7月下旬、母の憂鬱。
今週の土曜日から、夏休みだ。
よかったね、息子たち。
よろしく、ばあば。
がんばれ、私。
味チャレンジャーと、味保守派。
私には二人の息子がいる。
高校一年生の長男と、小学四年生の次男。
似ている部分もあるが、似ていない部分もある。
当たり前すぎる。
兄弟ってそんなもん。
二人とも、カツオくんみたいに育ちますようにと育てた。
元気で、ずる賢く、生きる力はたくましく、ユニークに育ってほしい。
まあ、方向性はそっち方面に育ったのではなかろうか。
そして私は気づく。
それは、ある程度息子たちが大きくなった時のこと。
なんでカツオくんをチョイスしたのだろうか、と。
私は後悔した。
もっといい見本がいたのではないかと。
そんなことを考えながら、頭の髪を撫でつけてみる。
よかった。フサフサしている。
まあ、そんな話はさておき、この二人の食事の傾向は正反対だ。
新しいものが食卓に並ぶと、とりあえず何でも口に運ぶ長男。
新しいものだけでなく、自分の好きな物以外は口に運ばない次男。
誰に似たのかと言えば、ゲテモノすら楽しんで食べる夫に似たであろう長男。
ゼラチン質や脂身や皮があると、全て避けて食べる私に似たであろう次男。
長男はなんでも食べるので非常に楽だった。
どこに連れて行っても、楽しそうに食事をする。
しかし、次男はどちらかというと偏食で、食べられるものがある店にしかいけなかった。
まあ、徐々にその偏食っぷりはマシにはなってきてはいる。
思い返せば、離乳食すら口に運ぶのを嫌がり、母乳ばかり飲んでいた。
ミルクなんて当然飲まなかった。
次男は一歳になる前から保育園に預けている。
食事はどうなることやらと思ったが、保育園では食べていた。
なるほど、母は理解した。
食べるものがなかったら、仕方なしに食べるのだね、君は。
そのため、給食もちゃんと食べているらしい。
家で、選り好みをするのはただのわがままって言うんだよ。
偏食とは違うぞ。
保守的な次男の食事
次男は、食べたいものが決まるとその食事を食べ続ける。
五歳くらいまでは毎週末、チャーハンしか食べなかった。
それ以外は食べたくないという。
チャーハンだけを食べるのはよくないだろうと流石に私も思ったので、昼ごはんだけはチャーハンにして、それ以外はバランスよく食べるさせるようにした。
一応。
叶わない日もあったけど。
そして、突如としてチャーハンブームは去る。
次男は予告なしにスプーンを置き、チャーハン引退宣言をした。
二度とチャーハンは食べないと誓い、それ以降食べることはなかった。
週末の昼ごはんにチャーハンほど助かるものはない。
極端なんだよお前は、と思いながらも、次は焼きそばブームがやってきた。
焼きそばもいいよね。
焼きそばは、私が作ったのでも、カップのでもどちらでも大体美味しいと食べてくれた。
お気に入りはペヤングだ。
いや、ペヨングだ。
私はペヤングよりも値段の安かったペヨングを買った。
バッタもんでも美味しいみたいだし、今度からペヨングにしよう。
あるとき、ペヨングがなかったのでペヤングを買って帰った。
「本物だよ!!」
とペヤングを食べさせると、なんか変なものが入っていたと肉を大量に残した。
新しい食べ物だったので受け入れられなかったらしい。
彼にはバッタもんでいいや、と私はペヨングを買い続けた。
そして、ある時に衝撃の事実を知った。
ペヨングからペヤングのソースが出てきたのだ!!
なんと言うことだ!!
バッタもんなんかじゃなかった!!
正規品のお買い得商品ではないか!!
私は一つ賢くなった。
それ以降私は、カップ焼きそばの話になるといろんな人にペヨングを普及している。
他にはコロッケにはまったり、餃子にハマったり。
まあ、極端にそればかり食べる時期が続き、ぱったりと食べなくなる。
チャーハンは昨年、数年ぶりに復活を果たし、再びおいしさを実感したようで、休日の昼ごはんにはチャーハンを食べている。
コンスタントに食べ続けているのは白ごはんと牛乳とフライドポテトとトマトで、彼はこの四つの食材で大きくなったに違いない。
これだけ偏食だったら成長に影響もあるのではと思うが、バランスよく色々食べる牛乳嫌いの長男より、明らかに次男の方が身長が大きいし、体格もしっかりしている。
おかげさまで、偏食を注意しにくい。
何を食べさせようかね
学校が長期休暇になると、私は次男をスープの冷めない距離に住むばあばに預ける。
長男はなんでも食べるので、ばあばにお金さえ渡しておけば、昼食はなんとかしてもらえた。
しかし、次男はそうはいかない。
ばあばは次男の現在の食べ物の好みがわからないのだ。
今はコロッケだよ、と言ったとしても対応できない。
次男は「どこの」「なにコロッケ」という指定までが必要なのだ。
そして昨日まで食べていたものが、翌日には食べなくなるということがままある。
我慢して食べようとすると、嘔吐するのでどうしようもない。
気合いでは乗り切れないし、怒るのも面倒になるほどだ。
コンソメ味のポテチが好きだと言ったとき、ばあばがいろんなコンソメ味のポテチを買ってきてくれたのだが、あのメーカーはいやだ、このメーカーがいい、とわがままばかり言って食べなくなったので、二度と買わないとばあばに誓わせることになってしまった。
恩を仇で返す男だ。
孫のためにと色々工夫をしてくれているのに、それを土足で踏みにじられたばあばは、次男にはなにも用意する気がなくなった。
徐々に食べられるものは増えてきているものの、喜んでもらおうと作ったものを残されるのは悲しいものだ。
それは、私の役目であって、ばあばの役目ではない。
ばあばは、面倒を見てくれるだけで私にとっては神様だ。
そんな次男のために私は弁当を作らなければならない。
長男にも何かを食材を用意しておかなければなるまい。
普段であれば五合で足りる米を、七合くらい炊かないと間に合わない。
食パンも一週間に一袋あれば足りるところ、もう少しストックしておかなければならないだろう。
冷凍食品も大量に必要だ。冷凍うどんもいるだろう。
肉もいるし、カップ麺や袋麺もいるなあ。
そうだ。果物もいる。
保冷剤代わりの凍らしたぶどう的な。
卵も大量にいるな。
よし、がんばれ、私。
とは言え、一番憂鬱なのは私の母だろう。
娘がフルタイムで働いている上に、孫は留守家庭に行きたがらず、自分の時間を犠牲にして孫守りをしなければならない。
ゲーム機を持ち込み、宿題はろくにせず、熱中症の危険性がある暑さため外にも遊びに行けない孫を家で面倒を見るのは、さぞかし憂鬱に違いない。
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