ぼくとふたつの星


あなたがすきな
こもりうたを
ふたりのへやに
ながしながら
まいばんまいばん
ことばもかわさず
こまどをあけて
きらきらひかる
おなじよぞらを
みあげていた

やわらかいおなかに
つつまれて
すくなくともぼくは
そのはじめてに
こころのそこから
やすらいでいた
たぶんいまさら
おそいけど
あなたがどんな
かおをしていたか
ゆめかのように
わすれてしまった
いっしょにみあげた
よぞらのどこかに
ほんとのあなたが
くらやみでひとり
ないていたのかな

あれからいろいろ
かんがえて
ときにはじぶんを
せめたりして
それでもいろいろ
かんがえた
きっとおたがい
ただしくて
それぞれのたびが
はじまっただけ
ことばはこのまま
あなたにとどかず
よかぜにのって
どこかのやまで
さいてください

やたらといこじに
やせいじのように
かみついたぼく
みらいだとか
ゆめだとか
ただただいまが
こわかった
それでもさいごまで
こんなぼくのこと
とおくのそらから
みまもっていた
あなたのこたえが
いぜんとすっかり
かわってしまった
このごにおよんでも
あまえてしまう
あなたのおなかが
すきだった
あなたとのよるが
すきだった
よぞらでみている
ほんとのあなたは
こんなこといっても
しんじないだろうけど
なにより
みまもるあなたが
すきだった

あのひのよぞらが
どこかにないかと
いまでもまいばん
さがしているけど
あなたのいないへやで
あなたのいないそらは
かがやくことを
やめたよう



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ハンバートハンバートの『ふたつの星』。
かの人が好きだった思い出の曲です。
聞く度に、一緒に暮らした日々が克明に思い出されます。



今回の詩、『ふたつの星』に寄せる意図はなかったので、全体のストーリーは異なりますが、聞きながら書き上げたので、節々に歌詞が混じりこんでいます。

とても温かく切なくてやさしい曲なので、聞いたことがない方はぜひ一度聴いてみてください。



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