自分ができないことを子供にやらせループ
私は泳げない。
でも、子供たちはスイミングに通わせている。
今日は、『自分ができないことを子供にやらせようとする問題』について語ろうと思う。
◆これって遺伝するよね
タイトルに「ループ」とつけたのは、親自身ができないことを子供にやらせようとするのって、なんか無意識に遺伝するよね、って思うからだ。
私自身も、昔は小1から中学に上がるまで、とくにやりたいわけではないピアノを7年間も習っていた。
習い始めた理由は、母が教師になるときに、ピアノができなくて苦労したから、というもの。
「やりたくない」と伝えても、なぜ?とかならず理由を聞かれてしまう。
なので、私はやめるために、母が納得するような理由を考えないといけなかった。
最初は、先生がちょっと怖かったので、「先生が叩くの」とウソをついてやめようとしたが、電話されてバレた。
2回目は、遠いから通うのが面倒、と言いつづけていたら、家に来てくれる先生に変わってしまった。
まったく練習もせず、うなずく以外の会話をろくにしない私に対して、先生はよく何年も通ってくれたと思う。
結局、中学になり、「私は手が小さくて1オクターブがやっとしか届かないから、これ以上難しい曲は弾けない」と訴えて、やっとやめられた。
◆同じことをしてるんじゃないかというモヤモヤ
今、年長の娘はスイミングを習っている。
きっかけは、園のお友達が通っていて「私も行きたい」と娘から言ったからだ。
しかし、水が怖く顔をなかなかつけられないので、2ヶ月ですでにやめたいと言っている。
そんな娘をなだめながらスイミングに連れていくたびに、私は、自分が母と同じことをしてるんじゃないか、っていう感じが拭えなかった。
自分ができないコンプレックスを、娘に押しつけてるんじゃないか。
でも、英語やピアノ、習字などに比べて、水泳は、覚えていれば生存確率が上がる、命にかかわるものでもある。
それに、ここ2年間はコロナ対策で、小学校でも保育園でも、プールは一度もやっていない。
なので、それぞれが何とかするしかないのだ。
とはいえ、現に私も泳げないけど、まったく日常生活では困らない。
もし、津波がきたらそれどころではないのも知っているし、本当に水泳は必要か?
そして、実際に娘はいま、行きたくないと言っている。
「潜るの怖いし、やだ。
できないから恥ずかしい」
こんなに嫌がっているのに連れて行くのは、娘の気持ちを無視しちゃってないか?
親のエゴじゃないか??と、なんかモヤモヤしてしまうのだ。
◆それでも、続けることを教えたい理由
それでも私は、毎週、娘を励ましながらプールに連れていく。
理由は、『続ければ、いつかできるようになる』を体感してほしいからだ。
親の目線になってみると、私が泣きながら心を無にして7年間やったピアノも、『自分がした苦労を、娘にはさせたくない』という愛だったのかもしれない。
ただし、子供の側からすると、別に自分も先生になりたいと一言も言ってはいない。
そして、「自分の気持ちを聞いてもらえていない」「自分が何を言ってもムダなんだ」となる。
まぁ、私の場合、結果的には自分の意思を通せたわけだけど。
こういうすれ違いは、日本全国で、いや、世界中でおきていると思う。
私は、娘にはこう伝えている。
「今は、できないから、やるのがイヤかもしれないね。
でも、自転車だって、最初は全然乗れなかったけど、練習したら乗れるようになって、乗れたら楽しくなったね。
習い事って、できないことをできるようになるためにやるんだよ。だから、できなくても恥ずかしがらなくていい。
いま、やっとひらがなやカタカナが書けるようになったように、『続ければいつかできるようになる』っていうのを、今はたくさん経験してほしい。
大きくなったときに、それは必ず自信になるから」
今日、進級テストで合格したのを嬉しそうにパパに話す娘。
自分ができないことを子供にやらせるのは、今の私にとっては、正解でも、不正解でもないと思っている。
そんな私に、娘は言う。
「ママもスイミング習えばいいじゃん」
…おっしゃるとおりです。でも、めんどくさいのでイヤです。
大人って、勝手だ。