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ゆきとシオン

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私たちは再会を何度も繰り返す。 sarajyaの写真とシオンの言葉
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2018年1月の記事一覧

べき・・は足元をふらつかせる。

君に知っててほしい。 今君の目の前に広がる世界が、世界なんだ。 君が感じるざらつきや君の鼻腔をつく空気の冷たさ、それが世界なんだ。 君の目に映る緑。 君の手に握る石の尖り。 君の頬に迫ってくる粉雪の舞い。 君の足の指先に残る砂のまとわり。 それが君の世界なんだ。 どうあるべきだとか、どれがフツーだとか、そんなことはすぐに、そして簡単に崩れる。 脆いものなんだよ。 君が君の世界の中心にいて、君がつむぐ物語が君の世界。 だから。 君はそれを確信しなくちゃいけない。 君

サンサーラ

渇いた心に言葉は宿らない。 宿れなかった言葉たちは、肉体の表層をつたって土へと還る。 言葉にならなかった言葉は心に留まることもせず、口に昇ることも許されず。 何事も。 何も。 起こらなかったかのように静かに、ただ静かに。 冷たく、鈍く、私の上っ面を撫でてく。 無意識のうちに湧いた言葉は人のうちに在って、表層を伝い落ちるその瞬間までなお力を欲しがる。 ただ僅かばかりの指先のぬくみ。 ただ一息ばかりのすれ違いですら。 言葉はその刹那をこの機かぎりと宿るため、爪を立てる。