってきた場面である。

「矢目」とは、「急使」とか「早飛脚」のようなもので、「目的地に早くつくことに秀でた人、またはそれを目的とした役職」というような意味の古語かと思ったら、単に人の名前だった。

韓国語の文章を読んでいると、辞書にない単語を色々調べてみてやっと人名だと気づく、ということがままあるが、それは私の語彙力があまりにも低いからで、日本語でそういうことはめったにないので新鮮だ。

この小説には他にも「かたり」とか「長手ながて」とか「小弓こゆみ」とかいった登場人物(すべて実在らしい)がいて、どれも下の名前だが、知らないと人名とは思えないようなものも少なくない。

中には「物部目もののべのめ」なんて人もいる。目がおっきかったのだろうか。

彼らがどんな人だったのか、名前から想像してみるのもおもしろい。

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