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焼き芋の幸せ

父は、時々、冬の庭で焚き火をした。焚き火の終盤、熾火がチクカチと音を立てる頃、サツマイモを入れ込む。母が借りていた農地で作ったサツマイモを父が焼き芋にするのだった。

蒸かし芋とは焼き芋では、段違いに焼き芋が美味い。後年、その美味さは遠赤外線の力によるものと学んだ。

東京は、数日前から冷え込んでいる。この冷え込んだ大気の中で、焼き芋の匂いを嗅いでみたい。

そう思って早朝からペール缶に薪をくべて熾火をつくった。その熾火に新聞紙とアルミホイールで包んだサツマイモを入れ込む。

どのくらいで出来上がるか。それは凡その勘に頼るしかない。30分過ぎ、アルミホイールの包みを外す。すでにいい匂いがしている。
「うまくいったようだ」

焦げた新聞紙を外す。

「よしよし」

部屋に戻って、スプーンで食べる私。幸せは、こんなところにも転がっている。

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フンボルト
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