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真夜中の【月の砂漠】からのあれこれ

認知症の母はたった今の事を忘れますが、幼い頃にピアノで弾いた【月の砂漠】は覚えていて、今でもそれだけは両手で弾くことができます。

先日、真夜中に階下から母が弾く【月の砂漠】が聞こえてきて目が覚めました。
時計を見ると0時ちょうど。

ん?夕べはいつも通りに晩ごはんを食べたあとにお風呂にも入って、普通に寝たはず。
どうした?目が覚めて急に弾きたくなったか?
それでも、大音量ではなくてご近所の迷惑にはならなそうだし、こちらも翌日は仕事なので起きるのも面倒でしばらくそのままにしていました。

するとそのうち、息子の話し声と母の大きな声が。

息子は翌日休みなので、まだ起きていたようです。

仕方なく降りて行って「どした?」と聞くと、「ばあちゃんが晩ごはん食べたか聞きに来たから、今は真夜中だと言って時計を見せたら自分でびっくりして大声出した。」と息子。
母の大声は怒ったとか騒いだとかではなくて、単純に驚いたらしい。

ここできつい言葉で対応しちゃいけないことは、↓で経験済み。

「今は夜中ですよ。ちゃんと晩ごはんも食べたしみんな明日仕事だから、もう寝ましょうね。」とやさし~く言い聞かせました。

母は、ちょっと戸惑った様子ではあったものの、おとなしく部屋へ戻って行ったので、私もまた布団に入りました。

ところがまた数分後に階下から話し声が。
降りて行くと、息子が「ばあちゃんが風呂に入ろうとしたので止めた。」とのこと。
ここでも母は、何か言い返すでもなく素直に部屋へと戻り、その後は何事もなくゆっくり眠ることができました。

そして翌朝早く、私が台所にいると「あんなにたくさんの服、あなたが買ってきてくれたのか?」と言いに来たのです。

母の部屋のラック

母の部屋には目につく場所にハンガーラックがあり、そこには普段母が着る服を掛けています。タンスやロッカーから洋服を出して着る、ということができなくなってから、すぐに見えるようにラックにかけるようにしたのは4年ほど前。

それでも最近では、そのラックから選ぶということすらできなくなって、目の前の椅子に置いてある服だけを着るようになっていました。
でもなぜか、今朝はそのラックの存在に気づいたのでしょう。

「そうですよ。ぜ~んぶ私が買って来ましたよ。」と優しく言うと、ちょっと嬉しそうな顔をして部屋に戻っていきました。

そしてすぐに戻って来て「これで・・・」と、例の通帳を私に差し出したのです。
洋服代をその通帳から、という気持ちのようです。

「わかった。」と受け取りましたが、もちろん元の場所に戻しましたよ。

最近は、たまにこんなあれこれがあったりしますが、割と落ち着いている日々です。



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