よろしゅうおあがり❗️
思い出のメキシカンピラフ
「よろしゅうおあがり!」
と言いながら彼はメキシカンピラフなるもの作り、私の賄いとして作ってくれた。
25〜27年前、修行時代に勤めていたカフェレストランの厨房での出来事。
彼の名前はうる覚えだが、確か「深井さん」だっと思う。
修行時代とは言え、その頃僕は既にその店の店長でした。
面接し採用したのも私であったと思うけど、そんな事は全く思い出せない。
ただ、あれから長い歳月が流れ遂にアラ還となった私の心の中で、ずーっと忘れられないのは、このメキシカンピラフ」なのだ。
夢見ていた頃
海運貨物取扱業の会社でサラリーマンをしていた私が飲食業に飛び込んで、夢見ていたのは「自分の店を持つ」だ。
年下のバイトの男の子や女の子に接客や皿洗いを教えて貰い、文字通り一からのスタートだった。
配属された店は8:00開店でモーニングからランチ〜ディナータイム〜深夜営業時間までお客さんが大勢来店されて、パンツまでグッショグショになりながら洗い物を洗っていた記憶がある。
一年も経たずに店長になれた。
そして6店舗有ったチェーン店の中でトップの売り上げを上げ続けて、ご褒美に商社の手配でイタリア🇮🇹のミラノ・フィレンツェ・ルッカ・シエナと言った街を巡ってトラットリアの厨房を経験する旅を経験させて頂いたりもした。
それからもいろんな経営者の元で様々なレストランの店長や、チェーン店の統括マネージャーも経験して、自分の店を持つことになるのだが。
厨房が僕の居場所だった
そんな懐かしい修行時代の事で、今も深く心に残っているのがこの深井さんが作ってくれた「メキシカンピラフ」だ。
頭にはバンダナを被り、口髭を生やした深井さんはアメリカンタイプのバイクに乗って、黒の革ジャンで出勤して来た。
朴訥とした喋り方にギョロっとした目。
関西方面の飲食店の厨房で修行して来たと言う彼。
幾つもの修羅場の厨房をコックとして生きて来た彼を経験の浅い僕には頼もしく見えた。
彼にはカフェレストランでのパーティーメニューの構成やレシピなど、沢山の事を教えて貰い、今でも私の財産となっている。
厨房は僕にとっての勉強の場であり居場所であった。
忘れられないもの
今でも時々無性に食べたくなる「メキシカンピラフ」
カレー粉で作るスパイシーなカレーピラフにたっぷりのミートソースをかけたシンプルな料理。
口の中に広がる香辛料とミートソースのほのかな甘みが絶妙です。
無我夢中で自分の店を持とうと、ニンニクや玉ねぎの匂いがする厨房で、日々夢見て鍋やフライパンを磨き奮闘していた時代。
今でも忘れられない、
ちょっと歯にかんだ笑顔で、
「よろしゅうおあがり!」
と言いながら「メキシカンピラフ」を僕に食べさせてくれた彼を今でも僕は忘れる事は出来ない。
彼は今頃何処で何をしているんだろう?
何処かの厨房で「よろしゅうおあがり!」とメキシカンピラフを賄いで作っている彼がいる事であると信じてる。
願わくば彼にもう一度会って僕の作ったメキシカンピラフを食べて貰いたい。
感謝!
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