ひちにんのさむれえ
恥ずかしながら、初めて観た。
なるほど、おもしろい。
ストーリーも美術も音楽も映像も構図もよいが、なにより俳優たちの演技がみんないい。
断言しよう。傑作である、と(70年遅い)。
映画好きなら、観たほうがいい(お前が言うな)。
ただ、セリフを聞き取れなくて難渋した。字幕付きで観た。
当時の観客はみんな字幕なしで観れたのだろうか。
邦画でこれだもの、いまだに洋画を字幕なしでは観れないのも仕方がない、と慰めにもなった(言い訳にするな)。
一番印象的だったのは「さむれえ」。
「うるさい」が「うるせえ」、「帰れ」が「けえれ」になる、いわゆる江戸言葉は知っていたが、「侍」にまで活用されていたとは。
「侍」と言えば武士道だが、「さむれえ」になると一転、無頼感が増して、洒脱になる。野武士にぴったりの、いい響きだ。
しかしたとえば「江戸時代」を「えどじでえ」とか、「阿弥陀如来」を「あみだにょれえ」などというのは聞いたことがない。
このなまりは和語限定なのだろうか。
と思ったら、ウィキペディアの「江戸言葉」には「大根(デーコン)」(注1)という例があった。
じゃあやっぱり「ねーかくそーりでーじん(内閣総理大臣)」とか、「ちょーねーせーきん(腸内細菌)」とか言ったってかめーやしねー、ってこったな。てゃんでぇちくしょーめ。
注1. と思ったら、「大根」は和製漢語らしい。漢語なのに江戸言葉が適用できるのは、だからかもしれない?