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星が綺麗な夜に酔っ払って歩いてたら、おじさんに声をかけられた件について
空を見上げたら、綺麗な星が瞬いていた。
思わずスマホを手にして、写真を撮る。撮った写真を確認した。画面は真っ黒で、電線と小さな埃しか写ってない。なんだこの埃と思って画面を拭いたら、埃じゃなくて星だった。
自販機で買ったレモンスカッシュの蓋を開ける。
ぐびっと飲んだら、「おい」と声をかけられた。振り返ると黒ずくめのおじさんがこちらに近づいてくるではないか。
怖!!!
夜の11時に話しかけてくるおっさんとか怖すぎやろ。
私は、足早に家の玄関まで移動した。その素早さと言ったら、光の速度どころの騒ぎじゃなかったと思う。
まだこちらに近づいてくるおっさんの顔を一瞥する。どことなく私によく似ている気がした。
ドッペルゲンガー?
いや、違うな。髭が生えている。
「あ、お父さん!北海道出張から帰ってきたと?おつかれさん!」
「フラフラ歩いてるやつがおると思ったら」
「あははははは〜」
変なおじさんの声をかけられたと思ったら、実の父だった件について。
フラフラになって酔っ払ったのは、その夜が非常に楽しかったからに他ならない。私はその晩、友人である三毛田氏と酒を飲んでいた。
彼と実際に初めて対面したのは、一年ほど前になるだろうか。
三毛田氏は、プアぴ〜♪(ハーモニカの擬音)、ちょうど一年前に、関東から福岡に移住してきた。それを機に、私は彼の飲み友達の座を手に入れた(と勝手に認識している)。三毛田氏は、文章のみならず、会話もウイットに飛んでおり、非常に面白い男である。それにいつまでも飲み足りないと駄々をこねる幼児的な私の酒にも、締めのラーメンにも付き合ってくれて、サンキュ。
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底にDRYの文字が入っている限定グラス。
泡でかろうじて見えるくらい。
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座って飲める角打ち
飯がうまい上に、めんべいのおかわり100円
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すみません
味の違いがわかりません
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グラスがかわいすぎんか
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おかわりは同じ値段で1.5倍のめる
390円
うまい
その晩はどんな話をしただろうか。
いろんな話をした。noteの話もしたし、自分の話もしたし、仕事の話もした気がする。
私は途中、トイレに離席した。
その時、隣の席のカップルが、ちらりと私の視界の隅に入った。
割とおっさんな男性と、若いミニスカートの女性。おっさんはスーツではなく私服だった。どういう関係性なのだろうか。途中から私はそれが気になってしょうがなかった。
「ねえねえ、隣の二人、どう思う?」
私は三毛田氏に尋ねた。
「ああ、あれは親子ではないですね。顔の系統が違いすぎる。距離感がやたらと近いから、事後かもしれない」
「やっぱりね。不倫かなぁ」
「どうでしょうか。それより私は、反対側も気になるんですよ……」
三毛田氏は、私に反対側の隣の席を見るように促した。
いや、そっちの隣を見るのは難しいぞと、私は一旦三毛田氏の申し出を拒否をした。三毛田氏の席からはよく見えるかもしれないが、私の位置からは振り返らなければよく見えない。店全体を見渡すようにして、チラリと見てみたが、どんな人たちだったかは記憶にない。
私たちのグラスが空になったちょうどその時、「そろそろ行こうか」と隣のおっさんが席を立った。女も席を立つ。女は男の後ろをついて歩いた。ミニスカートでチャラチャラしているが、三歩下がって歩くタイプか。もしかするとこの女、昭和時代を思わせるタイプのいい女かもしれない。女は、高すぎるヒールのせいか「あ」と声を出しながら、カウンターにぶつかった。何事もなかったかのように、男の後ろをついて歩く。その姿に、私は思わずキュンとした。かわいいかもしれない。
「あとをつけましょう」
三毛田氏が席を立つ。
私も続いて席を立った。
店は3階だった。私たちはエレベーターに乗り込んだ。もちろん、不倫男とミニスカ女も一緒にだ。謎の緊張感が狭い個室内に漂う。
私たちは二人を追いかけた。
私たちは途中で二人を見失ってしまった。視線の先には煌びやかなネオン街。きっとあの二人は、中州へと消えていったのだろう。
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あっさりしたとんこつラーメンでうまかった
尾行をしていたら、中州方面まで来ていた。
せっかくだからと、屋台に行こうという話になり、流れるように私たちは屋台に入った。ラーメンを頼み、私はいも焼酎のソーダ割りを頼み、三毛田氏は瓶ビールを頼んだ。うまい夜だった。