61.満月
出かけていた母から電話がかかってきた。
「月すんごく綺麗だから見てみて!」
急いで外に出ると、
濃く深い黄色をした存在感ある月があった。
いつもよりも低めにあって、
いつもより大きく見える月。
あまりにも綺麗だったため、
その場で数分立ち止まって見ていた。
まるで吸い込まれるような気分。
その月を見ていると、
ふと平安時代について思い出した。
平安時代の貴族の間では、
詩などの文学が発展した。
私は、この時代の赴くままに文学にふけたり、気持ちを綴ったりする、
あのゆったりとした空気の流れが本当に好きだ。
この時代に生きた人たちも、
私が今見ている月を見て詩を書いているのだ。
今私が見ている月と同じ月を、
平安時代の人たちも見ていた。
なんだか不思議ではなかろうか。
月をじっと見ている間は、
平安時代とつながったような気持ちになった。
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