ささなり

観劇、神社仏閣が好きです  不思議な体験や趣味の事をつらつらと書いていきます

ささなり

観劇、神社仏閣が好きです  不思議な体験や趣味の事をつらつらと書いていきます

最近の記事

笹鳴り

2015年からの7年間 私の眼に映る世界は無彩色だった 感情を閉じて 23:59から翌日の0:00になる日々をただ繋ぐ毎日を過ごしていた 何の音も何の色も私には届いてこなかった 私の世界に色彩が戻ってきたのは2023年の春だった 少しづつ周りや私生活が落ち着きを取り戻しつつあった頃 京都の友人が「一度この景色を見せてあげたい」と言ってくれていた 城南宮のしだれ梅を見に京都に行くことになった 見頃に合わせるのが毎年難しいということだが友人から詳細を聞きながら 東京から

    • もうひとりの私

      ドッペルゲンガーとは自分と全く同じそっくりの姿形をした分身 幻覚とも自己像幻視とも言われている現象だ。 自分が幻覚を見たというのならまだ理解はできるのだけれど ほぼ同じ時期に2人の友人から違う場所で「私」を見かけたと 言われたことがある 1人目は新宿で「私」に会ったらしい そんなことは全く知らない私は ある日、友人に 「昨日、新宿の〇〇に居たでしょう?  声かけたのに何で何も答えてくれなかったの?」 と言われ困惑して 「いや、行ってないよ?その日は家にいたよ。  

      • 錆びた鈴の音

        去年の夏の終わりの陽も傾いて黄昏時になろうとする夕刻のある日 その日、私は美容院に行くために 家の近くのバス停にいた そのバス停のある場所に小さなお地蔵さんの祠がある 地域の人のお供え物や花が少し色褪せているどこにでもあるような お地蔵さんだ バスを待っていると 「チリチリ…  チリチリ…」と 錆びた鈴の音のような音がどこからか聞こえてきた 少し風が吹いていた日だったので 祠の中に飾られている鈴でも揺れているのかと思い 中を覗いてみたが鈴のようなものは見当たらない

        • まだ30代前半の若い頃、とても仲の良い友人がいた。 家も近所で、子供達も同じくらいで、 毎日のようにお互いの家を行き来して遊んでいて 彼女が郊外に家を買って引っ越しても 夏休みにはもう一人の友人と お互いの子供達を連れて彼女の家に泊りがけで遊びに行くのが 毎年の夏の恒例行事だった。 運転手は私で郊外まで約1時間半くらいのドライブ まだ開発もあまりされていない自然豊かなその場所の 何よりの楽しみはお泊りの夜の「特別」だった。 街灯もあまりない夜道を 林を右手に見ながら真

          新聞

          亡くなった主人は新聞が好きだった。 お気に入りの野球チームがあって オフィシャルグッズをたまにもらったり 些細な景品のタオルも大事に取っておくほどだった。 もう何十年とその新聞を取り続けていた。 病で倒れて主人は新聞が読めなくなった。 文字は読めるのだけれど、壊れてしまった脳の機能が 集中して文章を読むことを出来なくしていた。 主人しか読まない新聞代もその頃は負担になっていたので もう読めないのだから辞めたら?と何度も提案したが 頑なに契約を更新し続けていた。 流

          私には額の真ん中くらいにいつもは閉じている 「扉」みたいなものがあって 近しい人が亡くなると その扉がいきなり全開になってしまうような感じがする あくまでそんな感覚なので説明のしようがないのだけれど しばらくは「境界線」のまさに上に立っているような感覚になる その時の感度の「私」は自分ではよくわからないが 周りがちょっと怯えるくらいになるらしいので こういうものは普段は閉じていた方がいいと思う。 高齢の母はまだ存命だが 妹はその時の「私」を想像すると「あー嫌だな」と今か

          足音

          いつだったかよく覚えていない 祖父が亡くなってから1年後くらいだったろうか その頃、私達の子供部屋は階段を上がってすぐ左手にあって 私は妹と2段ベッドで寝ていた 入り口は上半分が曇り硝子の昔ながらの開き戸だった ある夜 もうベッドで眠りに落ちていた遅い時間 「ギシッ…ギシッ…」と 誰かが階段を上ってくる足音が聞こえてふと目が覚めた 両親の部屋は2階の廊下を挟んだ向かい側にあり もう2人とも寝ているようだった 下には祖母の部屋があったので 私は祖母が何か用事でもあるの

          護る者

          自分が覚えている一番小さな頃の不思議な記憶は3歳くらいだ。 実家は路地の一番奥の右側にあって 私道の両側にも家が建っていて、家の前の道路に出るには見通しが あまり良くなかった。 私は路地でボールで遊んでいた。 蛍光色のピンクの子供の胸くらいある大きさのやわらかいボール。 家の前には母もいたと思う。 その時、私は転がっていってしまったボールを追いかけて いきなり道路に飛び出した。 そこにちょうど軽トラックが走ってきた。 その瞬間の私の記憶は無い。 覚えているのはボ

          境界線

          はじめまして ささなりです。 まったく普通だと思っていた自分が 実は少し違う人間なのかも?と最近になって思うようになりました。 幽霊とかは一度も見たこともないのだけれど よく説明できないような不思議な現象が 考えてみれば小さい頃から自分の身の周りに起きていました。 私は神道の家に生まれて育ちました。 神道の家と言っても特別なことは何もありません 神棚があって仏壇の代わりに祖霊舎と呼ばれる 祖先の魂の依り代である霊璽(御霊代)と神具を納めている祭壇があって 節目の祭祀