佐々木 夜無

心の備忘録。

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    さらっと安心して読める詩をまとめておきます。

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    今まで書いた中からお気に入りをまとめておきます。

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    他の方の詩で特に好きなものを集めます。

  • 連載小説『フラクタル世界』

    自分でもわけわからんです。 書きながら気づきを得ています。 完結するかは運次第......。

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凛として、生きていた

海は 空よりも重く 陸よりは、少し軽く。 私の海、も 空を見上げては、鳥を想い 陸を眺めては、人を想っています。 あの人の言葉は あなたの言葉だって 宙を彷徨うことはなく 私の中を ゆらり、ゆらりと 時間をかけて 沈んでいき いずれ海底へ着くのでしょう どんな言葉も 無限の暗がりに やがては見えなくなり。 そう。 石が降ろうが 船が沈もうが 魚は自由に泳ぎ回り 私はここにいる。 それでいいのです。 私は 本当に それでいいのです。 私の海は 私が死んだ後も 溢れ出すことな

    • 短歌

      寒い散歩 缶コーヒーで かっこつけず カフェオレでもなく 冷えた限定もの

      • 詩│透明ビート

        ライブハウスは今日も雨 静まり返った客席 何も間違ってないのに 誰もいない一番乗り 鳴り続けていた雨音 まだ始められる透明ビート 服を脱ぎ捨て天を仰いだ ここにいるぞ!! [ひとくちメモ] 雨の中、くるりの『ロックンロール』を聞いていたらできた詩です。

        • いいよ、傷つけてきて

          大人だって 命の在りかは 触れないと分からないのに 傷つけたくないって、そんな、、、 あなたと一緒に過ごせない。 それだけのことで私はこんなにも傷ついているというのに しっとり優しいばかりなら 地球規模の氷河期ですよ 焚き火で帳尻合わせたら 今度は戦争が起きますよ 生きているなら 揺れる心があるでしょう? 何をそんなに怖がっているのです?

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        凛として、生きていた

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        記事

          詩|寝ぼけまにまに

          太古の海 地球最古の生命は 眠っていた 豊穣な海で育ち 夢を見たまま 墜ちる石にやられていた いつしか 海の恵みは減り 降りしきる石に懲り 生命は起きることを選んだ やさしい海だった あら おきたん? おはよう ねむたいね そうだ オムレツ作るね

          詩|寝ぼけまにまに

          詩|毒された凡人

          酒は どうでもいい日のために使え 酒は 時間を潰すためだと あんなに教わったのに 私はこの期に及んでまだ詩を書こうとしている ああ 羽さえあれば 羽さえあれば 羽を伸ばせたろうか 息が 息がもう少しで 本当に詰まりそうだ 記憶が飛び 記憶が飛び 獣の淵を彷徨ってやっと 私はすやすや眠っているだろう 静かな顔で 静かな顔で

          詩|毒された凡人

          詩|銀の一匙

          紅葉に囲まれし ほとりの泉に 焦げ茶の泥だまり 含まれる砂鉄は 純銀となり 光を照り返し 錆びれた売り子 笑みを浮かべる 覗く者はあらず 微かな波紋を 眺めていたら 今日も今日とて 陽は傾いている それでも 泉の外では 生きられませんもの 砂鉄で作った 銀のスプーンで ひとくち 口に運んだ時の 艶やかさ 縁から 零れ落ちゆく 一滴の雫 上質な心持ち それだけのこと 笑って生きる 銀に変えて生きる [ひとくちメモ] 『歳を重ね何が変わったか。内なるスプーンが鉄から銀にな

          詩|銀の一匙

          詩│赤い提灯

          海の底 光の届かぬ深海に 赤い提灯 屋台のたこ焼き 2つ買って 食べた石段 柔らかな肌と 角張った骨では 物足りず 腕の中 意味のない 寝返り 久々に感じたい 時の流れに 身体は 海面へと 引き揚げられ 眼の下 靴の先 2列並んだ 赤い提灯 あの頃の 僕たちが 石段で 肌を寄せ合っている 「冬には布団を買わなきゃね」 耳に届く2人の会話に もはや入る隙はなく 流れに任せて 浮かび上がるだけ 海の底にも雪は降る 最後に花火でもしておけばよかったな

          詩│赤い提灯

          詩|生き甲斐

          神様。 極楽浄土に絵の具はありますか? 寂しい秋はありますか? 涙の別れはありますか? 発狂するほどの黒はありますか? そんなところに生き甲斐はありますか? 招待状はありがたいのですが、 欲を言うなら、 もう少し描いていたい。 後のことは後で考えます。

          詩|生き甲斐

          詩|銀籠流し

          私の心臓を燃やしたら 真珠が残ることでしょう その真珠は 金槌で叩き割りたい 銀色の砂を川に流せば 綺麗でしょう?

          詩|銀籠流し

          別れるということ

          衣服に残った柔軟剤も すっかり褪せて あの人の香りは もう思い出せない 一緒に聴いた思い出の曲も 聴き返す度に 一人の時間で上塗りされていく あの人の唯一の痕跡を 石河原で焼いた 最後にもう一度だけと 読み返してみたら 内容は少し変わって見えた あの頃のまま読めないなら意味がないと どこかに書き写すこともなく そのまま燃やした きっと10年後には 一文字たりとも覚えておらず ただ優しかった気遣いだけ 胸に残っているのだろう 焚き火の煙は 手を離した風船のように 空へ

          別れるということ

          詩|吹いてください

          もしも 季節を自在に選べたなら 私は一番好きなこの季節を 迎えることはできなかったでしょう あの日もらった手紙は 最後まで読めなくて 四葉の栞を挟んだまま 大切に仕舞ってあります 怖いのです ひとつひとつ 気になる苗を 摘んでいったら いずれはすべて 枯れてしまうのではないかと 吹いてください。 吹いてください。 夏も 秋も 命も あなたも 風の吹くままに 終わってください。 それでもまだ 私が生きていたら 新しい芽吹きをひとつ 分けてください。

          詩|吹いてください

          詩│ちょっと散歩

          ㅤㅤㅤㅤㅤ夜‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌‌‌‌ ‌。 山麓の家だから 散歩がてら山道を 登ることがある 一‌ ‌ ‌ ‌ ‌歩 ずつ 階段を 一段ずつ 登るよりも ゆっくりとし たペースで休み 休み途中にどんぐ りがあったら拾って いいんだよ今日は秋の 空が一段降りてきたよ うだ一枚だけ羽毛布団 を引っ張ってきたけど ああ寒い寒いそろそろ 帰ろう山を下る時は とぼとぼ帰るのが おすすめですよ 球が転がるよ🍁 うに歩けば 疲れない おやす みな さ い

          詩│ちょっと散歩

          喫茶店に落ちていた詩

          今じゃない。 そんなものが 街に溢れている 今じゃない。 そんなものが 図書館に、溢れている 星空に 限りはなくて だけど 138億光年は どう見ても たった6文字で 広い世界に いるはずなのに 閉じ込められているような そんな感覚に たまに、なる 山奥の紅葉が 北風に色づくなか 私は わからなくなってしまった 今じゃない。 そんなものが 街に溢れている 今じゃない。 そんなものが 喫茶店に、溢れている そんな時、目についた たったひとつのメニュー 私は 本日の

          喫茶店に落ちていた詩

          詩|街灯と雪でできた街

          1 街灯を前に その犬はただ 首筋を見せるように 項垂れて あのように 雪を被っていた 冷たい街で 冷たい街で それは石像のように 表情も変わることなく 暗く 沈み 己を侵害してきた者に 吠えることもなく 苦しそうに 噛みついた 中には 肉を差し出す者 屈んで笑いかける者 電気屋は 傍らに備品を置き去った 彼の目に 雪道の喧嘩は 無邪気なじゃれ合いに 映ったのであろうか 飼い主の面影もなく 冷たく荒んだ顔と 対照的に 僅かに揺れ動く 力の籠ったその瞳は 何かを待って

          詩|街灯と雪でできた街

          短歌

          出てこない ふいに出まかせ スワヒリ語 肌は肌色 ほくろは黒い [ひとくちメモ] ふいに出まかせで出た言葉は、案外その人らしさだったり