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ゆるやかな日常のなかで。「王都警備隊」

 世の中はいろいろ大変なことが起きているし、なんか暑いし、嫌になっちゃうなぁ……ということで、今回は穏やかめな作品「王都警備隊」シリーズを紹介していきたいと思います。「王都警備隊」から「王都警備隊・4」まであるシリーズものですが、まとめて。


あらすじ


元盗人の少女リーファは、二年前に変わり者の国王に拾われて以来、城に居候の身。一念発起して王都警備隊に入隊志願したものの、結果は不合格。ところが王のはからいで、特別に追試が行われることになる。
意気込んで挑むリーファだが、行く手には予想外の事件が待ち受けており……。 
◆王都を舞台にした、城と街の人々が織り成す物語。

     --作者さまあらすじより(一期のみ)


レビュー


 冒頭にも書いたように、大きすぎる事件が起きず、ある程度落ち着いた気持ちで読めるところがこの作品の魅力かなと。感情がジェットコースターに持っていかれちゃうお話も良いけれど、そういうのに心がついていけないときもあって、だけど面白いものが読みたい! っていうときに向いているお話だと思います。
 主人公のリーファや、その周囲が事件に巻き込まれていくことでお話が進んでいくという形ですが、その事件が大きすぎたり壮大になったりしないのが、逆に安心して読めます。基本的に、彼らの暮らしている国は平和だし、悪の組織がのさばっているわけでもなくて、日常の中にまぎれた、小さな事件を解決していく形なのが良いなと。それでいてドラマはきちんと展開されますし、ふわっと心のうちに広がるものもあるのでその塩梅がすごい。
 また、シリーズの中にある一つ一つの話が割と分離していて、かつ短めなので、さくっと読めるところもお話の雰囲気とあっているのかな。

 登場するキャラクターの関係性も好きです。彼らの関係性そのものも、それらがあんまり揺らがず安定感があるところも。
 中心となるキャラクターたち、主人公リーファ、国王のシンハ、その秘書官であるロトの3人は絶妙な絆で結ばれていて、この絶妙さが良いんですね。3人が3人とも思いあっているけれど、その感情は少しずつ違うというか……これ以上言うと多分ネタバレですが。「王都警備隊・4」まだ来ると恋愛要素も少し入ってきたりするのですが、がらっと変わってしまうのではなくて、ゆっくりと変化していくところに安心します。個人的には、恋愛メイン!というわけではなく色んな愛情の中のひとつ、みたいにでてくるイメージ。

 あとは、私はやっぱりかっこ可愛い女の子が好きなので、リーファの生き方が好きです。リーファの義妹のフィアナもかっこいいけど、やっぱりここは主人公のリーファがすき。
 元盗賊ながら城に居候、そして王都警備隊員を目指す、というちょっと難しい立場にいながら、ひたむきに前を向いて生きようとするリーファが可愛いしかっこいい。ちょっと立ち止まったり、よく考えられなくなっちゃったりすることもあるけれど、周りの人に支えてもらいつつ、頑張っているところに励まされます。元盗賊なだけに小回りもきくし頭の回転も速いし、戦えちゃうしで、こういう女の子には憧れちゃうんですよね。


 他にもたくさん魅力はありますが、この辺りで!
 番外編や後日談もいっぱいで、存分に彼らの生活を楽しめるお話だと思います。ちなみにわたしはシーズン1の「王都警備隊」とシーズン4の「王都警備隊・4」がなかでも好きだったりします。

 それと同じ風羽さんの作品で壮大めな話だと、「The Holy Evil」がミステリぽさもあって好きなのでこちらもおすすめです!


基本情報


「王都警備隊」シリーズ
著:風羽洸海
完結済み長編小説
小説リンク:
「王都警備隊」シリーズ(小説家になろう)

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