あの日、少女だった。 思えば、本の虫だった。 図書館の本を年間で100冊以上読むと表彰してもらえると知った小学校低学年のある日から、わたしは本に取り憑かれて行った。…
かつて、弟分がいた。 彼と知り合ったのはひょんなことからだ。 気づいたら「弟くん」、「ねーちゃん」と呼び合うようになっていた。 当時彼は高校を出たての専門学生で…
「ねえ、そのお金何に使うの?」 そういうおじさんが嫌いだった。 「はい、お小遣い。これで少しでも女を磨くんだよ。」 そう言われると罪悪感しかわかなかった。 シャワ…
ぽっち。
2019年9月19日 15:24
あの日、少女だった。思えば、本の虫だった。図書館の本を年間で100冊以上読むと表彰してもらえると知った小学校低学年のある日から、わたしは本に取り憑かれて行った。とはいえ、動機はただ賞状というものが欲しいだけのことだった。最初はどんな本が好きか分からなかったため、『ファーブル昆虫記』や『シートン動物記』から入った。正直、退屈だった。フンコロガシについての衝撃しか残っていない。
2019年9月4日 00:03
かつて、弟分がいた。彼と知り合ったのはひょんなことからだ。気づいたら「弟くん」、「ねーちゃん」と呼び合うようになっていた。当時彼は高校を出たての専門学生で、面白いデザインのジュエリーを沢山作っていた。わたしはというと、世間では「お嬢様学校」と呼ばれる大学の3年生だった。彼には妹ちゃんがいると聞いていたけど、まるで末っ子のようにとても甘えん坊で頼り上手だった。わたしも実の弟がいる手
2019年9月3日 12:35
「ねえ、そのお金何に使うの?」そういうおじさんが嫌いだった。「はい、お小遣い。これで少しでも女を磨くんだよ。」そう言われると罪悪感しかわかなかった。シャワーを浴びている少しの間、その人はさり気なくどこかに「お小遣い」を置いておいてくれる。その温かさとかちょっとした心遣いがオトナだと思ったし、20そこそこのガキなわたしを1人の女性としてきちんと尊重してくれているんだと思った。素敵だと思