私の3歳記憶
子供は何歳から記憶しているのでだろうか。
私の最初の記憶を引き出してみよう。
それは夜だった。縁側にお母さん、お父さんと座っていた。虫が鳴いていたかかもしれない。夜の空は暗いらしい。おぼろげながら目に映る。父と母に挟まれて、「こわかあ。」と呟いた私に、「怖くなかあ。あいは星たいね。」という声が耳の奥に残っている。
「あいは星たいね。」
父はオウム返しにつぶやく。
3歳前後と言えば、言葉獲得の爆発期である。両親は、幼い私を7時か8時までには寝かせつけていた。その夜は8時を過ぎていたのかもしれない。漆黒に瞬く星を初めて見た時、多くの子どもは驚きとともに怖さも感じるのではなかろうか。
亡き父はすでに星になっている。
「あいは星たいね。」
「あいは星たいね。」