描写①鈍色の空
情景や心情を描写する練習を先日から始めたので、それを少しずつ公開していこうと思います!
気分がいい時
・三人称神視点
空は鈍色の雲に覆われ、通勤中のサラリーマンの顔も一様に曇っていた。それと対照的に羊男の心は澄み切っている。というのも、意中の人とのデートが控えているからだ。羊男は、封建的な風習を一閃するナポレオンと雨に立ち向かう自分自身を重ねてさえいた。或いは、初恋の人と意図せず傘を共有することになった淡い思い出と重ねてもいた。鈍色の空という花があったとすればその花言葉は「幸先危うし」に違いない。しかし、そんな不文律を覆せるという確固たる自信さえ羊男は持っていた。
一人称視点
鈍色の空のもと、すれ違うサラリーマンたちの表情は一様に曇って見えた。俺はそんな悲壮感溢れる顔を眺めながら悦に浸る。人の不幸は蜜の味。雨に濡れながら出勤する奴らとは違って俺はこの後デートを控えている。彼女とのデートは今日で三回目だ。恋愛には三回目の法則というものがある。三回目の告白が統計的に一番成功しやすいのだ。帰り際に告白しようと計画している。今夜から暫定的にせよ人生の伴侶ができることを考えると頬の緊張がひたすらに緩んだ。
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