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Grade 9: “I’m just a worrier”
「栗にSarryちゃんを取られてしまうかも…そんなかんじがします」
告白以前に気持ちが私に筒抜けだったEくん。
キャンパス内で見られてた気がしてたのは全然、勘違いなんかじゃなかった。
何をそこまでEくんは栗の存在を気にしてたのか。
ひとつ思い当たるのが確か「クリスマスフェア」と称してミドルスクールに夜、クリスマスソングをスクールバンドで演奏しに行った時。
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正面の階段を降りるとキャンティーンで、一番奥のベンチに私とIちゃんたちは座って談笑してた記憶がある
以前も書いたけど母校ではMusicを選択するともれなく教室にある楽器の中から楽器を一つ選択しないといけなかった。そして、担当した楽器が吹けるように独学していく。
放課後の課外活動(Extra Curriculum Activities=ECA)としてスクールバンドにも強制参加だった。
私、Iちゃん、栗は例によってクラリネットを
Fちゃん、Eくん、スターフィッシュ、確かMLB君もトランペットを
とんぼちゃんはサックスを
TちゃんとSちゃん、ソフィアちゃんはフルートを担当してた。
たぶん11月とか12月なんだとおもう。
でも、まだEくんとはメッセージやチャットでしか話さなかったような気もするから実はクリスマスとか全然関係ない時期だったのかもしれない。
まあいいや。とりあえずここではクリスマスのパフォーマンスだったということにしよう。
とりあえず、私たちはミドルスクールのキャンティーンにいた。
そこになぜかもやしとHage、マッチョもいた。とおもう。だからたぶんNくんもいた。
Fちゃんのトランペットを、とんぼちゃんのサックスをみにHageとマッチョ(※とんぼちゃんとマッチョはミドルスクールの頃からお付き合いしてた)は来ていて、他Japanese boysたちはついでに見にきたのかもしれないな。
クリスマスソングはJingle bell rockとか、Let it snowとか定番を演奏したきがする。Jingle bell rockをよく覚えてる理由は、栗が良く横に揺れてリズムをとりながら歌ってたから 笑
演奏のリハーサルが終わったんだったか、私たちは自由行動だった。
多分軽食も用意されてたんだと思う。
私はIちゃんとか他女子たちと楽器を片手に確か談笑していて、既に懐かしいミドルスクールのキャンティーンのベンチに座ってた。
ベチャっ
なんか冷たい水が背中にかかった。
振り向くと、栗やもやしたちが掃除の人が用意していたホースを使って私たちに水をかけてきてた。
もやしやJapanese boysたちは最初、Iちゃんを標的にしていたのだけど、栗が私も標的にしたから巻き込まれてしまった。
え〜何〜〜〜〜??
そう言いながらIちゃんたちと楽器を持ちながらベンチとベンチの隙間を走って水攻撃から逃げた記憶がある。
もやしたちが飽きてその場を離れてもずっと、
栗はその間本当に楽しそうに、あの彼の花が咲いたみたいな明るい笑顔でホースから水を噴射し続けてた。
最終的にIちゃんより私の方が標的にされてしまって、結構びちょびちょになった気がする。
(補足:私たちがいた国は常夏なのでクリスマスとはいえ真夏。半袖なので水をかけられても大丈夫です)
もやしが手を叩いてめちゃくちゃ笑ってる姿が思い浮かぶ。
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後ろの真ん中にいる子が栗。私は彼の右側。
栗の笑顔はいつも弾けてて人を幸せにする力があると思う。
ちなみに彼は10年以上お財布の中にこのプリクラを入れっぱなしにしてたらしい
自分の性格的に、やられっぱなしで完結するはずがないので髪から滴る水滴を栗に向かってかけたり、なすりつけたり、できる範囲の仕返しを夢中でしてた気さえする。
普通に楽しかった記憶しかない。
そんな私と男子陣のやり合いをキャンティーンの、テーブルが並べられた横のひらけたスペースに直に座り込み、膝に肘をついて、顎を掌に乗せて眺めてる人がいた。
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写ってるのはY(後ろ)とKappa(手前)。
彼らの後ろのスペースが少し段差になっていて、そこに座る形でE君はいた。
E君。その顔は誰がみてもひどく落ち込んでて、見捨てられた子犬のように深く傷ついてるように見えた。
きっと男の子たちは好きな人のことに関しては敏感で、ただでさえ繊細だったE君は自分以外にもライバルがいるかもしれないことを危惧したのかもしれない。
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だけど私からすると栗や他男子とのこのやりとりは「日常」で、ましてや栗が「友情以上」の感情を私に抱いてるとは微塵も思えなかった。だってミドルスクールの頃からうちらはこんな感じだったし。E君が何も知らないから、そう思うだけなんじゃないの?
正直にいうとE君のこのあからさまな落ち込み様は、私には理解できなくて。
彼が私を好きでいてくれてるのは分かっていたけどそれにしてもまだお付き合いにも至ってないのにこんなに感情を顕にするのは何で何だろうと疑問だった。
率直にいうと「重い」と思ったんだと思う。
Iちゃんが、私に「Eを見て、E yabai!!」「Talk to him」
そして、私はE君に話しかけに行ったような気がする。
何でご機嫌を取りに行かないといけないんだろうと思う反面、Eくんに嫌われてしまったかもしれないと焦燥感があった。
「めちゃくちゃ水かけられた〜」
E君はいつもそうするように少し困ったような、柔らかな照れ笑いをしたと思う。
私がE君に近づいた途端、栗は水をかけるのをあっさりやめて他の友達のところへ行ってしまった。
この日の帰宅後、IちゃんがEくんに do you still like Sarry?とショートメッセージを送った。
私がもう嫌われちゃったんじゃないかな〜ってIちゃんに言ってたからだとおもう。
EくんからIちゃんに返信があった。
「I think I love her. 」