#87 結婚記念日は、濡れなかった雨と、ロンドンの想い出
今日11月17日は、妻と僕の11回目の結婚記念日だ。好みが細かく、難しい性格の僕を常に受け入れ、一緒にいてくれ、ドイツへも気持ちよく送り出してくれた妻へ、感謝の気持ちでいっぱいだ。今日はそんな結婚記念日とかけて、濡れなかった雨とロンドンの想い出と解いてみたい。
どしゃぶりだった、結婚式
結婚式はホテルのチャペルや神殿ではなく、神社で挙げた。先の投稿「#20 勝負の神・航空の神」に書いた、新宿十二社熊野神社だ。今思うと、勝負事に強い神社で結婚式を挙げたことが、その後の人生に多分に影響しているような気がする。来ていただく皆さんには神社に集合してもらって式を挙げ、その後用意したタクシーで、7〜8分離れた披露宴会場へ移動した。
当日は、雨足が見えるほどの大雨が降った。本来なら、神社の参道に赤絨毯を敷いて、そこを歩いて本殿に入るはずだったのが、その儀式は中止となり、式場スタッフの傘に入って急足で移動するしかなかった。結婚式は本殿の外で雨の音がする中無事終了。どしゃぶりだったこともあり、一般参拝客はおらず、終始静けさに包まれた、とてもいい式だった。
雨が二人を避けた、あの日
着付けやメイクをしてもらった会場からどしゃぶりの中式場へ、その後披露宴会場へと移動したが、考えてみれば妻も僕もほとんど濡れなかった。スタッフが大きめの傘を差してくれていたとは言え、なぜ全く濡れなかったのか、後からとても不思議に感じた。
妻とは、「雨が二人を避けてくれたんだね」と話した。そうとしか思えない2012年の11月17日だった。印象的だったのは「雨の静けさ」、これはきっと「恵みの雨」あるいは「地を固める雨」だね、というのが二人の共通理解になった。
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ロンドンの想い出
結婚した当時は僕は旅行関連の会社に勤めていて、ハワイ地域を担当していた。なので、「ロンドンの想い出」は結婚する前、主にクラシック音楽に使うフルートの仕事をしていた頃のものだ。結婚以前の想い出が、結婚後の結婚記念日の過ごし方に大きな影響を与えた。
フルートの仕事では、ヨーロッパ各国をよく訪ねて回った。春にはドイツの見本市に出展し、秋には5〜8カ国を回るツアーを組んだ。たいてい、ドイツ、フランクフルトから入ってフランス、イタリア、その他と回り、最後はユーロスターで陸路イギリスへ渡ってロンドンから帰国することが多かった。ある年、イギリス代理店を訪ねると、営業責任者の通称「JP」がこんなことを言った。
いかにもイギリス人が言いそうなブラックジョークだ。彼が奥さんをとても大切にしていることは以前から知っていた。同行していた自分の会社の社長は、「奥さんの誕生日でビジネスディナーに出ないのかよ」と不服そうな顔だった。しかし僕は、海外から年に一度の訪問であっても、家族の誕生日を優先する姿勢がとても気に入った。
彼はいわゆるロンドン訛りのいい英語を話す人で、話していると、ダニエル・クレイグ演じるジェームス・ボンドか、コリン・ファース演じるキングスマンと話しているようだった。彼の家族思いなところと英語に惚れ、彼のニックネームの「JP」を本人の了解済みで使わせてもらうことにした。一部の友人の間では、僕は「トオル」ではなく「JPさん」で通っている。
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10回の結婚記念日
第1回目の結婚記念日を迎える時、JPのことを思い出した。海外からのゲストがあっても、奥さんの誕生日を共に過ごしたJP、僕もそうしたい……そう思って、会社は午後半休を取った。理由は「結婚記念日なので、早く帰ります」と堂々と言った。その後も毎年そうしていると、自然と同僚が「そうだったね、結婚記念日だね、奥さんとごゆっくり」と快く送り出してくれるようになった。
その後は午後半休はやめ、丸一日、あるいはその前から有給を取って、夫婦で伊勢へ感謝の参拝へ行くようになった。JPにならって、結婚記念日と誕生日は、必ず妻と一緒にいた。そして今日が、結婚後初めて一緒にいない結婚記念日となった。おそらくオンラインで話すと思うが、記事の形で感謝を伝えたい。11年間、本当にどうもありがとう。
ホールケーキ?
昔の教え子の一人が、なぜか僕を形容するのに、「結婚記念日にホールケーキを準備する先生です!」と言う。やはり、ホールケーキは特別な日のシンボルなのだと思う。今日はホールケーキはないが、都合のいいことに妻の誕生日は年末だ。クリスマス休暇で日本に帰国した時に、結婚記念日+クリスマス+誕生日で盛大にお祝いしたいと思う。
今日もお読みくださって、ありがとうございました🥂
(2023年11月17日:11回目の結婚記念日)
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