君の居場所までの間
入院生活が長い、と言っても一度に半年とか1年とかっていうのはそうそうなかった。
カテーテル感染の時は2週間で退院とかザラだった。
病院では、チャリティーやボランティアで、いろいろな人が活動をすることがあった。
でもタイミングの悪い自分は、退院した次の日とか入院する前日とかに来てくれてる場合が割とあった。
入院期間は短縮化してきている。
もちろん何ヶ月も入院している子たちもいるが、自分が小さい頃周りに多くいた、喘息やネフローゼのような子たちはとんと少なくなったように思う。
外来や短期の入院で改善するようになった今の医学の恩恵だと思う。
病院にはチャリティーやボランティアなどのニーズがある。
でも、退院したけど学校に戻れるようになるにはまだかかるという子たちにはあまりないように思う。少なくとも僕は知らない。
病院にも学校にも居場所がなく、家にいることだけ。
まあ、いわゆる「いま」のような自主自粛とでも言うだろうか。
でも「頑張って自宅で療養している子たちのため」というのは本当に聞かないし、僕も経験がない。
でも、退院して「しまう」と、そういった情報を外部が手に入れることはできない。
自分は、退院して家にいる自分を励ましてほしかったし、頑張ってるねって言って欲しかった。
学校の友だちから手紙が来ることもあった。
嬉しかった反面、虚しかった。
みんなが自分のことを考えてくれてる、と思いつつ、自分抜きでもみんなは関係なく生活してるんだ、という事実が辛かった。
病院でも、学校でもないところに、ただただ社会から閉ざされていることを痛感したくなかった。
だから、励まして欲しかった。
頑張らざるを得ない状況だからこそ、社会復帰への繋ぎで耐えざるを得ないからこそ、励ましの言葉がほしかった。それも、病院のスタッフではなく、外からの人たちに。
君は1人じゃないよ、と。
そう、伝えてほしかった。
だから、僕は伝えようと思う。
退院おめでとう。君の居たい場所に戻れるまで、楽しくやっていこう。
辛かったら吐き出しても良いし、悔しかったら布団握り締めて泣いても良い。
君の声、たくさん聞かせて、と。
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